NHKテレビの“ためしてガッテン”で,バナナを上手に熟す方法が紹介された。
50度のお湯に5分間バナナを入れると,その1時間後にはバナナが美味しくなるそうである。
俺は女房に頼んでガッテン流バナナを作ってもらった。
お湯に入れておくだけでバナナは美味しくなるのだ。
今日は女房が留守である。
俺はバナナを2房買ってきた。
ガッテン流バナナを作ってみることにした。
まず,大きな鍋に水を入れてガスをつけることから始めた。
俺は化学の実験のように,鍋に温度計を入れて,お湯がちょうど50度になるのを待った。
そして,バナナを鍋に入れた。
タイマーを5分にセットした。
タイマーがピッピッピとなったのでバナナを掬い上げた。
だが,このとき俺は異変を感じた。
女房が同じことをしたときは,たしかにバナナは黄色い色をしていたのだ。
しかし,俺がやると真っ黒に変色しているのだ。
皮をむいたらドロドロに溶けているのだ。
何故こうなったのだろうか?
バナナの種類が違うのだろうかと考えこんでしまった。
すると,ガスレンジの方から異様な音がした。
何と鍋のお湯が沸騰しているではないか。
俺はお湯が50度になった時点でバナナを鍋に入れたのだが,ガスを止めるのを忘れていたのだ。
鍋が大きいからガスの炎が見えなかったので,てっきり火が消えているものと思い込んでいたのだ。
すると目の前にあるものは煮込んだバナナなのだ。
煮込みバナナだ。
ドロドロに溶けてしまったので食べられないのだ。
バナナをどう処分しようかなと考えているうちに,女房が帰ってきた。
テーブルの上に山積みした黒いバナナを見た女房は仰天してしまった。
呆れてしまって怒ることも出来ないでいるのだ。
俺は女房が帰って来たら,美味しく熟したバナナをご馳走してあげようと思っていたのに。
11本ものバナナを無駄にしてしまったのだ。
俺の料理はまたも失敗だ。
残念