「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

「絵」を描くことの大切さと難しさ

2010-11-18 23:25:06 | 中米防災協力(プロジェクトBOSAI)
予定していた早期警戒システムの研修プログラムが
前日までで終わったこともあり、
1日繰り上げてJICAパナマ事務所を訪問、
M所長、担当Mさんと、Sリーダーを交えて諸々の打ち合わせ。

5年間のプロジェクトに、半ばを過ぎての参加であり
当然のことながら、活動をどのように終わらせるかについて、
今からしっかりと考えておく必要がある。

そのことの重要性は十分理解しているつもりだが、
残念ながらたかだか2ヶ月ちょっとの滞在経験しか持たず、
プロジェクトサイトへの初度視察も終わってない。
なかなか、期待・課題と現実のギャップが埋まらない。

プロジェクトの終了後を考えるならば、
我々が直営で、つまりは自分自身が体を動かしてやるのではなく、
カウンターパートなりコミュニティなりに
うまくやらせてナンボ、という話になる。

「ここは日本に任せているのだから、
俺たちは何もやらなくていいのだ」
などという話になってしまったら、
何のためのプロジェクトか、ということになる。

地元の人材の活かし方。
言うは易し、行うは難しであることは言うまでもないが……。

次は1月に、ということで、
全体での打ち合わせを終える。

引き続き、担当Mさんに時間をもらい、
もう少し細かい意見交換など。

計画で規定している各到達目標に対して、
率直に言ってゴールが見えない、という現状がある。
どうすれば、評価に足る成果を残すことが出来るのか、
その評価のモノサシ自体の検討も含めて、
いろいろと議論をさせてもらう。

各国から上がってくる成果のうちの共通部分が、
まずはプロジェクトの成果、ということになる訳だが、
それだけでなく、
共通の成果からはみ出した部分についても、
(少なくとも)定性的な成果として位置づけ、
次の世代に、あるいは横に伝えるべき。

そのようなアイディアをもらったように思う。

プロジェクトが雇用している現地スタッフZさんが
事務所に報告に来ている。
報告の仕事は終わったとのことだったので、
ちょうど時分どきでもあり、お昼をごちそうすることに。

敵もさるもの、ひっかくもの。

事務所があるワールド・トレード・センター(!)のお向かいの、
洒落たシーフード・レストランに案内される。
後で聞いてみればなかなかの高級店だとか。
確かに味は良かったが値段も相応。
しっかりとたかられてしまった。

まぁ、そこは、じたばたしたところで始まらない。
美味しくシーフードをいただきつつ、
プロジェクトに対する思いやら提案やらを聞かせてもらう。

で、考えた。

BOSAIの精神は一つ、すなわち
「リスクとの共生を学ぶ」という言葉に尽きるが、
現実の中で、具体的に求められるBOSAI活動は、
その土地、その土地に応じて、自ずと異なるものとなる。

では、3県(州)の6つのプロジェクトサイトについて、
その土地におけるBOSAIの絵を描けるだろうか。

「まずは調べて記録に残そう」かもしれない。
早期警戒の仕掛けを作って導入し、
何かあったらサイレンが反応するから「逃げよ」かもしれない。
「参加型で小規模土木工事をやろう」かもしれない。

土地柄・地域特性を理解した上での、
意識向上、組織化、能力向上、等々。

プロのBOSAI人として、
みえる化からカイゼンまでの絵を描けるか。
そして、その絵を、説得力ある形で語れるか。

それぞれのプロジェクトサイトの特徴と、
その特徴に相応しい住民参加型のBOSAI活動の絵、
まずは、その絵のイメージを持つことが先決であるな、と
改めて確認させてもらった。
美味しい料理に感謝、というところであるな。

ホテルに戻り、
ようやく頭も動き出したらしく、
メールやら原稿書きやら。

夕方、M所長と担当Mさん、
Sリーダーと「旅の坊主」の4人で、
近くの韓国料理屋へ。

好き嫌いなく何でも食べるが、
それでも白いご飯があるとホッとするのは、
やはり東洋人ゆえ、なのだろうなぁ……。

                       (11月20日アップ)


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