たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

二つの伝承

2019-07-18 09:42:14 | 鉄の神々2

<出石神社 いずしじんじゃ>

 

……昨日より続く。

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『古事記』

アメノヒボコが新羅にいる頃、
アグヌマと呼ばれる沼のほとりにいた
ひとりの女性のホトに、
太陽光が突き刺さり赤い玉が産まれました。
その様子を見ていた男が、
女性の産んだ赤い玉を「ぜひ」と所望し、
女性から玉を譲り受けます。
ある日、その男が牛を引いて谷に差し掛かったとき、
偶然すれ違ったアメノヒボコから、
「おまえは牛を食べるつもりだろう」
との言いがかりをつけられました。
釈明しても納得してもらえなかったため、
男は女性からもらった赤い玉を差し出し、
許しを請いました。アメノヒボコが赤い玉を持ち帰り、
床に置くと玉は美しい娘に変化します。

その後、アメノヒボコは娘と夫婦になりましたが、
アメノヒボコの暴言に耐えられなくなった娘は、
突然親の国に帰ると言い残し、
難波の津に逃げてしまったのだとか……。
妻が逃げたことを知ったアメノヒボコは
日本に渡って難波国に入ろうとしたものの、
立ち入りの許可が得れらずその場を立ち去りました。
そのとき、持参した宝物が、珠2貫、
浪振る比礼、浪切る比礼、風振る比礼、
風切る比礼、奥津鏡、辺津鏡の8種です。
赤い玉の娘は、阿加流比売(アカルヒメ)神という名で、
難波の比売碁曾の社に祀られています。

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『日本書紀』

ツヌガアラシトが伽耶国にいた頃、
農具などの荷物を背負わせていた牛が逃げてしまいました。
牛を追いかけてある田舎の村に入って行ったところ、
すでにその村の役人が牛を食べた後だと聞かされます。
ツヌガアラシトは牛の代わりに白い石を譲り受け、
持ち帰って寝床に置くと、白い石は美しい娘に変身しました。
ツヌガアラシトは喜んで夫婦の契りを結ぼうとしたのですが、
目を離した隙に娘はいなくなってしまったのです。
逃げた娘は難波に渡り、比売語曾社の神となりました。
(豊国の国前郡にたどり着き、
比売語曾社の神となったという説もあり)

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上記の類似する二つの伝承が元となり、

アメノヒボコとツヌガアラシトは

同神であるという説が有力視されています。

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