<揖夜神社 いやじんじゃ>
実は、出雲地方を旅するにあたり、
隠れたテーマとして位置付けていたのが、
一帯の神社に祀られる
「ワラヘビ」の調査をすることでした。
とはいえ私などの知識と行動力では、
「民間信仰」の原初をひも解けるはずもなく、
ひたすら「ワラヘビコレクション」とでも題するべき、
ニッチな画像を増やすのみだったことを、
最初に断っておきたいと思います。
ちなみに、ワラヘビを用いる祭祀は、
出雲地方では「荒神祭」という名で呼ばれており、
この一帯では「ヘビ」のことを
「ジャ」と言うのが一般的なのだとか……。
稲刈り後の11月から12月にかけて、
氏子たちの手作りワラヘビが完成すると、
「祝い唄」を歌いながらご神木にワラヘビを巻きつけ、
大蛇の首の前に御幣を捧げるのだそうです。
地区によって、ワラヘビの型も
お祭りの手順も千差万別のようですが、
現在では複雑な「ヘビの頭」を制作できる
ベテランの作り手が少なくなり、
形を簡略化したものや石像で代替したものなど、
様々なワラヘビが存在していると
神社の宮司さんが話してくれました。