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O邸新築工事竣工写真1


静岡市駿河区の新築住宅です。
木造3階建て住宅で、1階は車庫と玄関・ホールとなっています。

狭小地なので駐車場スペースを1階部分に確保する必要があったので、ジューテックのJフレームを採用しています。

Jフレーム

写真は、友人が撮影してくれました。
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層間変形角だけで補助金申請には疑問


写真は、最近主力補強製品として採用している東海ゴムが開発したTRC-30W(筋かい型粘弾性体の制震ダンパー)です。
これまで主力としていたSDU-W(複合鋼板耐震壁)は、性能の高さは認めるものの制震性がどの程度向上したかについて依頼者に説明することができない点という問題がありました。

昨年の建築士事務所協会主催のアーキフェスタで実大木造実験の実施が縁で東海ゴムという会社との縁が深くなり、TRC-30Wを真剣に検討するようになりました。

採用理由は大きく3つあります。

①耐震診断法を考案した日本建築防災協会が認定している製品であるということから診断法に必要な「基準耐力」や「基準剛性」といった数値を安心して採用できる点。この表現が正しいか分かりませんが、個人的には純正製品を使うことによる安心感に近いと思っています。

②耐震診断法では反映しにくい制震性を東海ゴムが独自に開発した木造住宅用時刻歴応答解析プログラムで示すことができることです。依頼者に費用対効果を明確に説明することは、もはや耐震補強内容を正確に示す上で必要不可欠であり、高いお金を支払ってもTRC-30Wを採用するメリットが認めてもらうには有効な解析と考えます。

③制震ダンパーを東西南北面各1ヶ所取り付ければ良いという乱暴な説明ではなく、構造用合板や筋かい等によってある程度保有耐力を確保した上でTRCを取り付けることが大前提という技術部門の担当者からの説明に同感しました。

時刻歴応答解析は、60m超の超高層ビルに採用するもので、それを木造住宅に改良したものを東海ゴムが開発したことについては、正直驚きました。TRC-30Wという製品よりもその点に注目すべき点だと思います。

「この製品を取り付ければ地震の揺れが軽減されます。」

言葉で説明するのは簡単ですが、実際に軽減されるのか怪しいと思いたくなるような製品が多い中で、しっかり解析プログラムまで開発して製品を販売する点は見習うべきと思います。

ただ、時刻歴応答解析で地震時の建物の層間変形角(地震などの横揺れによって住宅などの建築物が閉経する時、各階の床と真上または真下の床との、水平方向における変形の角度)が1/15以下「安全限界(倒壊)」もしく1/30以下「損傷限界」であるかどうかを判定可能だとしても解析に使用する入力地震波がどのようなものかで解析結果が異なります。
怖いのこの点です。
つい私たちは結果だけに着目してしまいますが、その結果を導き出すための過程において問題があれば、その結果は誤ったものとなります。自分たちにとって都合のよい結果であればあるほど陥りやすいだけに注意が必要です。

そのため、東海ゴム側には、TRC-30Wの採用を検討する際に様々な質問を行いました。それは採用を決定した現在も継続中です。解析結果によっては、無理にTRC-30Wを使わなくてもよいと判断することもあると思います。今後もSDU-Wは使用しますし、建物によって適切な補強方法を検討することを忘れないように心がけます。

なお、問題の入力地震波については、東海ゴムは人工地震波のレベル2(BCJ L2)を採用しています。
BCJ L2については、

①人工地震波のレベル2(BCJ L2)の定義は、
日本建築センターの設計用入力地震動作成手法技術指針(P2)を見ると、 (http://www.bcj.or.jp/src/download/wave_guide.pdf)
”過去に受けたことのある地震動のうち最強と考えられるもの‥” とあります。

②人工波は、地盤や建物の固有周期の影響をなるべくうけないような幅広いスペクトル特性をもつ波形で様々な建物を対象に設計に用いることができます。

ということで問題はないと考えます。

最近は、依頼者に対して、耐震補強工事に対する補助金が支給される最低限度の補強内容と私が推奨する補強内容の2パターンを提案しています。
どちらの補強とすべきか検討して頂く際に変形角の違いも参考になると考えています。

ちなみに東海ゴムだけでなく、独自に開発した時刻歴応答解析を提供するメーカーは他にも存在します。層間変形角の結果だけで焼津市は補助の対象と判断してもらえるようですが、保有耐力が必要保有耐力以上確保しているのかどうかの確認は必要ではないかと思います。

次回は、TRCを実際に取り付けた際に感じた点について書く予定。
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