<温泉神社 おんせんじんじゃ>
一説に、アラハバキの「ハハ」は古語で蛇を指し、
「ハハキ」とは「蛇木」あるいは
「龍木」を意味するそうです。
また、アラハバキとも同一視される、
アシナヅチ・テナヅチの「ツチ」も、
「蛇」を表す言葉だという話がありますから、
アラハバキという土着の神が、
多分に「蛇」のニュアンスを纏った
存在であることは明らかでしょう。
さらに、アラハバキの「アラ」を
大陸由来の言葉だと考えれば、
アラハバキとは「蛇の信仰を持つ
渡来系の人々」とも言い換えられますね。
ちなみに、古名を「波波岐(はばき)国」
と記す伯耆国(現在の鳥取県)は、
出雲地方と同様にワラヘビ祭祀が
盛んな土地のひとつです。
伯耆地方には、特出したアラハバキ信仰
の形跡は見られないものの、
ワラヘビという民間信仰の中に
アラハバキが同化している可能性も高いのだと……。
いずせにせよ、石見・出雲・伯耆の一帯には、
何らかの形で「蛇」もしくは「蛇を崇める集団」
が関わっているのかもしれません。