DREAM/ING 111

私の中の「ま、いいか」なブラック&ホワイトホール

川上弘美★センセイの鞄

2009-07-21 | 
『1Q84』の周辺をうろうろしていて、川上弘美作品に出会った。

で、ブックオフにて『蛇を踏む』『センセイの鞄』を(状態がよかったので)入手。
芥川賞受賞作品の『蛇を踏む』は作品名は知っていたけれど未読。

読んでみると非常に不思議な時間感覚で、シュールな内容だった。
『蛇を踏む』はとぐろをまかれる感覚で、ずぶずぶ沈み込む不気味な怖さと、ずぶずぶ沈み込むブラックな快感があった。
『消える』はすごくシュールで、現実と幻想のはざかいを曖昧にする作者の作風が味わえた。この奇妙な感覚って「ウルトラミラクルラブ」にも通じる気がする。家族の「血」と故郷の土着感は一種の「呪い」であり「祝い」でもある。そういう部分で。
同書に収録されていた『惜夜記』はまさに夢十夜の遺伝子を持った作品で
初めて読んだのに、昔から愛読していたような近しい距離感。
内田百間の影響を受けている作家というのにも深く納得。
確かに同じ空気を感じます。

『センセイの鞄』はすごく好みの作品だった。
センセイは、内田百間御大にもかぶって、醸す空気が凛として心地よい。
文章の描きだすオーラが柔らかい。
ツキコさんの感じている温度が伝わってくる感じ。
ツキコさんのだらだらした半端感、それをきちんと見極めているシビアさが不思議と潔い。
ダシのきいた薄味のように、噛み締めると深くて、
何度も何度も読みたくなる作品。
2001年度谷崎潤一郎賞受賞作とは知りませんでしたが、
賞を取る作品の確かさを感じられて、最近ついつい軽んじてしまっていた
賞への信頼を新たにしました。

で、ドラマ化したらどうなるかな、誰がいいかな、
とあれこれ考えていたのですが
すでにドラマ化されていたのですねー。
うーん、見てみたい。
ちなみに、ツキコは年齢は大幅に違うのだけどどうも上田樹里ちゃんで
脳内再生されてしまう私でした。
センセイは石坂浩二さんかなぁ?頑固で昔気質な実直さながらも
ちょっと知的な色気と遊び心ある男性、という印象なのですが。

最近、アニメで脳内再生されることも多いのだけれど、
あの声がいいな、とか、こういう作画がいいな、とか
ここはこういうカットで、こういう演出で、
とかあれこれ考えてしまいました。楽しい。

追記:しばらく考えてるうちに、小泉今日子と柄本明以外で
考えられなくなってきた。なんというビジュアルインパクト!
(・・・あっしが単純なだけ?;;
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4 コメント

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ドラマ見ました! (ちゃとと)
2009-07-22 17:37:45
原作読んでないけど、面白かった!
キョン2と柄本さん、ピッタリでしたよ♪
↑昔、感想書いてます。

松岡正剛氏の反則技も読んでみてね~
返信する
ちゃとと様 (NAL)
2009-07-22 22:25:04
2009-07-22 22:24:27
ご紹介ありがとー、
センセイされたがっている松岡センセイに
やられましたw
ツキコしたい、っていうのもいいなぁ。

いや、ちゃとと様の感想を拝見して
今すぐ観たい!と思ってしまった。

原作では何度も頭をなでる表現があって
あと、携帯電話とか、センセイの愛情の深まりや
高まりを感じるのですが、どう表現されてるのか
興味あります。
返信する
Unknown (こんにちは。)
2009-10-10 16:36:45
こんにちは。
トラックバックさせていただきました。
表示されないようなので、URLを置かせていただきますね。
http://1iki.blog19.fc2.com/blog-entry-1236.html
この記事にトラックバックいただけたらうれしいです。
お気軽にどうぞ。
返信する
Unknown (NAL)
2009-10-10 18:00:50
TBありがとうございました。

TBタイトルが記事に関連していたので、訪問させていただき内容が確かに記事に関係していることを確認しましたのでTBは承認させていただきました。

お名前(HN)がなく、またご自分のサイトのご紹介以外のコメント(例:「私も先生の鞄を読みました」「先生の鞄についての感想です」等)がまったくないと、当方記事との関係が見えず、スパムや誘導コメントと間違いやすいので削除対象となることもあるかと思います。ご注意ください。
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