たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

空殿の神

2019-04-10 09:45:36 | 鉄の神々1

<射楯兵主神社 いたてひょうずじんじゃ>

 

古代の製鉄民を示す表現として、

倭鍛冶部(やまとかぬちべ)、

韓鍛冶部(からぬちべ)という言葉があります。

倭鍛冶とは日本古来の鍛冶集団、

韓鍛冶とは渡来系の鍛冶集団を意味し、

倭鍛冶はオオナムチ、韓鍛冶はアメノヒボコを

奉斎していたという説が有力です。

 

『播磨風土記』の「国占め」の物語の中では、

両者が鉄を巡り領土争いをしたとも

受け取れる内容が書かれており、

射楯兵主神社に祀られる「射楯大神(いたてのおおかみ)」、

「兵主大神(ひょうずのおおかみ)」の二神も、

それぞれ倭鍛冶部(やまとかぬちべ)、韓鍛冶部(からぬちべ)

に置き換えても間違いではないのだとか……。

 

ただし、射楯兵主神社の社伝上での祭神名

(イタテ神はイソタケル、兵主神がオオナムチ)や

本殿内の配置を見ると、そう単純に

事は運ばないような気がいたします。

 

例えば、

1.射楯大神は東殿、兵主大神は西殿に鎮座し、

神饌を献ずる際には西殿から行うこと

2.東殿と西殿の間に空殿の中央殿が設けられ、

例大祭のときのみ九所御霊神

(西殿に合祀という説もあり)を祀ること

 

などの由緒を加味すると、恐らく、

イタテ神と兵主神との間には、

明確な格付けがあると同時に、

空殿となっている中央殿の神が、

本来この地に祀られていた

本当の「鉄の神」である可能性も否めません。

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