水産庁は今年12月に施行される「水産流通適正化法」の全国ブロック説明会を開催しているが、そのトップを切り、東京での説明会が14日Web会議システムで開かれ、110名を超える参加者が水産庁漁政部加工流通課の説明を聞き、質疑応答を交わした。このブロック説明会は全国8ヵ所で開かれ、直接参加も認めていたが、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、すべてオンラインで開くことになった。
水産物流通適正化は、1月13日に官報で政令が公布され、令和4年12月1日に施行する。今回の説明会は国内および輸出の流通規制を行う特定第一種水産動植物(アワビ、ナマコ、シラスウナギ)が対象で、輸入規制の対象になる特定第二種水産動植物(イカ、サンマ、サバ、イワシ)に関する説明会は別途行う。
水産庁は制度の概要、詳細、電子化に向けた取り組みなどを説明した。資料によると、令和4年12月からアワビとナマコに漁獲番号を付けることが義務付けられる。違法に採捕された水産物の流通を防ぐため、採捕事業者、取扱事業者間での漁獲番号等の伝達、取引記録の作成・保存、輸出入時の証明書添付などが必要になる。近年、漁業者による違反操業が減少している一方、漁業者以外による密漁が増加傾向にあることに対応する措置で、アワビ、ナマコについて採捕事業者や加工・流通事業者等の取扱事業者は①行政機関への届出②漁獲番号その他伝達事項の伝達③取引記録の作成・保存(3年間)④輸出時に国が発行する適法漁獲等証明書の添付が必要になる。令和7年からシラスウナギにも適用される。
改正漁業法では、特定水産動植物(アワビ、ナマコ、シラスウナギ)の採捕違反および密漁品流通の罪を新設し、3年以下の懲役または3千万円以下の罰金が科せられる。
なお、産地市場に導入される「漁獲番号等伝達システム」は水産庁が開発中で、取引記録の作成、保存が可能な拡張システムとする。
質疑では、漁協の産地市場を通じて出荷する場合、一括して行政に漁業者の届出を行い漁獲番号を伝達できるほか、漁業者が直接取引する場合は、個々の届出番号を伝達することなどが明らかになった。