「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

静岡大学への出向&地域見守り隊プロジェクト

2008-01-18 23:54:29 | Weblog
 この日の朝も旅の朝。

 体の負担を考えて取った静岡駅前のホテルから出発。年に何回か
ある静岡大学への出講日。10時20分から1時間半、市民防災に
ついて話をする。工学部等のある浜松キャンパスにも学生がいて、
彼らにとっては遠隔講義となる。

 驚くべきか、悲しむべきか。考えさせられることが一つ。

 防災にせよ危機管理にせよ、自らの抱えているリスクを知ることが
対策を考えることの出発点となる。孫子曰く「敵を知り己を知らば、
百戦危うからず」。

 静岡県は、01年6月、東海地震についての第三次被害想定調査
報告を発表している。通称「三想定」。市町村別、町丁目・大字別に
「この場所ではだいたい○○くらいの揺れが起きる」ということが
HP上で確認できるのがポイント。「旅の坊主」としては、三想定を
語らずして静岡の地震防災and/or東海地震を語るなかれ、と言いたい
ところなのだが……。

 なるほどこの日の受講生は、防災を専門に学んでいる学生では
ない。一般教養に類する科目とはいえ、仮にも静岡の大学で(たとえ
1科目であろうとも)地震防災を学んでいる学生。というので「これを
見たことがありますか?」と聞いてみたが、その結果に愕然とする。

 静岡・浜松両キャンパス合わせて150名ほどの学生が受講して
いたと思うが、三想定を知っていた学生はものの見事にゼロ。これは
これは……。

 静大では来年度から、地震防災を柱に据えた新規プロジェクトを
立ち上げるのだという。この現状で大丈夫だろうか……。

 講義コーディネーターの理学部・里村先生と昼食を共にした後、
富士に戻る。14時半くらいから、地元大渕の「富士市福祉キャン
パス(知的障害児施設・ふじやま学園&障害福祉サービス事務所・
くすの木学園)」で、「ふじ児童見守り隊」のプロジェクトについての
意見交換会&今後に向けてのアイディア出し。

 場をセットして下さったのは、コミュニティ・シンクタンク富士の
太田さん。

 総務省の助成事業で、IT技術と地域ネットワークを組み合せ、
児童・生徒や障害者・高齢者を地域で見守る仕組みづくりについての
実験が全国10ヶ所で進行中という。「ふじ児童見守り隊」のプロジェクト
は、東海地方で唯一でNPOを主体としたものとしても唯一なのだとか。

 プロジェクトの話を聞くのは初めてだったが、①防犯ブザーを鳴らし
たら、警備員が駆け付けるシステムではなく、地域の人が駆け付けて
くれるような仕組みを作ろう、②児童・生徒の連れ去りや、高齢者や
知的障害者がいなくなってしまった場合でも、地域の人がすぐに対応
出来るような仕組みを作ろう、という2点で、大変興味深い取り組み
だった。

 「大渕の福祉・医療・教育を考える会」のコアメンバーであり、知的
障害者施設・静岡県立富士見学園の明石園長も同席して下さっている。
明石園長との以前からのお付き合いもあり、お手伝いすることになる。
 (うーん、ここでも自分の首を絞めているようにも思うが……。)

 明石園長とは久し振りにお会いすることでもあり、積る話もあるが、
それをやってしまうと……ということで、考える会の次回の例会に出る
ことを約束し、早々に失礼して大学へ。

 当然のことながら大学は、翌日からのセンター試験の準備で大わらわ。
まぁ、任せられるところはお任せしよう、というところで、こちらも
早々に失礼して翌日に備えることにする。
 (といっても、床についたのはいつものような時間になってしまった……。)

                                    (1月20日 記す)

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