***** 神社と災害 No.77 *****
海人族と鉱物との関係を思い浮かべていたとき、
『青銅の神の足跡』という書籍に記されていた、
「耳族」というワードを思い出しました。
何でも、「耳の名のつく人物は、
南方系の種族を指し、それと同時に
鍛冶技術をもっていたと推定される」とのことで、
タカミムスビに代表される北方文化圏の人々
(目の系統の一族)が、この「耳の系統の一族」
と婚姻を繰り返しながら、現在の日本を
形作って行ったと考えられるのだとか……。
例えば、神武天皇の后は「ミゾクイミミ」の孫娘、
スサノオが妻にしたのは「スガノヤツミミ」の娘、
アメノヒボコが娶ったのは「フトミミ」
という名の女性……等々。
さらには、紀氏の系譜に属する「紀豊耳」や、
阿蘇氏の始祖である「神八井耳」も
「ミミ」の名を冠する人物です。
著者(谷川健一氏)いわく、彼らは
「揚子江沿岸から海南島に至る
中国南部に住む海人族であり、
大きな耳輪をつけていた」という話ですから、
「日本列島への三段階渡来モデル」
に照らし合わせれば、第一段階の終盤あたりに、
朝鮮半島を通る西寄りルートを使って
日本へと渡来した、呉越の人々
(龍蛇族など)である可能性も否定できません。