治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

ギョーカイの資質を活かす(ブ)

2017-05-16 09:18:04 | 日記
誰しも、価値観のかけ離れた他人がとる行動というのは謎で、それを見たときにあれこれ理論づけて納得しようとするのだと思います。

そしてギョーカイに関して私はそれをやっている。独断と偏見を振り回しているわけですが、それを支持する人もまた多いわけです。どうしてかというと説得力があるから。説得力を生んでいるものは私の言語能力ではありません。皆さんがギョーカイに一度は期待し失望したその失望感が、私の独断と偏見に説得力を与えているのです。
先日の記事にいただいた発芽玄米さんのコメントを貼らせていただきますね。

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ザ・とっちゃんぼうや! (発芽玄米)
2017-05-15 04:35:31
はじめまして。
いつもは、浅見さんのツイッターやブログを拝見しているだけですが・・・
こちらの記事、私の経験とほとんど同じで、思わず笑ってしまいました。
私も「とっちゃんぼうや」と命名してます!
息子の件で一瞬だけ関わってしまった、支援センターの所長です。
「件数」だけ増やしたい、来る者は拒まず、来た者は全て真っ黒にする。
あちこちの勉強会やらで講師をしたり、いろんな団体で“長”の付く役職に就いては、それを自身のセールストークにして、ふんぞり返ってました。
でもその実態は、地元の社会福祉法人の一職員にすぎません。
私の居住地はかなりの僻地で閉鎖的な田舎です。地域一帯の市町村が、この社会福祉法人に一括して障害者関連の支援事業を委託しているため、この法人が地元で困って悩んでいる親子を食い物にして、甘い汁を吸い取っている状態です。
まさに「無駄な公共事業」。
その「とっちゃんぼうや」のお陰で、子どもが良くなりました!と喜んでいる保護者が多数いるのですが、実態を聴いてみると、うまい具合に支援施設を利用させられているだけの様子です。
最近の流行は、
中高生に「放課後デイ」を利用させ、小さい子たちの面倒を見させる→人気者のお兄さんになる→本人は頼られてうれしい→小さい子たちは指導者よりもお兄さんの言うことをよく聞く→指導者(スタッフ)は仕事がラクになる→そして、中高生の親は放課後デイの利用者(つまりお金を払っている側)なのに、「うちの子は、放課後デイのお手伝いをしに行って、いきいきしている。」と大喜び。
→卒業後は就労支援に通い続けるも、なかなか就職できずに月日は流れる。
・・・いいように利用されていることに当事者側が気づいていない。

これからも楽しい記事、ためになる記事、よろしくお願いします。
もちろん、花風社の書籍も楽しみにしています。

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この場合は私がセンター職員を見て抱いた「とっちゃんぼうや」という表現にぴんときてくださった発達障害者支援センター体験が、発芽玄米さんにあったわけですね。

福祉の世界は
・なるべくたくさんの人が
・なるべく長い間
・なるべく重い障害に
とどまってくれるのが利益につながるから、そりゃああちらはそうします。
でも中には、上手に必要な時だけ利用してより自由な生き方につなげているという人もいる。
私はそれを提言しているわけです。

そして私の提言にどれだけ頭に来ても、ギョーカイが何も言ってこない、私の首を取りに来ないことを私はよく知っているのです。

なぜなら彼らの資質は「死んだふり」だから。
ギョーカイ人の「死んだふり」という資質に私はかつて被害を受けました。皆さんも現在進行形で被害を受けているでしょう。
でも私は、その「死んだふり」を活かして、お伝えすべきということを皆さんにはっきりお伝えしているのです。


その自閉症、ホンモノですか?

2017-05-16 07:28:26 | 日記
さて、6月17日、岡山の三人講演のご案内です。

三人がまず単独講演をやります。ニキさんは前回長崎でもしゃべった「自閉っ子から自閉おばさんを経て自閉のおばあさんへの道」。自閉っ子的なミッドライフクライシスだから笑ってはいけないんだけど笑ってしまいました。そしてその後も情報は更新されているかもしれませんね。

藤家さんは今の仕事を初めて六年経ち、資格まで取った。その道のりを話してくれます。

私は身体アプローチがなぜ効果があるかわかってきたので、それについて話します。これは、自閉っ子通信をお配りしてそれを教科書的に使って解説していきます。何しろギョーカイの先生も呼んでいらっしゃる老舗の会なのでね。おとなしめにやります(当社比)。

この題はすべて私の方から提出してくださいと言われてたたき台にしていただくつもりで提出したのですが、それが正式に通ったんだと知ったのは実はチラシができて郵送されてきてからです。ああ、そのまま通していただいたんだ~と思いました。いや、びっくりしたのです。というのは最後の対談。この主題は到底受け入れられないだろうと思っていたもんですから。

タイトルは「あなたの自閉症、ホンモノですか?」です。

一回三人そろったところで正面からこの問題を取り上げてみたいなという気持ちはありました。
なぜならニキさんも藤家さんも、「偽者自閉っ子扱い」をつねに受けてきたからです。
というか藤家さんの方が新参者ですね。
ニキさん偽者扱いはご存知の通り刑事事件にまで発展しました。

この二人の偽者扱いは種類が違っています。
ニキさんを偽者扱いする人たちは、当事者・保護者が多いです。
片や藤家さんを偽者扱いする人には、支援者が多いです。かつては「典型的な自閉症」と支援者の萌えの対象だった藤家さん。心身見違えるほど丈夫になったとたんに、「本当は違ったんだ」ということになったのです。

だから神田橋先生は「30歳の社会人デビュー」を作るとき私に、主治医に診断書を出してもらえとまで言ったのです。診断書は究極の個人情報ですから藤家さんに許可を取ったらもちろんあっさりOKしてもらえました。でも病院の都合(保管期限が過ぎてたとか?)とかで出せませんでしたので、私が主治医の先生にインタビューしそれを巻末に載せました。先生がきちんと手続きを踏まえて自閉症と診断したこと。それがここまで元気になったその経過、ご本人と家族がどういう状態であったか、貴重な証言をくださいました。まだ読んでいない人はぜひ「30歳からの社会人デビュー」を読んでね。本文も貴重ですが、巻末インタビューも必見です。

ギョーカイは「一生治らない」と主張しますが、自分たちは治さない上に、治った人を偽者扱いするのだから最強です。でも主治医が心身崩れていた藤家さんのどこに自閉性を見てとったか改めて知ってほしいのです。主治医が神田橋先生のようないかがわしい(ほめてます)先生ではなく、まともな先生であることに注目していただきたいのです。オカルトじゃなくても、治せるんですよ。
そして彼女の今の姿を皆さんに見てほしいのです。

一方でニキさん。偽者扱いされた理由は主として二つありました。
・二次障害がない。
・自由業についた
こうした理由で、当時主として当事者を中心に偽者扱いされ、そしてまた支援者の萌えの対象だったのです。
ニキさん偽者扱いについては、裁判の話をどうしても出すでしょう。
そもそも私は当時のニキさんに二次障害がなかったとは知りませんでした。だって精神病のお薬のんでたし。つまり、「二次障害がない」と専門家たちが思いたかったのはなぜか、その辺を探ってみたいのです。

けれどもこの二人と「あなたの自閉症、ホンモノですか?」の話題を繰り広げることは、ゴシップネタを提供するためではありません。
自閉症の多様性と可能性を探ってみたいのです。

「30歳からの社会人デビュー」
「他の誰かになりたかった」
「自閉症者の犯罪を防ぐための提言」

あたりとニキさんの本を読んでおいた方が実りは多くなると思います。
もちろん当日も置かせていただけると思います。

詳細・お申し込みはこちらへ(PDFです)。
自閉っ子通信も配りますから、今回もらいそこねた方にはセカンドチャンスです。
たくさんの方にお目にかかれますように。
よろしくお願いいたします。