「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

三菱総研にて

2008-01-21 23:50:17 | 地域防災
 午後、東京へ。

 大手町にある三菱総合研究所内で、旧知の三菱総研・野口和彦
研究理事から誘われていた研究会に参加する。野口さんとは最近は
消防庁の検討会でご一緒させてもらっている。今日の研究会は「災害
低減戦略フォーラム」の中の社会文化リスクマネジメントに関する専門
委員会。防災や危機管理についても様々なテーマがあるが、特に目標と
すべき価値について、新しいアイディアを出せないか、というもの。野口
さんは「パラダイム・シフト」という言葉を使って説明する。

 研究会の席上、久し振りに坂田俊文先生にお会いする。内閣官房の
研究会でご一緒させてもらったのが何年前だったか。1931年生まれ
なので今年77歳のはずなのだが、そのお年には見えない。ともあれ
お元気そうでなによりであった。そういえば、あの時の研究会の報告書も、
きちんとした形では世に問えていない。コンセプトとしては良いものを
出せたつもりだったが、それも骨子だけだった……。

 「パラダイム・シフト」。
 学生時代、トーマス・クーンを読んでいないと恥ずかしいというような
雰囲気があったことを思い出す。言葉は美しく魅力的だ。でも、本当に
「パラダイム・シフト」が必要なのだろうか。また、それがなければ防災や
安全保障・危機管理を語ることは無理なのだろうか。

 中学や高校への出前講座を重ねる度に気づくことがある。防災に
携わっている者の間では常識であっても、現場の先生方の常識とは
なっていないことが幾つもあること。本質から目を逸らし、本質的では
ないことに血道をあげる。そんな姿を幾つも見てきた。最先端の捜索
救助技術の開発を否定するつもりはないが、地震防災の王道が耐震
補強であることを考えれば、そして「あんな場所に家を構えるなんて……」
という事例が後を絶たない(というよりも、家を構える際に昔の地形や
地質・地盤はほとんど考慮されない)ことを考えれば、力を入れるべき
方向性は別のところにあるのではないか。そう思わざるを得ない。

 「災害は貧乏人により辛く」「金持ち死なない」という現実を百も知り
つつ、またあきらめの念の存在を十分意識しつつも、「まだ何かやれる
ことがあるのではないか」と考えることが、私たちに求められていること
だと思う。とすると……。

 議論自体は大変刺激的であったが、どこか違和感が否めない研究会で
だった。あと1回あるという。何か自分にできることはあるだろうか……。

 終了後、新宿・G事務所へ。
 G事務所(ちなみに正式名称ではない)。これから先、5年10年の
単位でモノを考えるならば、何か新しいことをやってくれそうな、そんな
サムライの集まる場所。まだ、G事務所のO野さん、O田さんの能力を
引き出せていないなぁと思うと、ちょっと悔しい。

 新富士駅に車を置いてきてあることもあり、二人のOさんと、遅れて
合流したいつものK君の3人に、素面ながらお付き合いさせていただく。
ともかく、少し時間の使い方を変えれば、かなりのことが変わる。その
ノウハウをしっかりと教えてもらわなくては。

 「ムーンライトながら」も考えない訳ではなかったが、今日は最終の
こだまで富士の仮寓へ。

                                  (1月27日 記す)


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