Xenos Audio

オーディオと音楽について

PMC BB5

2006年11月29日 08時22分25秒 | オーディオ
PMC社のBB5


数あるハイエンドSPの中で、長い間聴きたくても聴けなかったものの一つでした。大阪の某有名ショップで絶賛されているのが目立ちますね。先日池袋でこれまた某ショップの特別フェアにおいてこのSPが聴けるとわかり、早速出かけて来ました。

BB5はトランスミッションラインを使った大型3WAYで、PMC社のフラッグシップでもあります。TLSの特徴や利点についてはkatsuさんのホームページが非常にわかりやすい(勝手にリンクすいません)ので参照下さい。
で、ウーハーにはVOLTの38cm、スコーカーにはATCの75mm強力ソフトドーム、TWにはvifaの超廉価27mmソフトドームを使用しています。
ユニットについては多少のリファインや選別はしているかもしれません。少なくとも磁気回路にはPMCのシールが貼ってあるみたいです(AMPHION XENONのSEASユニットにも”Amphion”のシールがありますけどね)。面白いのは画像によってTWの使用ユニットが異なっていることです。初期はショートホーン型を使っていたようですが現在は違うみたいです。ひょっとしたらアクティブ型とパッシブ型で変えているのかもしれません。

クロスは380Hzと3.8kHz。両者とも4次フィルタです。W420D790H1040mmという奥行き方向に巨大なキャビネットは内部の音道についてこのPDFからほぼ正確に把握することができます。実は38cmウーハーはTLSの閉口端から距離をおいてセットされていたわけです。キャビネット後部下の抉られた部分はそのためにあったのですね。キャビネットの材質的には普通のMDFということです。

とまぁ、諸仕様を考慮してみると少し器用で環境が揃っている素人であれば真似しようとしてできないスピーカーではありません。
(そういう意味ではAVALONだってそうですが、このメーカーはネットワークの仕様を隠していますからこの辺がうまいところです。)
少なくともユニットが手に入らないという点においてB&W805のレプリカを作る方が余程大変そうです。

さて、音です。
暖かく、厚い音色です。音離れは特別良くはありません。ただしSPにへばりつく程悪くもありません。音場は狭くはないですが、奥行き方向に広いかと尋ねられるとこれより広いSPは沢山あると答えます。低域のレンジやスピード感は十分ですが、構造上の癖が若干聴こえます。つまり重低音が唸る感じです。解像度はまぁまぁですが特別ではありません。また、全域でゴリッとした力感を感じます。
オーディオ的な分析をしながら聴くとB&WやWilsonの高級機に殆どあらゆる点で劣るように判断できます。
ただし、音楽を楽しむという点についてはなかなかのもの。低域の伸びとユニット間の繋がりが良いこと、それから暖かい音色が相乗効果となって、”音なんか気にしないで楽しもう”とまるで俗世を忘れて温泉にでも浸かるような気分にさせてくれます。

300万円という日本国内での価格は高すぎると思いますが、これにしかない独自の魅力もありそう。オーディオの買い替え地獄から抜け出すにはこんなスピーカーが良いのかもしれませんね。

※ちなみにその他の使用機器はパナソニックのブルーレイディスクプレイヤー、アキュのVX、マランツのPAシリーズでした。eARで鳴らすともっと低域が締まって空間が出るかななんて思ったり…

リスニングルーム(その3)

2006年11月22日 22時55分27秒 | オーディオ
私のリスニングルームでは実用的かつ音質重視のセッティングは無理と判明しました。で、やはり縦長セッティングで詰めることに。左右を思い切り広げ、音離れの悪さは壁反射を吸音材で和らげることで対応し、内振りなんて数え切れないほど調整し、しかもチャンデバとアンプをおごったアンビエンスTWまで付加してセンターの密度と奥行き感を補強し…
引っ越し半年後で漸く「この部屋では限界」というところまでたどり着きました。
で、いい音?と尋ねられても答えはNO!です。絶対値が低すぎますから。特に空間表現が悪いのと低音に癖がある(80Hzの巨大な谷は測定済み)のが致命的です。
というわけで現在グレードアップは休止中です。
ただ、半年以内には引っ越す予定。今回こそは慎重に行きたいと思います。専用ルームなんていらないですから(家族で楽しみたい)ただ普通に広いリビングが欲しいです。
そして、残り30年使う予定の人生最後のスピーカーも…



『リファレンス・レコーディングス 30th アニヴァーサリー・サンプラー』

2006年11月21日 00時25分24秒 | オーディオ
超HIFI録音で有名なReference Recordingsのサンプラーが新発売になりました。
既に持っているのはこの2枚。


RR906


RR905

で、今回発売されたのはこれ。

RR908

3枚とも平均値が極めて高く、”オーディオをやってて良かった”と、この趣味の素晴らしさを再認識できるような優秀録音です。特にこのレーベルは空間の奥行きと透明度、低域の深さと力感が印象的です。特に「TUTTI!」は楽曲が親しみ易いのでクラシック好きでない方にも是非オススメです。

久々の学生気分

2006年11月17日 23時09分50秒 | オーディオ
専門学校の教師は思ったよりハード。営業また営業でその隙間に授業内容を練るといったスケジュールで毎日が過ぎていきます。でも担任やってると学生が可愛いんですよ。人に何かを教えるという行為も追求すると果てしなく奥が深いし。だからこの転職を後悔はしていません。ただ会社はまだまだ資格を取れと言うのです。楽はさせてくれないものです。
で、今日はそのからみで大学の講義を聴きに行きました。
しかしツマラナい。ただツマラナいだけなら良いのですが徹底的にツマラナい。「より良い授業とは何か」を教える講義がこんなに面白くなくて良いのでしょうか。
一つだけ得た知識があります。世界で一番教育水準が高い国はフィンランドだそうです。あまり関係ないのですが「やるじゃんAmphion」という気持ちになりました。




リスニングルーム(その2)

2006年11月12日 20時39分36秒 | オーディオ
オーディオの趣味を始めてからこれまでいろんな部屋でセッティングを行ってきました。
1.10畳洋室
2.6畳和室
3.6畳和室
4.8畳洋室
5.5畳洋室
6.6畳洋室
7.11畳洋室
8.6畳洋室

詳細は省きますがこれらは全て異なる部屋です。この中で比較的良い音でなっていたと思われるのは1,7の2箇所だけです。他は低域に癖があったり迫力がなかったり…。7よりも1の方が良かったですね。これ実は実家なんですよ。広さに加えて鉄筋コンクリートの家でしたから床が非常に丈夫でした(これだからイナカは良いです)。4の部屋に住んでいたあとに1の部屋にセッティングして良さを再認識したこともあったので”初心者だったから良いと感じた”わけではありません。

さて、ごく普通の直方体のリスニングルームにスピーカーをセッティングしたときのフリーのシミュレーションソフト(フリー)は私の知る限り2つあります。
1つめは以前に紹介したことのある、CARAです。
http://www.elac.com/en/products/caraquick.html
上記をクリックしていただくとわかると思いますが、残念ながら現在このソフトは使用できません。ELAC製のスピーカーの特性をかぶせて見れるので現実的シミュレーションができて便利だったのに残念です。
もう一つはstereosoundの連載で有名なこのページです。
http://homepage2.nifty.com/hotei/
このソフトに私のリスニングルームの寸法を入れてみると大変なことがわかります。ごく暇な人は私の現在のリスニングルームの寸法を入れてみてください。
(W230D460H240)絶望的なことが分かると思います。
比較的良い特性の位置が出たと思うとその場合のSP間隔は…

絶望的に小さいのです。
(さらに続く)

ソニーの新型スピーカー

2006年11月10日 23時11分36秒 | オーディオ
オーディオ製品には「志」ってのがあるべきだと思うのです。それが高額なものならなおさら。
「志」が込められているならばいつの日にか必ず結果が伴うと信じられるものです。

さて、ソニーのこの新型スピーカーのアピールポイントは北海道産の楓を使ったフロントバッフルだそうです。で、日本で加工したのも売りみたいです。どこをどう見てもスキャンスピークのユニットは「自社の開発」らしいです。ピアノ仕上げやダクト開口の造りも自慢だそうです。
で、ペア180万円と…

さて、この製品に「志」を感じるマニアがどの位いるのでしょうね…
私にはムリ。DR1ペアの出来が良いだけに尚更残念に思います。



リスニングルーム(その1)

2006年11月09日 11時37分02秒 | オーディオ
オーディオ装置から放たれる音にある程度の音場感やスケール感、低域の自然さを求めるならばそれなりに「広い」部屋が必要です。ただ、一言「広い」といってもその尺度は人それぞれでしょう。私個人としては10畳というのが一つの目安と感じています。これより狭いと結果を出すのは難しい。複雑な要素が錯綜するオーディオの世界において、不可能ということはもちろん言えませんが、狭い部屋で良い結果を出すにはかなりの投資と技術が必要と実感しています(実際六畳間で素晴らしい音を聴いたこともあります)。
ただ言えるのは、狭い部屋で良い結果を得られる力があるならば広い部屋に移った時により高いレベルに到達できるということです。
料理に例えるならば部屋・装置は素材。料理の腕に自信がないならば素材に投資するのが簡単に成功する秘訣でしょうね。で、腕に自信のある料理人が素材にこだわれば当然それは鬼に金棒なわけです。
一方、碌に料理もできない人でも味を語ることができるのはごく自然なこと。これは味覚を勘違いしているわけでは決してなく、ただ単に「創造する能力と評価する能力は異なる」だけのことと思います。スポーツ、趣味、政治…世の中プチ評論家で溢れかえっています。

何が言いたいのかというと私自身、オーディオという趣味において音の好き嫌いをはっきり判断することはできるのに、自分の感性に沿った音を作る能力には乏しいということなんです。
味覚があって腕がない料理人であるならば素材で勝負するしか手がないのに、私はそれすらしていない。ここが大きな問題なわけです。
私に関していえば大切な素材である「オーディオ装置」そのものは多分問題は少ない。どのコンポも価格以上の能力を秘めているのは確かです。

ならば部屋の方はどうかというと、これが非常に大きな問題を抱えていることに気づきます。

要は腕がないのに素材が十全ではないんですね。これは良くない。美味しいものができる筈がないのです。(つづく)