狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

三枚肉とゴーヤ―

2006-02-23 07:47:41 | 食文化
すっかり全国的に有名になった沖縄そば。

全国で只一つだけ「そば粉」が入っていなくても「そば」と表示できるのが沖縄そば。

食品表示法違反ではない。

昔からの慣習に国がお墨付きを与えたのだ。

「法匪」とも呼ばれるお上にしては粋な計らいをしたものだ。

沖縄そばの具には三枚肉とカマボコが定番である。

ところが三枚肉の意味が良く分かっていない沖縄県外の人が多い。

沖縄で三枚肉と言えば「豚のばらの部分の肉」と相場が決まっている。

赤身と脂肪が層になっているので三枚肉といわれている。

皮つきの肉を甘く煮しめ(煮つけ)にして,沖縄そば,重箱などによく用いる。

間違っても三枚の肉のことではない。

いわんや牛の三枚の肉となると、これは問題外。

元々沖縄で牛肉を食べる習慣はあまりなかった。

アメリカの沖縄占領時にステーキやハンバーグとして普及しだした。

しかし沖縄の伝統行事には三枚肉が欠かせない。


       ◇         ◇         ◇


その男は、時間さえあればドライブをするのが楽しみであった。

季節の移り変わりを肌で感じるために。

その日も春の息吹を求めて東海岸沿いを一路北へ向かって車を走らせていた。

石川市に入ったところで警官に行く手を阻まれた。

何か事件でも起きたかのかと車窓を開けた。

いきなり三枚肉とゴーヤ―を手渡された。

警官の他にボランティア活動らしいオバーが数人同行していた。

その様子から事件では無いと推察した。

・・が、ドライブ中の人にいきなり三枚肉を手渡すなんて。

それ自体が正に「事件」そのものであった。

ゴーヤ―だけだったら特産品の宣伝で良くある話。

笑って受け取っておけばよい。

それが、三枚肉の手渡しとは。

これは只事ではない。

≪石川署の警官と石川市民は豚の呪いで血迷ったのか≫

≪それとも、モウロク集団となり果てたのか≫

目の前の出来事はその男の白昼夢ではなかった。

紛れも無く10年前に実際に起きた「事件」であった。

全ての謎を下記琉球新報コラムが解き明かす。


琉球新報 (2006年2月15日 9:27) 金口木舌
 10年以上も前のこと、国道58号、国道329号を管内に抱える石川署は交通死亡事故の多発を受けて、奇抜な名前のキャンペーンを展開した
▼それは道路名との単純な語呂合わせで「ゴーヤー(58)作戦」「三枚肉(329)作戦」と名付けられていた。道路脇で交通安全を呼び掛けるビラとともにゴーヤーや三枚肉を配り、ドライバーに注意を喚起させるのが狙いだった
▼いきなり警察官や地域の人からゴーヤーを手渡されたドライバーは目を白黒させ驚く。その様子を地域の人や警察官らが楽しく見ていた
▼もちろん作戦に事故抑止の即効性を求めるのは無理だったが、地域の人と警察官との一体感が生まれ、その後の地域活動はより円滑に進んだ
▼当時、署長だった仲本正和さんは「ゴーヤーをもらったドライバーは笑顔になり、気分が晴れる。そうすると、ゆとりが出て他人に優しい運転ができる。それだけでも事故抑止につながる」と話していた
▼今年に入って那覇署管内では死亡事故が多発し、同署は非常事態を宣言した。事故原因の大半は前方不注視、安全不確認という。取り締まりだけでは限界がある。事故を少しでも減らすために、ドライバー一人一人が、常に「人に優しく」との思いを胸にハンドルを握ろう。


その後、石川市で「三枚肉作戦」が続行されたと云う話を聞いた者はいない。



コメント (2)