たけじいの気まぐれブログ

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葉室麟著 「蛍草」

2024年05月13日 20時39分06秒 | 読書記

図書館から借りていた、葉室麟著 「蛍草(ほたるぐさ)」(双葉文庫)を、読み終えた。


読んでも読んでも、そのそばから忘れてしまう老脳。
読んだことの有る本を、うっかりまた借りてくるような失態を繰り返さないためにも、
その都度、備忘録として、ブログ・カテゴリー「読書記」に、書き留め置くことにしている。


▢目次
(一)~(二十七)
解説 細谷正充(文芸評論家)

▢主な登場人物
菜々(主人公、元鏑木藩藩士安坂長七郎と五月の娘)、
風早市之進・佐知・正助、とよ、甚兵衛、
田所与六・滝、
秀平・お勝・宗太郎、
轟平九郎、桂木仙之助、
壇浦五兵衛(だんのうらごへい、だんご兵衛)、お舟(おふね、おほねさん)、
椎上節斎(しいがみせっさい、死神先生)、涌田の権蔵(わくたのごんぞう、駱駝の親分)
鏑木勝重(鏑木藩前藩主、大殿)、鏑木勝豊(鏑木藩藩主)
柚木弥左衛門(鏑木藩江戸藩邸用人)
卜部作左衛門(鏑木藩国家老)、宮田笙兵衛(鏑木藩勘定奉行)、榊佐十郎(鏑木藩目付)

▢あらすじ等
城中で刃傷沙汰を起こして切腹した鏑木藩藩士だった父親安坂長七郎の無念を晴らしたいという悲願を胸に秘め、武家の娘であることを隠し、16歳の春、城下の風早家の女中となった菜々が主人公の長編時代小説である。
奉公先の風早家で、菜々は、当主の市之進、奥方の佐知に、温かく迎えられ、教えられ、導かれ、幼い子供正助(4歳)、とよ(3歳)からも慕われ、平穏な日々を過ごしていたのだが、佐知が労咳で亡くなり、亡き父親と同様に、前藩主鏑木勝重に繋がる勘定方の不正を糺し、藩の改革を目指していた派の中心人物だった市之進は、轟平九郎の暗躍により、捕らわれの身になり、さらに流罪となり、風早家は存亡の危機に陥った。
菜々は、女中でありながら、残された風早家の幼い子供たちの面倒を見る立場となり、孤軍奮闘、借家に住み、野菜、草鞋の行商をし、一心不乱に暮らしていたが、またもや、平九郎に追い詰められる・・・。
そんな菜々の純真で、一途な心に打たれる、なんともユニークなキャラクターの味方が現れるのも、小説の面白さ。
菜々が、名前の呼び間違い、その受け答えで、随所で笑いを誘われる等、ユーモア要素が織り込まれた作品でもある。
だんご兵衛?、おほねさん?、死神先生(しにがみせんせい)?、駱駝(らくだ)の親分?
菜々は、藩主鏑木勝豊のお国入りにともなって行われる御前試合で、亡き父親のため、風早家のため、生死をかけて大勝負に打って出るが、果たして、悲願が叶うのかどうか・・・・・。
  幸せはやってきた時に、つかまえなければ、逃げていく・・・・。
  涙がとめどなくあふれて、市之進の姿がはっきり見えない。
  だが、しっかり前を向いて菜々は、大八車を力強く引いた。
最後は、感動的シーンで、終っている。


(蛇足)

表題の「蛍草(ほたるぐさ)」とは、
「露草(つゆくさ)」のことで、
俳諧の世界では、秋の季語。
また、古くは「月草(つきくさ)」とも呼ばれ、
万葉集にも出てくると、
本書の中で、紹介されている。

月草の仮(かり)なる命にある人をいかに知りてか後も逢はむと言ふ
(詠み人知らず)

爺さんの備忘録的花図鑑・「ツユクサ(露草)」
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