夢職で 高貴高齢者の 叫び

          

ケータイの痴漢対策ブザー

2015年06月03日 | 俺の女房は- - -

10年ほど前、街に出たとき、急に体調がおかしくなったことがある。

家へ連絡しようと、公衆電話を探したが見当たらない。

以前はあったはずの公衆電話が姿を消しているのだ。

 こんなことがあったので、緊急連絡用にケータイを用意した。

俺と女房との共有で、外出する者が持ち歩くことにしていた。

しかし、二人とも出かけなければならないときは、1台では不便だ。

そこで、もう一台購入し、二人はそれぞれ自分専用のケータイを持ち歩くことにした。

ケータイでは居場所を知らせたり、帰宅予定時刻をメールで知らせるぐらいにしか使っていない。

このケータイには、緊急連絡用のスイッチや現在地を示す地図機能が付いているが、活用することはない。

 

 ポケットに入れて持ち歩いていたケータイが突然「ビ――――」と鳴りだした。

何かに引っかかって、緊急用スイッチが入ったのだ。

けたたましく鳴るブザーに近くにいた知人たちが驚いたので、「痴漢対策のブザーだ」と答えておいた。

この音だと痴漢や暴漢たちは驚くだろうなあ。

ブザーが鳴ると自動的に女房のケータイがなる仕組みになっている。

相手方には「緊急通話です、緊急通話です」と音声で知らされる。

誤作動であることを告げてからケータイを見たら、「送信に失敗しました」とメッセージが現れた。

どうやら、居場所を知らせる地図が送信されなかったようである。

数回このようなことがあったが、気に留めないでおいた。

  先日、電池交換で、ドコモへ出かけたついでに、「送信に失敗しました」について尋ねてみた。

すると、居場所の地図の送信には「イマドコサーチ」という契約が必要とのこと。

ケータイを買い替えなくても、使えるそうだ。

1か月200円、居場所を検索するのに、1回5円とのことだ。

契約すれば、緊急ブザーを鳴らすと、相手方に居場所の地図が送信されるそうだ。

また、女房のケータイから、俺の居場所をいつでも検索できるとのこと。

俺は契約をしようと思ったが、頭のすみから「待てよ」の声が聞こえた。

俺の居場所を隠すことなく、女房に知れることが心配になったのだ。

特別秘密はないが、いつも監視されることになるから、いやな気分なのだ。

俺は子供たちのように、だれにも知られたくない秘密基地が欲しくなった。

ここに潜り込むと、ケータイの電波が届かない基地だ。安心できるところだ。

女房にいつも監視されていると思えば、気持が落ち着かなくなるのだ。

俺がボケてしまって、徘徊するようになったら、「イマドコサーチ」は威力を発揮することだろう。

しかし、今は、いくらかボケていても、まだ正常なところが残っているから、いつも見はられるのがいやなのだ。

 女房よ。「イマドコサーチ」を使うのは、俺がもう少しボケてからにしておくれ。