水産北海道ブログ

北の漁業と漁協がわかる情報満載です

2021年10月15日(金)発行/北海道漁協系統通信第6590号

2021-10-19 09:23:34 | 系統通信

道太平洋沿岸の漁業被害に関する国への緊急要請
金子農林水大臣、中村・武部副大臣に原因究明、被害把握を

令和3年度自民党道連政策懇談会で要請
赤潮による漁業被害対策、ふ化放流、栽培漁業への支援を

赤潮による太平洋の漁業被害状況(10月8日)
釧路管内のウニなど約46億円、さらに増える見込み

北海道秋サケ沿岸漁獲速報(10月10日現在)
1,300万尾・6%増と失速、354億円・31%増と高水準

羅臼『天然』昆布共同値決会 前年同で妥結

『羅臼』養殖昆布共同値決会 前年同で妥結

WCPFC北小委員会で大型マグロの15%増枠を合意

道がコロナ対策の重点地域・札幌の時短要請を14日で終了

 


北日本漁業経済学会第50回大会シンポジウム 「新水産政策下におけるTAC制度の課題」 北海道のスケソウ、ホッケなどを事例に方向性探る

2021-10-17 21:55:33 | ニュース

 北日本漁業経済学会は10月8日、9日とオンライン形式(Zoom)で第50回札幌大会を開き、一般報告、総会、シンポジウムを通じて、地域漁業の振興、漁業経済的アプローチの大切さを改めて確認するとともに、国が進める水産政策の改革における資源管理の位置づけ、現状と課題を幅広く議論した。参加者は延べ90人を数え、シンポでは「新水産政策下におけるTAC制度の課題〜北海道漁業を事例に〜」をテーマに水産庁の見解を交え、各業界、試験研究の関係者が真剣な意見を交わし、現状と課題が浮き彫りにされた。

 9日午後から開かれたシンポは、二平章会長が「いま北日本地域の漁業者は、改正された漁業法の新しい秩序の中で将来に不安を持っている。一つは地域漁業を守ってきた組織(漁協)と権利(漁業権)が縮小、弱体化しないか心配している。もう一つの疑問は、改正漁業法における資源管理がめざす沿岸魚種へのTAC拡大方針で、数量規制を中心とする方法、効果、実現性、信頼性は大丈夫なのか懸念される」と挨拶した。

 次いで、コーディネーター・濱田武士理事(北海学園大)が趣旨説明を行い、「水産政策の改革」立案プロセス、そこから見える展望(漁船漁業の将来像)、TAC管理の特徴、政策推進の方法などを簡潔に整理し「北海道におけるTAC制度、資源管理の調整問題を対象に、政策の評価と課題を明らかにし、業界と行政にとって今後の筋道をつける機会になるよう期待する」と述べた。

 このあと、「水産改革と資源管理」晝間信児氏(水産庁)、「北海道スタイルを目指した沿岸漁業の資源管理」本間靖敏氏(道漁連)、「北海道における沖合底びき網漁業の立場から」柳川延之氏(道機船連)、「北海道におけるTAC制度への今後の課題」石川傑氏(北海道)、「道央日本海〜オホーツク海海域のホッケの資源評価と管理」板谷和彦氏(道総研)と5つの報告を受け、コメント(水産北海道協会・上田克之)、水産庁の魚谷敏紀資源管理推進室長の捕捉説明などを交えて参加者との質疑応答を行った。

 総合討論では、後藤友明氏(岩手大学)が新しい管理目標のベースにあるMSYの定義、新漁業法における位置づけを解説した上で「現行MSYがめざす方向性、TACの運用」という課題をあげ、「現場との信頼性は細かいやり取りから生まれる」と指摘した。

 本間氏からは「漁業経営を維持しながら、公平な管理をすべきで、ステークホルダー会議で決定ではなく、その前に漁業者としっかり向き合い、意見を聞いてほしい」との注文がつき、柳川氏は「ホッケの管理目標も魚価や処理能力を考慮し現実的に考えるべきで、沿岸、沖合の実績、配分も変わっている。MSYは現場が肌で感じている資源管理と異なり、びっくりする。ホッケは良い勉強になるので、水産庁も参考にしてほしい」と提言した。水産庁も「ステークホルダー会議に入る前に漁業者と意見交換したい」「MSY自体は変えないが、漁獲シナリオで工夫できるし、踏み込んだやり取りを考えている」と柔軟な姿勢を強調した。

 ホッケ(道北系群)資源に関して、板谷氏は「まだまだ親魚が足りない。かつての10万㌧を獲る方向ではなく、現状の3万㌧を少しでも上に上げたい」「ステークホルダー会議の前に、地域事情を考慮しどう獲っていくのか議論を積み上げる必要がある」と述べた。最後の後藤氏は「資源評価の公表からステークホルダー会議に至るプロセスが確立されていない。スケソウ、ホッケなど北海道の資源管理のプロセスは将来的に重要な取り組みとして注目したい」とまとめた。


日本公庫が「赤潮被害」の漁業者向け相談窓口設置

2021-10-17 21:54:17 | お知らせ

 日本政策金融公庫(略称:日本公庫)札幌・北見・帯広支店農林水産事業では、このほど「北海道東部海域における赤潮等の発生により被害を受けた漁業者等の皆さまの相談窓口」を設置した。

 日本公庫は、この度の赤潮等の被害により影響を受けた漁業者らの融資や返済に関する相談に、迅速かつきめ細やかな対応を行う。

 対象資金は「農林漁業セーフティネット資金」で、対象者は漁業に係る所得が総所得(法人にあっては、当該法人の漁業に係る売上高が総売上高)の過半を占めているもの又は粗収益が 200万円以上(法人にあっては 1,000 万円以上)であるもの。要件は①貸付金使途=赤潮等の発生により被害を受けた経営の再建に必要な資金②貸付限度額600 万円(ただし、簿記記帳を行っている者に限り、経営規模等から貸付限度額の引き上げが必要であると認められる場合には、年間経営費の 6/12 に相当する額又は粗収益の 6/12 に相当する額のいずれか低い額とする)③借入期間10 年以内(うち据置 3 年以内)④特例措置市町村が発行する「罹災証明」を提出した場合、金額1,000 万円を上限に最長5年まで利子助成を受けることで、実質無利子で利用できる。

 相談は、札幌支店 農林水産事業011-251-1261、北見支店 農林水産事業0157-61-8212、帯広支店 農林水産事業0155-27-4011まで。


北海道秋サケ沿岸漁獲速報(10月10日現在) 1,300万尾・6%増と失速、354億円・31%増と高水準

2021-10-17 21:47:22 | ニュース

 本道の秋サケ沿岸漁獲量は、1,300万尾台と10月に入り失速ぎみで、前年同期との差は1割以下となった。しかし、魚価はいぜんとして高く、魚体も大きいため、金額では354億円と前年同期をいぜん3割以上上回っている。

 道連合海区漁業調整委員会の速報によると、10月10日現在の秋サケ沿岸漁獲は全道で1,345万4,949尾と前年同期の105.6%。漁獲金額は353億9,906万円と同130.7%と高水準で推移。

道漁連の水揚げ日報によると、10日現在は約38,000㌧で前年同期の5%増。このままのペースで行けば、最終的に5万㌧台の前半となる公算が高い。

 連合海区のまとめを海域別にみると、尾数で前年同期を上回っているのはオホーツクのみで、根室、日本海が前年並み、えりも以東、同以西は下回っている。金額はえりも以東、同以西を除き前年同期を上回っている。

▷オホーツク=9,040,172尾(118.6%)、24,625,170千円(148.0%)▷根室=1,175,157尾(99.6%)、3,188,356千円(118.4%)▷えりも以東=723,049尾(81.6%)、1,972,936千円(94.7%)▷えりも以西=300,658尾(43.9%)、815,915千円(50.5%)▷日本海=2,215,913尾(93.5%)、4,796,681千円(118.0%)▷総計=13,454,949尾(105.6%)、35,399,058千円(130.7%)

 

岩手県秋サケ漁獲速報(10月10日) 前年比1割減

 

 岩手県の秋サケ漁獲速報は、10月10日現在で2万2千尾、58㌧、3,700万円と不漁だった前年同期に比べ、尾数で約1割、重量で約2割、金額で約2割の減となり、前年を上回る極端な不漁の様相を呈している。㎏平均単価は1,026円で21%アップとなった。平均目回りは2.7㎏で前年よりやや小さい(92%)。


赤潮による太平洋の漁業被害状況(10月8日) 釧路管内のウニなど約46億円、さらに増える見込み

2021-10-17 21:43:06 | ニュース

 道は、赤潮被害と推定される太平洋海域における漁業被害が8日現在で約46億円にのぼると発表した。魚種別ではサケ約1万7,800尾、ウニ約1,500㌧にのぼり、金額はサケ約5,500万円、ウニ約45億5,500万円、その他100万円となっている。特にウニは、釧路管内が約1200㌧・39億5000万円とめだち、日高管内が約300㌧・6億円、根室管内が約1㌧・500万円。サケは釧路管内が約8,400尾・2,000万円、十勝管内が約7,900尾、3,100万円、日高管内が約1,500尾・400万円となっている。

 この被害状況は漁協からの聞き取りによる概数のため、今後の調査で変動する。根室、十勝、日高のウニは今後の漁場調査で被害額が判明する見込み。