<熊野市 くまのし>
奈良(熊野・吉野)の山中というのは、
現在の交通手段に頼ったとしても、
諸々の覚悟が必要なエリアです。
今回旅の途中で、幾度となく熊野灘から、
奈良方面の山々を見上げてみたのですが、
降水量の多さでも知られるそれらの場所は、
常にうっすらと靄がかかり、
山中へと続く国道はもちろん、
山の形さえはっきりとは確認できませんでした。
神武天皇がこの場所で、
眼前に迫る山々に相対したとき、
どんな感想を抱いたのでしょうか。
日本の歴史が始まる遥か以前から、
この地に根づく山々の大木だけが、
その心の内を知っているのかもしれません。