鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

フユツバキ

2016-12-14 13:18:32 | フリーゲーム(ノベル)
「フユツバキ」 ノベル・心中もの
制作者:ミヤマスズ様(BismuthWare

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時代は昭和初期、第二次世界大戦より少し前のころの…
青年と少女との心中物語、です。
身寄りを失った幼い女の子が、それでも誇りを失うまいと必死に生きて、結果悲劇に至る。
そんな少女に惹かれて、運命をともにする青年。
花なら散り際、人は死に際。誇りを重んじ、潔きことを愛でる。
こういうのを美しいと感じるのは、日本独自の感性かもしれないですね~

その時代にあっては、ほかに道がなかったゆえの選択だろうとは思いますが…
いまの感覚での彼らは、高校生と中学生くらい。
誇りに準じて死を選ぶには、いささか早すぎるようにも感じます。

まあ、若くて、まだ余計なことを知らないからこそ潔くいられる…とも言えますが。
だからこそ、美しくも哀しく感じる物語でした。

エンディングは二つ。
青年…秀次が覚悟をもって幸についていくか、
当たり障りなく過ごそうと思うかで分岐します。

印象に残るのは、トゥルーエンドルートの「幸の在り方が好きだ」というその言葉。
それこそが幸の心を開く鍵であり、また、
それ以外の選択を断ち切る刃でもあったことが、なんとも物悲しい。
「在り方」を通せば、おめおめと生きてはいられず、
それを捨てれば「好きだ」と言われた幸ではいられないという。

秀次はまさかそんなつもりで言ったわけでもないのだろうけど。
あれが最後の一押しになったと思うと、ちょっと複雑な気分に…


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