道東漁業の資源動向、沿岸振興など将来像探る
地元の関心高く水産関係者ら120人が参加し議論
北日本漁業経済学会(二平章会長)の第40回大会シンポジウムが、17日午前9時30分から釧路市観光国際交流センターで開催され、地元水産関係者をはじめ約120人が参加して、ロシア水域における北洋サケ・マス流し網漁業の禁止を受け転換期に直面する道東漁業の現状と将来に向けて熱心に議論した。
午前中は、「道東経済へ影響をおよぼす主要水産資源の動向」をテーマにミニシンポジウムを開き、道総研や北水研、漁業情報サービスセンターの研究者がサケやサンマ、スケソウなどの資源変化とその要因を報告した。
「道東漁業の現状と政策課題」テーマに
川崎道漁連会長が「根付資源の定着」を提起
午後からは、「国際情勢下における道東漁業の現状と政策課題」をテーマに大会シンポジウムを開催し、寺井稔道水産林務部が「道東漁業の概要と新たな資源利用」、川崎一好道漁連会長が「道東地域における沿岸漁業再構築の課題と展望」、大石浩平全国さんま棒受け網漁業組合専務が「サンマ資源管理をめぐる国際的動向とサンマ漁業の動向」、原口聖二道機船連常務が「ロシアのスケトウダラ生産体制と極東漁業の再編成」を話題提供した。この中で、川崎会長は「沖合から沿岸へと漁業が変化する中で、道東漁業に必要なのは(回遊魚を待つのではなく)根付資源を定着させることで、地道な増養殖の取り組みで成果をあげたい」とそれぞれ将来方向を示した。
また、小倉啓一歯舞漁協組合長が現地の漁協を代表し「ロシア水域への依存を脱却し、栽培漁業や増養殖など沿岸漁業の振興がなければ、これからの道東漁業は成り立たない」と述べ、コンブの裾枯れや繁茂異常の解明、衛生管理型の漁港整備など6次産業化の支援策を要望した。
総合討論では、道東漁業の再構築を図る具体策や給餌養殖の可能性、サンマ、スケソウをめぐり質疑を行った。川崎会長は「道東の沿岸環境に適合した増養殖を検討してみると、水深が浅くてもできる垂下式のカゴ養殖、陸上養殖の可能性はある」と語った。