君はフィクション (集英社文庫)中島 らも集英社このアイテムの詳細を見る |
「君はフィクション」中島らも
中年小説家「おれ」の創作パワーの源・香織には、性格のまったく正反対な双子の妹・詩織がいる。ある日、デートの約束に来れなくなった香織の代理で来た詩織と、「おれ」は抜き差しならぬ関係になってしまうのだが、そこには驚愕の事実が待っていて……表題作他11作からなる故・中島らもの短編集。
「今夜、すべてのバーで」、「ガダラの豚」などの長編以外はエッセイ本しか読んだことのない身としては、どの話もあっさりしすぎていて、肩すかしの感がある。といって、あっさりしてない話はグロいか狂ってるかどっちかで肌に合わない。
しかし軽妙な文体はさすがの旨さと独特のリズムで、他に比肩するもののない中島流。表題作の他に、決して最後まで見ることのできないホラー映画「コルトナの亡霊」。奔放すぎる女と神経質な調律士の恋愛「バッド・チューニング」など気の利いた話も混じっている。中島らも入門編としては厳しいような気もするが……。
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