<親不知・子不知>
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話し合いを続けるタケミカヅチと大国主神の前に、
大岩を手の平に載せたタケミナカタがやってきました。
そして「この国を奪いたいなら、私と力比べをせよ」と言い、
意気揚々とタケミカヅチに挑みかります。
しかし、自らの手を氷柱から鋭い剣の刃へと変化させた
タケミカヅチの姿を見て、タケミナカタは
恐れおののき戦闘意欲を消失してしまったのです。
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素直に国譲りに応じた事代主神とは対照的に、
天津神に歯向かうような態度を取った
タケミナカタでしたが、タケミカヅチの力は凄まじく、
すぐに劣勢に立たされてしまいました。
同じ大国主神の子でありながら、
真逆の判断を下した二人の御子の姿は、
「イズモ」の国々がたどった様々な経緯と、
同じ国の中でも意見が割れていた事実を示すのでしょう。
ちなみに、タケミナカタという神は、
大国主神と高志(越)のヌナカワヒメとの間に
生まれた子どもだという説があります。
ヤマタノオロチや因幡の白兎など、
出雲神話を代表するいくつかの物語に、
たびたび影をのぞかせる「越」という国は、
この国譲りの場面においても、
カギを握る土地として暗示されていました。