Xenos Audio

オーディオと音楽について

「DAWN CHORUS」(富田勲氏の思い出)

2016年05月08日 20時45分45秒 | 音楽ソフト
富田勲氏が亡くなりました。

私には7つ年上の兄がいるですが、私が小学生の頃に富田氏にはまり、何枚かのレコードをよくかけていたのを覚えています。

私にとって、ドビュッシーやサティやムソルグスキーを初めて聴いたのは、ピアノ演奏によるものではなく、富田氏によるものだったのです。

時は流れて、高校生の頃。私は1枚だけ富田氏のレコードを購入しました。




「DAWN CHORUS」です。

-以下Wikiより-
冨田がそれまで主音源として使用していたモーグ等のVCOに代って、宇宙科学研究所で収録した宇宙からのパルス信号の波形をデジタルシンセサイザーに取り込み、音源として使用した作品。森本雅樹教授や寿岳潤教授を初めとする天文学の関係者の協力により、「獅子座AD星」の光度曲線をストリングスとして使用するといった手法が実現した[1]。タイトル名であるドーンコーラスの音は一曲目冒頭に使われている。

音楽と宇宙からの情報を結びつける斬新さにひきつけられて購入したわけです。
当時、高校1年生だった私には、その音楽は難しすぎたのですが、何かしら高尚なものを購入した自負みたいなものだけは得られました。

ある時、音楽の先生(30歳くらいの女性でした)が言いました。

「なにかお気に入りのレコードをもってきなさい」

私は、クラスの誰もが絶対に持っていない、聴いたこともない音源を持っていきたかったので、この「DAWN CHORUS」を持っていくことにしました。

高校の広い視聴覚室にはYAMAHAのシステムがセッティングされていました。 そしてスピーカーはNS-1000M。その頃の私には憧れのスピーカーでした。

そして授業では、私の指定でアルバムの1曲目、「ブラジル風バッハ 第4番 "プレリュード"」が流されました。

センモニから低音が朗々と響き渡りました。今考えると若干緩い低音ではありましたが、それまで自分が聴いたことのないような低音でした。
宇宙のスケール感みたいなものが感じられて素晴らしく思ったのを覚えています。


ただ一つ、当時の私にとって、大きな事故が起こりました。

音楽の先生がレコードの扱い方を「全く」知らなかったのです。

レコードというのは溝が命ですから、普通は素手では触りませんよね。

でも、その音楽の先生は当たり前のように素手でレコードの盤面をがっしり掴んで、袋から入れたり出したり…

お年頃の女性でしたので、返ってきたレコードには、手に塗ったクリームの油がべったりとついていました。

油ですからなかなか取ることができず、当時の私にはそれを解決する策を誰かに尋ねることもできませんでした。

そして、その悲劇から目を背けるかのように以後「DAWN CHORUS」を聴くことはありませんでした。


DAWN CHORUSは今ではYOU TUBEでも試聴できます。

久々に聴いてみることにしました。

美しい音楽は、人が創造したものではなく、宇宙から降りてきたのではないかとふと思いました。


富田氏は亡くなって天国に召されたのではなく、宇宙に飛び立っていかれたような気がします…


最新の画像もっと見る

コメントを投稿