<阿須伎神社 あすきじんじゃ>
石見地方の神楽において、
神様のご神体として登場するワラヘビは、
石見以外の地域では「荒神様」への供物として
扱われることがあるそうです。
以前、「ヤマタノオロチ」について考察した際、
「オロチ」を何に見立てるかで、物語の様相が
ガラッと変わってしまうと書きましたが、
長い時代に渡る信仰の多様化や、
渡来人などとの接触の中で、
「蛇」という生き物は様々な
ポジションを与えられて行ったのでしょう。
時には神そのものとして、
時には神の依り代として、
また時には神に歯向かう敵として、
その折々で変幻自裁に立場を変化させながら、
日本人の生活に息づいてきたのだと思います。
恐らく、「蛇」への信仰が持ち込まれた当初は、
「大元神楽」に登場するワラヘビのように、
「神」の化身として手厚く扱われていたはずです。
それがいつの間にか「オロチ」という悪者へと転化し、
「神に成敗される対象」として
言い伝えられるようになりました。
果たして、その過程においては
どんな出来事が起こっていたのか、
出雲一帯に残る「蛇の痕跡」を
さらに追いかけてみたいと思います。