Xenos Audio

オーディオと音楽について

メインスピーカー変更(その7)

2008年11月29日 01時01分28秒 | 使用機器
前回示したようにEOSのネットワークは黒いエポキシで隠されており詳細が把握できません。
そこで手持ちのLCRメータで何とか概要を把握できないものかと考えました。



ネットワークのブラックボックスは上の図のようになっています。
それぞれのLCRの値を調査することでパーツの存在を確認するのです。

※手持ちの部品でシミュレーションしてみると、LとCが直列に繋がれている場合、Lは正確に測れないことが判明しました(存在はわかる)。残念です。


まずローパスを調べることにしました。AB間はLが1.42mH、AC間とBC間はCもLもRも一切が検出されませんでした。つまり並列のコンデンサが繋がっていないということです。
ローパスについては、”インピーダンス補正もされていない1.42mH一発の一次フィルタ”ということがわかります。

ユニットを換装したとしても共振が強いものならば癖が目立つだろうことが想像できます。

ちなみに使用されている1.42mHのコイルのDCR(直流抵抗)は0.8Ωでした。ムンドルフの線材2mmのコイルなんかに比べると4倍程度高い値です。

さて、DCRが判明したので低域シミュレーションの準備ができました。
(つづく)

メインスピーカー変更(その6)

2008年11月28日 02時16分39秒 | オーディオ
EOSのネットワークの話に移ります。


EOSのネットワークは5mmのスポンジ、9mmのMDFの板に組み上げられ、厚さ30mmの黒いエポキシに固められています。
このネットワークの塊は背板からネジ止めされています。このネジは、スピーカー端子板を外すと出てきます。



コイルが2つ、コンデンサの塊が3つ見えます。単純に考えると
3次ハイパスと2次ローパスの組み合わせに見えるかもしれません。
しかし、画像左上で並列に組み合わされているコンデンサは0.1μFが2本なのです。このコンデンサからいかにもTWにケーブルが伸びているのですが、0.2μFでは値が小さすぎますね。何かからくりがあるはずです。

ちなみにコンデンサはMITのMulticapで統一されているようです。

ところでTWにはアッテネータがかまされています。


DALEのNSという無誘導型の抵抗です。50Ωがパラレル、1Ωがシリーズで接続されており、おおよそ1.5dBの減衰です。
50Ωのパラレルがそれ程必要とも思えないのですが私だけでしょうか。

さて、EOSのクロスオーバーの詳細が非常に気になります。
手持ちのLCRメータでどこまで調べられるかやってみましょう。

(つづく)



メインスピーカー変更(その5)

2008年11月26日 10時40分19秒 | オーディオ
EOSの外形寸法は横幅最大34cm、奥行最大41cm、高さは44cmです。


正面から見て台形になっておりフロントバッフルもスラントしています。AvalonとWattを合わせたような形です。

キャビネットの材質はMDFです。表面に突き板仕上げがされています。
フロントバッフルの厚さは9cmで厚みの異なるMDFが貼り合わせてあります。リアバッフルは3cm厚。その他は2.5cm(1インチ)です。
底板には約5mmの鉄板(?)が貼られています。
内部には4cm厚のブレーシングが施されており、直径5cm程度の穴が5つ空けられています。


ポートは背面上部にあります。直径4.6cm、長さ12.8cmのダクトです。
ユニットの容積とダクトの容積をキャビネットの容積から抜くと
約18Lになります。これが実効容積です。

低域のチューニングについてはネットワークも入れて考えなくてはいけません。
ただ、以上のデータにより低域の伸びを優先する設計か、或いは量感を優先する設計か程度の考え方はわかります。

※ところでilluminatorが届きません。何か大きく間違っているかな?
いっそのこと路線変更するべきか…

(つづく)







Lansche Audio のスピーカーとDuelundのコンデンサ

2008年11月19日 02時32分00秒 | オーディオ
今年の秋はインターナショナルオーディオショーとハイエンドショウの2つを観てきました。
その中で最も長く聴いていたスピーカーがこれ、

(avcatさん、画像ありがとうございます)


ランシェオーディオのNo.5です。
全域で力感とスピード感があって、かつ質感が自然。素晴らしかったです。

代理店の方に、
「このスピーカーのスコーカーはVifaにしか見えないんですけれども…」と質問すると「Lanshe Audioの自社開発です。」と即答があったのが印象的でした。
ちなみにウーハーも自社開発だそうです。

お暇な方はavcatさんにあるLanshe Audio No5の画像と以下の2つのユニットの
画像を見比べてみて下さいませ。

Vifa D75MX-41

VISATON TIW200XS

さて、話は変わりますが自作スピーカーサイトの最高峰Humble Homemade Hifiにおいて
主催者の方が絶賛しているパーツにDuelund社のコンデンサおよび抵抗があります。



実はDuelundとLanscheAudioは同じHi-end Ltdさんという代理店さんが扱っています。

私はDuelundのVSFが近い将来欲しくなるだろうと考えて見積もりをお願いしました。

6.8μFで38000円だそうです。性能的にも価格的にもMundorfのSiver/Gold/Oilの良きライバルといった感じですね。

絶対買えないけれど、でも凄く欲しいパーツです。
ちなみに抵抗は一本3000円台でした。これならなんとかいけそうです。

メインスピーカー変更(その4)

2008年11月18日 03時16分54秒 | 使用機器
自宅に招きいれたEOS。もしかしたらレビンソン&クラッセのペアより、自宅のPRIMARE&ACOUSTIC REALITYの方がよく鳴るかもしれない。
低価格の機器の方が良い結果が出るということはオーディオの場合では決して珍しいことではありません。

一縷の望みを抱いて聴いてみたところ…。
不満に思ったところが逆に増殖してしまいました。まぁ、そんなもんでしょう。

私はスピーカーは分解せずにはいられない人間なのでとりあえずEOSにも腹を見せてもらうことにしました。

とりあえずウーハーを外すことにします。このスピーカーに限らず、古いスピーカーはパッキンが溶けて接着剤代わりになってしまい、ネジを外したところでユニットはなかなか外れません。
そのようなときは太めの木ネジを使います。ネジ穴に木ネジをねじこんでから引っ張るのです。
色々格闘しているうちに外れました。



何の変哲もないETON 7-380/32HEXです。

ETON 7-380/32HEXは既にディスコンです。ネット上でスペックを探しましたが
見つかりません。

そこで私は独ETONにメールを出し、このユニットのT/Sパラメタを入手することにしました。

”Please send me 7-380/32 technical data”
中学1年生レベルの英語です。

返事は3日で到着しました。通じたようです。ETONのシュナイダーさん、どうもありがとう!

これが入手した7-380/32HEXのT/Sパラメタです。ご自由にお使い下さい⇒(Wordファイル

(まだまだ続く)




メインスピーカー変更(その3)

2008年11月16日 01時01分25秒 | オーディオ
さて、ショップでEOSを鳴らしてもらうことにしました。
私のシステムはCD31+eAR Master One+eAR501です。価格5倍のレビンソン+クラッセのシステムが頑張ってくれないと夢が壊れてしまいます。

というわけでリファレンスディスクを数枚かけてみたのですが…

・低域の伸びはこのサイズとしては驚異的。だが量感が明らかに不足している。
・中域の解像度が低い
・音場の奥行きは期待したほどではない。普通。ただし横方向は広い。
・C2-12のジャラジャラした癖が気になる。
・小音量ではもの足りない。
・音離れは非常に良い。

正直なところ、音離れと実物のデザインの良さ以外は良いところを全く見出すことができませんでした。
以前聴いたKRELL LAT-2には低域の不足はあるけれど、中高域にこれならではの凄みを感じました。EOSにはそのような武器さえも感じなかったのです。期待していた音場でさえ、XENONに負けている印象でした。

とまぁ、普通このインプレッションでは購入はしないのですが…

私は購入することに決めたのです。それは”鳴らしこめば上手く鳴る筈”なんていう理由ではありません。

徹底的にいじり倒そうという気になったのです。この素晴らしいエンクロージャーに最新のユニットとネットワークを奢って、世界に一つだけのスピーカーを構築しようと考えたのです。

エンクロージャーだけの購入と考えるとべらぼうに高い買い物です(良質なスタンドが付属していたのが幸いです)。
しかしそもそもスピーカーの自作において最も難しいのがエンクロージャーの製作です。美しく、良い音のエンクロージャーは素人に一発で作れるようなものではありません。
ネットワークはシミュレーションとカット&トライでなんとかなりますし、ユニットは組み合わせるエンクロージャーの容積が確保できているならば素性の良さそうなものさえ選べば良いでしょう。

”良質なエンクロージャーが用意されているので、そこにユニットとネットワークを合わせていく”というのは方法論として悪くないのではないでしょうか。

以降はその後に行ったEOSの解体から書いていきたいと思います。


(つづく)

メインスピーカー変更(その2)

2008年11月15日 03時54分34秒 | 使用機器
このスピーカー
アーテミス(Artemis)のEOSといいます。
販売時にショップに載っていた説明文をそのまま載せます。

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EOS(サペーレ)+EOS stand

高い空間再現、とりわけ後方展開する音場が好きな方にお勧めです。

■HDCDの開発技術者がモニタースピーカーに採用。
■7年もの開発期間を費やし、特定の周波数の共鳴・共振によるカラーレーションを排除する為にコンピューター解析を行い、バッフル面での有害な反射や定在波を抑える多面体エンクロージャー。
■2.5cmセラミック・逆ドームトゥイーター、アクトン社製。
■18cmウーファーはイートン社製で、ノーメックス材とケブラー繊維を組み合わせたハニカム3層構造。

●2ウェイバスレフ型
●感度:88dB/W/m
●インピーダンス8Ω
●size:W340×H430×D410mm/27.0kg、stand:W355×H640(スパイク含まず)×D510mm

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発売当時は高嶺の花でした。
今のようにACCUTONとETONのユニットを国内で簡単に購入することもできませんでした。
魅力的なルックスも含めて孤高のイメージのあるスピーカーだったと思います。

Webに公開されて3日も経過していなかったと思います。速攻で予約して聴かせてもらうことにしました。
鳴らしたセットはNo390SLとクラッセのセパレートでした。
(つづく)

Scanspeak 18WU/8741T 発注!

2008年11月14日 00時03分06秒 | 使用機器
評価が全くないものを購入するのには勇気が必要ですが、
それが当たったときの喜びというのもまた格別です。
Acoustic RealityのeARパワーアンプもそういう意味では素晴らしい買い物でした。

で、今回目をつけたのはスピーカーユニットです。遂に発売されたScanSpeakのilluminator。製品が発表されてから発売まで随分と時間がかかったようです。
もう少し様子を見ても良かったのですが、1ドル97円台の魅力に負けました。
トラブルさえなければもうすぐ到着するでしょう。

・従来のシリーズより軽めのダイアフラム
・強力な分割振動
・特異なコンストラクション
・低い能率、低いf0

奇をてらうことが目的ではないにしても、Revelatorからの正統的進化の形には見えません。使いやすいようには見えず、特にネットワークには苦労しそうです。
ただ、ScanSpeakが満を持して発表したフラッグシップが駄作であるとは思えないのです。

結果はいかに?…といってもきっと料理人の腕次第ですよね。



メインスピーカー変更(その1)

2008年11月11日 23時15分48秒 | 使用機器
メインスピーカーの変更に特に大きな理由があったわけではありません。
AMPHIONのXENONは実はなかなかの優れものでした。秀逸なデザインに隠れ、こっそりと設計者の拘りが随所にちりばめられている奥深いスピーカーでした。
例えば以下があげられます。

・プリント基板は使わない
・電解コンデンサは使わない
・板厚が19mmから30mmまで複雑に変えられている
・ブレーシングがスマートかつ巧妙である
・吸音材が透過性の高い布で包まれていたりする
・ユニットにはかなり大きなマグネットが使われている

これらの特徴は内部を覗いてみないと決してわかりません。見えない部分に物量を投入する品のよさが結構好きだったのです。

でも、なんだかどうしても物足りなくなってしまったのです。音というよりも存在そのものに。
本当の理由は、飽きっぽい自分の性格にあるような気がします。

私には自分のオーディオに”アガリ”と評している人の気持ちがよく理解できません。少なくとも、自分にはその境地が決して訪れないことがわかります。

オーディオはこんなに未完成なのに、こんなにも原音とかけ離れているのに、何故満足できるのだろう?
パーツの使用時間による劣化に目を瞑るのだろうか?
技術は日々進歩しているのにその可能性を試したくはないのだろうか?
他者のシステムに自分のシステムより良い点を見いだすことがないのだろうか?

などと考えてしまうのです。
どんなシステムを聴いても、そのうち必ず不満が出る。とすれば、満足はすなはち妥協の産物としか思えないのです。

私のような人間はお金が続く限り買い替えをしてしまいます。勿論そんな財力を持合わせていないが故に、結局はストレスがかかってしまうのです。

そこで、私の考えた最新メインスピーカーの条件は以下のようになりました。

・いじれること(飽きたときに遊べるように)
・デザインが良いこと(リビングオーディオなので醜いのは許されない)

とりあえず、音はおいときます。
思わせぶりに引っ張るのは好きではないので画像をさらします。

このスピーカーが売り出されたので聴きにいくことにしました。
今から半年も前のことです。


(つづく)



【すいませんでした】1年ぶりの更新です

2008年11月11日 01時36分59秒 | オーディオ
本当に久々の更新になります。年単位でさぼっていましたから、もう定期的に見に来てくださる方もすっかりいなくなってしまったでしょうね。今回から心機一転、また地味に更新していきたいと思います。

BlogやHomepageの立ち上げは果たして“自己顕示欲の表れ”なのでしょうか。私自身その気持ちはゼロではないと思うのですが、でもそれが100%ではないことは断言できます。
同じ趣味を共有する仲間のバリエーションは多ければ多いほど面白いもの。私なりのバリエーションを、Webを通して自国ばかりでなく世界まで提示すること。そのネットワークの一員としての役割を担うという意味が大きいです。
(ですから検索にすら引っかからないような閉鎖的な掲示板には諸手をあげて賛同できないのです。それはそれで楽しいのも理解できます。けれど、そればかりでは面白くもなんともありません。)

最近のサイト封鎖の大きな流れの中で、「皆さん、今だからこそBlogを、Homepageを世界に向かって立ち上げよう!」と思う私です。更新を長期にわたりさぼっていた自分のことを棚にあげて申し訳ないのですが、本当に心からそう思います。

オーディオという深遠で楽しい趣味における、少しだけ個性のあるバリエーションの1つを今後提示できたら良いなと思います。