鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

女王の教室 その後

2005-09-13 11:43:26 | 雑事

「先生は、本当はいい先生なんじゃないですか?」
「失礼なことを言うのはやめなさい!」
不覚にもここで笑ってしまった。
失礼なのか~、そーなのかぁ~(笑)

さて、最終回を目前にした10日放映分。
「獅子は我が子を谷底に突き落とす」方式をとってきたマヤ先生の本心の一端が、
垣間見える回でした。
つか、マヤ先生は侠気があります。か、格好いい…!

「こんな酷い番組を放映するなんて」
「子供と一緒に見られない」
放映数回で山ほどクレームがつき、スポンサーに苦情が行って、
番組クレジットまで途中からは出なくなるなど、
いろいろ問題視されていたこのドラマですが、
さすがにそろそろ、物語の本筋が見えてきましたね。

確かに最初のころの(といっても、私が見だした頃は物語中盤だったのですが)
話は、見ていてこっちが辛かった。
マヤ先生は悪魔のようだし(笑)クラスの子もみんな自分勝手にギスギスしていて、
主人公がいくら頑張っても、誰もわかってくれない。家族ですら助けられない。
マヤ先生のキャラが異常に立ってて楽しいほかは、なんて救いの無い話なの~と
正直思いましたよ(汗)

それでも、うわーうわーと思いつつ見てしまったのは、
マヤの言葉の「嘘の無さ」のせいかもしれません。
大人であれば、大抵のひとは、この世が決して楽園ではありえないことを知っているでしょう。
というか、自分自身が、楽園の住人にはなりえない醜い部分も持っていることを
知っている(んじゃないかと…)
社会には歪みやひずみがあって、正しいことだけで動いているってわけでもない。
でも、それをわざわざ、子供に教えようってひともいないよね?

マヤ先生は、最初からそれらを全く隠さなかった。
取った行動は、はっきり言って残酷だと思いますが、言っている言葉は殆どが現実的で、
(今、常識とされている地位や学歴を重く見る価値観から見れば)理に叶っている。
その上で、生徒たち全員に「世の中の不平等を受け入れ、それに対処する術」を、
それこそ身をもって教えたわけです。

ああ、もちろん、こんなやり方はドラマだからこそ出来ることですよ(笑)
何でも知ってて、何でもできる妖怪のように神出鬼没なマヤ先生だからできることで、
実際にこれをやられたら大変だ~、つか不可能でしょう(汗)
マヤ先生もそうですが、主人公の和美ちゃんも、同じくらい「ありえない」性格ですしね。

今回、主人公の和美ちゃんは、マヤが以前言った「この中の6%くらいしか幸せになれない」
という言葉に反論して「幸せは人それぞれ。私は、このクラスの全員が幸せになれると思う」
と主張しました。
それに対してマヤが「ずっとその気持ちを持ち続けていられたらいいわね」
と言ったときの表情が、すごく満足気に見えたのは気のせいでしょうか。
その言葉を、マヤは誰かが「教える」という形でなく、生徒達自身から引き出したかったのでは?

そこを含めて、今回の、マヤの長台詞と和美ちゃんとの対決の部分は、
マヤ役の天海祐希さんの演技が凄く良かったです!
いつものように無表情なのに、きちんと感情が篭っていて、すごいなと思いましたよー。
天海さん、今まで何度かドラマで拝見してましたが、それほどとは思ってなかったのですよね。
マヤ先生役は、本当にベストなキャスティングでした。
この人が演じたからこそ、女王の教室は成功(と思っていいのかな? これだけ話題になったんだし)
したのだと思います。

また、ちょっと感動したのは「学ぶ」ことの意味。
今クールで同じテーマを扱っている(ような気がする)ドラゴン桜でも、国語の勉強の部分で
同じようなことを言っていました。
「日常のすべてのことに興味を持ち、何故、どうして、と考え、推測し、それを調べて裏付ける」
ことが大事なのだと。

正直ね、これが、現役学生にぴんと来るかどうかはわからない。
むしろ、無理に勉強させられる立場でなくなったときに、身に沁みる言葉のような気がするし。
でも、大抵の子が学生のときに思う「こんな勉強したって何の役にたつの?」という疑問への、
ひとつの答えにはなるんじゃないのかなー。

実際、私もネットで資料を探していて、何かひとつのことを調べて知ろうと思うと、
イモヅル式にいろんな知識が必要になる時があるんですよ。
現実の中でなにか学ぼうとしたとき、「国語」「数学」「科学」なんてジャンル分けは無くて、
それら全てが重なり、深く繋がっていたりする。
一つのことをちゃんと知ろうと思うとき、古い古文の書籍に出会うこともあり、
それを書かれた時代背景を考える必要に迫られたり、
そのころの常識としての科学はどの程度進んでいたのか、
なんてことを気がつけば調べていたり。
そして、そういったことを深く知ると、またそこから、次の興味が出てきたりするのですね。
(もともと私がマニア体質なせいもあるだろうけど/汗)

誰のためでもなく「ただ知りたいから」という理由で得る知識は、
ある意味 とても贅沢で純粋なシロモノであるように感じます。

さて、次回はいよいよ最終回!
個人的に、マヤ先生には「失礼なことを言うのはやめなさい!」
と言った時のまま、最後までクールでいて欲しいものですが(笑)
現実では、マスコミやPTAや教育委員会に翻弄される学校や教師が当然な中、
このドラマの中で自分の信念を貫きとおすマヤの姿は、教師としても人間としても見事だと思います。

女王の教室 公式サイト
過去の放映分のダイジェストも見られますよ♪