「資源管理の徹底に活魚出荷。高付加価値化で魚価向上」(文・写真 鈴木記者)
苫小牧漁協では14年連続漁獲量日本一を継続中のホッキの漁獲可能サイズを殻長9㎝以上と定めたうえで、産卵期の5〜6月は禁漁するなど資源管理を徹底している。今年の夏漁(7月〜11月末)はキロ単価が前年を200円強上回り、10月末までの取扱金額は約2億4千万円と好調な漁が続いている。秋サケは数量金額ともに当初計画を達成。マツカワは活魚出荷を推奨することで魚価向上を実現させている。
「資源管理の徹底に活魚出荷。高付加価値化で魚価向上」(文・写真 鈴木記者)
苫小牧漁協では14年連続漁獲量日本一を継続中のホッキの漁獲可能サイズを殻長9㎝以上と定めたうえで、産卵期の5〜6月は禁漁するなど資源管理を徹底している。今年の夏漁(7月〜11月末)はキロ単価が前年を200円強上回り、10月末までの取扱金額は約2億4千万円と好調な漁が続いている。秋サケは数量金額ともに当初計画を達成。マツカワは活魚出荷を推奨することで魚価向上を実現させている。
TPP交渉が大筋合意し、次々に詳細が明らかされる中、水産物は農畜産物に比べちょっと影が薄い。「影響は限定的」というのが政府の評価だが、関税はコンブなど海藻類を除き、ほとんどが撤廃され、最終的にゼロになる。「全部の関税がゼロになるまで長時間かかる。当事者は誰も生きていない」「マイナスを気にするより、プラス面を見てしっかり励め」といった政府首脳の声も聞こえてくる。
しかし、水産物は農産物と異なり、もともと貿易のウエイトが高い。関税より為替変動の幅が大きいと指摘は事実だが、いつまでも円安基調が続くとは限らず、世界の水産物市場の需給変化によって一挙に輸入が増える局面はありうる。逆に、政府が主唱する「攻めの農林水業」による輸出振興が逆風に直面する事態も想定される。
本当に国内漁業の基本政策は十分か。競争力向上につながる足腰を強くする政策が現在、効果を発揮しているとはとても言えない。もともと漁業に「バラマキ」政策を施してきた経緯はなく、公共事業も低迷を極めている。
沿岸漁業者が求める担い手育成策(漁業後継者対策)にしても、28年度概算要求では「漁船リースモデル事業」を新規計上しているが、その予算額は3億円である。全国の沿岸漁業者に船価3千万円の中古船を20隻提供し、そのうち2分の1を国が負担しようという計画に、北海道では誰も期待していない。45歳未満の条件に当てはまる漁業後継者に中古船を与える(=循環させる?)発想がちょっと理解できないが、これなどはスキームを組み直して浜の実態にあった本来の担い手育成につなげるよう再考すべきだろう。
生意気な話をしてしまったが、春はオホーツク海のホタテ、秋は全道の秋サケ定置網と今年は「爆弾低気圧」と称される気象現象に大きな打撃を受けた。災害に強い漁業の構築は掛け声だけでなく、何とかしなければならない問題となっている。
同時に、北海道漁業はサンマやイカ、スケソウといった多獲性魚種が史上最低の不漁に悩んでいる。コンブも生産量の回復の道筋が見えてこない。
業界幹部は「今年は年間100万トンの大台を切る」と危機感を表明しており、資源管理ばかりでなく、資源回復に必要な育てる漁業、増大対策の展開が必要になっている。
以上、いろいろな問題、課題が出ており、11月号はそういう「多難な秋」を考えさせられる内容になっていれば幸いです。
道連合海区漁業調整委員会
秋サケ序盤から4年魚主体で前期好調、中期に鈍化
10月31日現在全道秋サケ漁獲高
3,115万尾(3.9%増)532億円(6.5%増)
漁は終盤の様相、10月はペースダウン続き、浜値高進む
北方4島周辺水域操業に関する民間交渉始まる
高橋水産会副会長、田中対策協会長ら4人が臨む
平成27年度留萌地区昆布共同値決め
走2等が2千円、同3等が1,700円の高 前年度価格を上回る
全国豊かな海づくり推進協会
「小さなさかなは海へ戻そう!キャンペーン」ポスター制作
道総研の平成27年度職員表彰
網走水試の栞原氏に「ホタテ」技術開発で理事長表彰
平成26年北海道漁船統計
海水動力漁船584隻減少、建造許可は49隻と2隻増
第40回中央協議会(漁業構造改革総合対策事業)
檜山管内スケソウ漁業者のイカ釣り転換計画などを審議
道機船連によると、ロシア漁業庁は2015年秋季極東地域カニ操業会議を開催した。2015年漁期開始から11月2日までの極東海域におけるタラバガニの生産量は4,950トンを超え、前年同期を863トン上回っている。西カムチャッカ海域でのタラバガニ漁獲量は2,860トンで、TAC開発力は56.0%となった。一方、カムチャッカ・クリール海域では、1,730トンが生産され、TAC開発率は88.0%となった。
西カムでは10月10日からアブラガニ、15日からイバラガニ漁業が再開され、26日までの漁獲量とTAC開発率は3,140トン(92%)、189トン(62%)となっている。カラギン海域のズワイガニ(オピリオ)は、TACの96%を開発し終漁した。
道機船連によると、今年漁期開始から10月27日までロシア漁業者による漁獲量は、前年同期を5.5%上回り、361万5,300トンに達した。
海域別では、極東で237万2,200トン生産され、前年同期を5万8,200トン上回っている。このうちスケソウは146万300トンで、前年同期を9万3,300トン上回っている。
北部海域は47万7,000トンで、前年同期を下回り、マダラ漁業も32万7,700トンで前年同期を5万7,800トン下回った。
バルチック海は4万6,900ンで、1万1,300トン上回り、アゾフ・黒海が6万2,800トンで、前年同期を3万700ン上回る生産となっている。カスピ海は2万5,800トンを生産し前年同期を2,000トン上回った。
なお、外国水域は38万4,100トンで同5万1,100トン上回り、国際協定海域・公海部分では24万6,500トン生産され、4万9,500トン上回った。