<栗枝渡八幡神社 くりしどはちまんじんじゃ>
栗枝渡八幡神社近くの空き地に車を停め、
短い参道を登って神社前に到着しますと、
石段の左下の目立たない場所に、
小さな手水鉢が置かれていることに気づきました。
手水鉢の奥には、この地特有の信仰形態である
石積みの構造物(ドルメン)と、
細い縄で結ばれた二本の細い竹が、
不思議な存在感を醸し出しています。
石の器の中にはちょろちょろと湧き水が流れ込み、
午後の太陽の光を優しく反射していました。
しかし、この場所を目にした当初から、
「何かが不自然」という感覚が、
視野全体を通して訴えかけてくるのです。
手入れの行き届いた神域の様相から察するに、
とても手抜きとは思えないのですが、
石段の登り口、最上部、参道の入り口と、
前後左右の景色をグルっと見渡してみても、
神社にあるはずの重要なものが見当たりません。
実はこの栗枝渡八幡神という場所は、
「鳥居が存在しない神社」として、
マニアの間で大きな謎を呼んでいたのでした。