ララピポ

ララピポ (幻冬舎文庫) 奥田 英朗 幻冬舎 このアイテムの詳細を見る

「ララピポ」奥田英朗

　タイトルのララピポとは、「a lot of people」の略。早口で言うと日本人にはそう聞こえるとか。本書が群像劇であることを示してるわけなのだけど、そこは奥田英朗。半端な群像じゃない。「空中ブランコ」やら「サウスパウンド」などという色のどぎつい名作をものしてきただけあって、登場人物は曲者揃いだ。対人恐怖症のフリーライター、NOといえないカラオケボックスの店員、AV・風俗専門のスカウトマン、デブ専DVD女優のテープリライター、デブのおばさん風俗嬢、官能小説の大家、人生の裏の道を歩む6人を結ぶストーリーは、エロくてグロくてどぎつい挫折の連続で、格差社会の底辺の地面の冷たさをこれでもかと味あわせてくれる。しかも最後に救いはなく、どん底まで沈んだ気持ちのまま、切ないラストを迎えることになる。
　はっきりいって人を選ぶ。感情移入の激しい人や、人の善なる心根を信じる人は回れ右。奥田英朗の著書ならもっと面白いものがたくさんあるので、是非そちらを読んでいただきたい。本書は奥田マニア向け。初見さんお断りの痛々しいお話なのだ。