はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

スーパーサイズ・ミー

2007-12-17 21:48:48 | 映画
スーパーサイズ・ミー 通常版

クロックワークス

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「お客様を大切に。そうすれば商売は自然とうまくいく」
                   マクドナルド創立者 レイ・クロック

「スーパーサイズ・ミー」監督:モーガン・スパーロック

 2002年11月。米国在住の二人の少女が訴訟を起こした。相手はマクドナルド。「人体に有害であるとわかっているものを販売している」という彼女らの訴えは「因果関係が認められない」として却下されたものの、この裁判では同時に興味深い見解が得られた。
 つまり危険性が立証されればいいのだ。
 身長187cm、体重84kg、体脂肪率11%。モーガン・スパーロックは三人の医師と一人の栄養士の助力の下、一つの実験を行った。それは、「30日間マクドナルドの食事のみで生活する」こと。なるべく運動せず、3食きちんと摂り、勧められたら必ずスーパーサイズを選ぶなど縛りを加え、自分の体を実験体にマクドナルドで販売される加工食品の危険性を立証しようという。
 こうして開始された「マックアタック」に、最初は誰もが楽観的な予測を立てていた。体重、血圧は上がるだろうが、人体には強い適応性がある。劇的な変化はないのではないか。
 しかし実験は意外な方向へ傾く。10日もしないうちにスパーロックは体の変調を訴え始め、20日をまわる頃には医師のストップがかかった。これ以上は命に関わるという。周囲の助言や心配にも耳を貸さず、30日を無理矢理完走したスパーロックのマックアタックは、体重11kg増、体脂肪率7%増、躁鬱、性欲減退、脂肪肝と様々な症状を引き起こした。彼が元の健康体に戻るまで9ヶ月を要したという。

 どこぞのテレビ局のバラエティー番組ででも行われそうな実験映画だが、舞台が米国とくるとそうもいかない。なにせ名うての「大盛りベタ甘」帝国。リッターサイズの(!)コーラや巨大バーガー(吐くほど大きい)の連打で、スパーロックの体調がみるみる悪くなっていくのが恐ろしく、皆で笑いながら見るというわけにはいかない。少なくともこの映画を視聴したいくつかの家庭では確実に食事メニューが変わったはず。
 米国の給食産業や食品営利団体の舞台裏へのインタビューなど多角的なアプローチもあり、膨張する加工食品産業への問題提起として見ても十分面白い。だが一番興味深いのは、公開から程なくして米国のマクドナルドからスーパーサイズのオプションが消えたこと。この映画との因果関係はないといっているが果たしてどうか。
 メガマックやらメガ牛丼やらの大盛りブームに待ったをかける問題作。食生活改善のためにも見る価値は大いにある一作なのだ。

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