「自殺サークル」 2001年
監督:園子温
出演:石橋凌、永瀬正敏、さとう珠緒、宝生舞、ROLLY
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意味があるよに見せかけて、実はなんにも無いんじゃないか? と思わせる映画。
冒頭のシーン…54人の女子高生集団飛び込みのシーンは確かにおおっ!?と思いましたが、
その後の展開が妙にぎくしゃくしている感じがあります。
最後の理屈はいりません。死ぬことに意味が無いなら、それで通せば良かったのに…。
前半にはさっきまで普通に笑っていた人間が、ふいに自殺してしまう「理解できない恐怖」が、あっただけに、後半は残念でした。
最初のインパクト充分だったのになぁ。
ある日、新宿のプラットホーム。
あちこちで談笑する女子高生の群れで賑わうそこは、いつもと全く変わりない日常の風景だった。
だが、電車到着のアナウンスと同時に、彼女らはプラットホームのすぐ横に整列し、無邪気に手を繋ぎあう。彼女達の表情に走るのは、ほんの少しの緊張。
いっせーの! という掛け声の後…
彼女達は一斉に線路に向かって飛び降りた。
ひき潰される体、ガラスを染める血飛沫。ホームは鮮血に染まり、人々の悲鳴がこだまする。
それが、これから日本中で巻き起こる、原因不明の集団自殺の幕開けだった。
「あなたと、あなたの関係は?」
作中で重要と思われる、この言葉から始まる問い…一見哲学的な響きを孕んでいますが、私感として言葉遊びの域を出ません。
いくら愛するものを失った絶望を感じていたとしても、この言葉に、人を死に追いやるまでの説得力は感じられない。(映画でそこまでの説得力があると危険ですけどね)
思春期なら一度は、自分は生きてて意味あるんだろうか、という虚無感を持つものかもしれませんが、そこからいきなり自殺に走るか?普通。
むしろ、映画の途中で出てきた、集団ヒステリー的な学校の屋上からの飛び降り。
みんなで冗談交じりに「死のうよみんなで!」という言葉からどんどん調子に乗り、しまいにはみんなで飛びおりてしまう。あの辺りの方がまだ理解できるかな。
「あなたと奥さんの関係はわかっています。あなたが死んでしまっても、あなたと奥さんの関係は変わりません」
「あなたとあなたの子供の関係はわかっています。あなたが死んでしまっても、あなたとあなたの子供の関係は変わりません」
「では、あなたとあなたの関係は?」
「あなたが死んでしまっても、あなたと世界の関係は変わりません」
このセリフはまるで、新興宗教の洗脳のようですね。
「あなたはどうやってスキップするの?」と聞く。
途端に、今までどうやってスキップしていたのかわからなくなる。
「あなたはどうやって呼吸してるの?」と聞く。
途端に、意識してしまって、うまく息ができなくなる。
それと同じ匂いがします。
この意味はなんだ?と聞かれれば、人は必死にそれを探します。
たとえそこに、最初から意味などないかもしれない等と、夢にも思いません。
詐欺とかハッタリとか…下手なヒッカケに近い言葉のように思います。
何とどう関係があろうと無かろうと、ひとは生きていける。
意味などなにもなくても。
ああ、なんだかね、これはちょっと肌に合いませんでした。
前半は良かったけど、後半は、なんとなく物語の進むべき方向が違うような気がして。
なんだかね…なんだか…。
そう、不愉快、というのが一番しっくり来るかな。一体何故だろう?
…妙な演技してたROLLYのせいかしら(笑)
自殺サークル