<古座川町>
古座川流域に鎮座する無社殿神社を目指し、
海岸沿いの国道42号線をひた走っておりますと、
古座川の河口近くに小さな漁港が見えてまいりました。
川面に突き出すようにして立ち並ぶ家屋は、
どこか古きよき日本を感じさせる、
懐かしくも生活感に満ちあふれた風景です。
熊野灘に登るご来光を横目にこの地に到着したのは、
ちょうど朝日が町を明るく照らし始めたころでした。
塵ひとつ混じっていない澄んだ初冬の空気が、
睡眠不足の心身を心地よく目覚めさせ、
その日巡る聖地への期待を否が応にもかきたてます。
「早朝」という時間帯は、神様をより近くに感じ、
静かに自分と向き合える特別なひとときなのでしょう。
早朝の神社参拝に、何とも言えない清涼感を覚えるのも、
境内に落とされた人々の思いが夜の間に浄化され、
夜明けとともに溶けて行くからなのかもしれません。