サイレント・ブラッド 1 (少年チャンピオン・コミックス)神先 史土秋田書店このアイテムの詳細を見る |
「サイレント・ブラッド(1)」作:神先史士 画:太田正樹
昭和の中頃まで鉱山で栄えていた村・潮岡村。過疎化と医師不足に悩む江田園病院に2人の医師、無愛想な真壁とアフロデブの鶴田が転院してきたのと前後して、村には怪しげな奇病が流行る。健康な大人が正気を失い水分を……というよりは血を求めて歩き回るようになるその病は、人知を超えた寄生虫を原因とするものだった。
第三世界での経験を生かし、メスを振るって寄生虫を駆除する寄生虫ハンターの真壁は、院内での大量感染こそ防ぎとめたものの、寄生虫はすでに村中にはびこりつつあった……。
虫は嫌い。むかしむかーしのイノセントな頃は昆虫採集に明け暮れる子供だったんだけど、冷蔵庫に張り付いたゴキブリをハエタタキで仕留めようとして、起死回生のバンザイアタックを顔面に受けて以来、もう全般がだめ。寄生虫ももちろんだめで、写真にだって触れないくらい。でも、怖いもの見たさだよね。その手の映画や漫画は大好物。
この漫画は、久しぶりに見た正統派バイオホラー。寄生虫に操られゾンビのようになった村人と、まっとうな人間との攻防を描いた作品。
主人公の真壁のニヒルさや、引き立て役の鶴田との軽妙なやり取りや、なかなか現実を見ようとしない数学少女(もはやテンプレ)ハクレイとのやり合いなど、キャラ相関がうまいこと成立していて楽しく読めた。
なんといっても「売り」な寄生虫パラダイスは、サナダムシ、フィラリアと段階を経て、人間をも操る「それ」の奇怪さや恐ろしさや恐怖がにじみ出るように描けていた。
人は選ぶけど、その手の趣味の人には文句なしの良作。
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