「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

家族を捨てて病院に行くことを美談にしてはならない:静岡の看護師が覚悟しておくべき役割の衝突

2015-07-22 23:47:57 | 災害医療・災害看護
前期水曜は3コマ。「組織の災害対応」で企業の災害初動対応のあり方を語った後、1年ゼミと2年ゼミ。
今日は2年ゼミを終えた後、富士市立看護専門学校へ。

同校では、先週まで「災害看護」を非常勤で教えていた。
3コマだけの分担ゆえ、十分なことも言えなかったことを申し訳なくも思う。
3コマだけだが、終講時の試験はしっかりやらなくてはならず、で、
100点満点中の20点分ではあるのだが、レポートの添削と採点に出向いた次第。
2時間半を費やすも、39名の学生の半分しか終わらず、残りは来週に持越しとなってしまった……。

今年度も3つの看護専門学校で災害看護を教えているが、そのいずれも終講時のレポート課題は同じ、
つまり、医療職・看護職としての自分と、私人・家庭人としての自分との役割の衝突について。

以前にもこのテーマでブログ更新をしたような記憶もあるが、
やはりこのテーマ、静岡でこれから看護師になろうという学生には、
卒業前に一度は真剣に考えてもらわなくてはならないテーマ、と思っている。

私が直接教えることが出来るのは、毎年3校の3クラス、合計でも160名というところ。
もっと多くの人に伝えるためには、やはり本を書かなくてはダメ、か……。

今年の富士市立看護専門学校3年生は優秀な学生が多いようで、
どのレポートも、「おぉ、しっかりと問いかけを受け止めてくれているではないか!」というようなもの。
その分、読んでいて楽しかったし、レポートを介してのキャッチボールも多少は出来たと思っている。

この「家族を捨てて病院に行くことを美談にしてはならない」というテーマで、
来週水曜日、富士宮市立病院でも講演をさせていただくことになっている。
富士宮市立病院の皆さんに語りたいメッセージもまったく同じ。

20年くらい先、私達は南海トラフの巨大地震に見舞われる訳で(レベル1だとは思っているが)、
その時には、程度の差こそあれ、役割の衝突に追い込まれるのは明々白々なこと。
であれば、そのことを意識して、まともな立地にあるまともな家を購えるようしっかり稼いだ上で、
かつ、自分の災害時の役割を家族と地域に理解してもらえるよう、説得を続けること、
これしか手はあるまい。

1年に160名であっても、何年も同じことを伝えていけば、それなりに広がっていくだろう。
そのことを期待しつつ、でも、より多くの人に伝えるには、やはり本を書かなくてはだめ、か……。
東日本大震災から来春で5年。このタイミングを失うことなかれ、である。

『近代消防』の連載も今日明日の勝負。
原稿書きには慣れているはずだが、それでも、きつい……。


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