水産北海道ブログ

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「魚食」に代わる名称、新たなお魚普及を模索 メディア、食品メーカーが道に企画提案

2016-04-29 12:15:57 | ニュース

 道は、新たな魚食普及事業の展開をめざす「道魚食普及協議会」の2回目の会合を開き、「魚食(ぎょしょく)」に代わる名称や新たなお魚普及事業の方向性について意見交換を行った。協議ではテーマを絞り、各メディア、テレビ局、食品メーカー、流通がコラボし、棲み分けすることで効果的な普及活動ができるよう多数の企画提案が出された。

 この会議にはメディア、テレビ、食品加工、市場、水産団体、国の関係者が委員となって従来進めてきた魚食普及活動を踏まえ、新たな展開をめざすために設置され、6月に提言をまとめることになっている。

 開会に当たり、小野寺勝広水産林務部長が「このように幅広い関係者に集まって魚のことを話し合うのは初めてで、第1回目の協議会では様々な分野の方から前向きな意見を頂き、関心のある企業から問い合わせもあった。魚食という言葉に美味しさを感じないとの指摘もあり、事務所から提案をさせて頂きたくので、皆さんの意見を受け良い表現を模索したい。多くの提案を頂き活発な意見交換をお願いする」と挨拶した。

 津坂透技監の司会で進行し、事務局から「魚食」は「聞き慣れない」「美味しくなさそう」との意見を受け、それに代わるフレーズ(「愛魚」、「ととたべ」、「今日はお魚!」など)が提案され、今後の協議会でネーミングを検討することになった。

 また「北海道お魚カレンダー」「ブランド化に向けた取り組み」「未利用・未活用等資源調査」(現地調査結果)、「28年度魚食関連イベント実施予定調査」などを遠藤俊充水産林務部水産食品担当課長が説明。さらに谷岡俊則経済部食品関連室参事が「各業界等が連携した魚種普及の取り組みイメージ」を説明し「本日は雑誌媒体の企画を受けるが、テレビ局の番組編成では各社が棲み分けることも必要になる」と述べた。連携した取り組みは、9月〜11月に実施し、単発ではなく継続した発信をめざす。道では、協議会の参加団体が連携した面の取り組みをめざし「魚PRのメディアミックス」「魚売場でのクロス販売」「魚をテーマにした食育の記事(番組)化」などを期待している。

 このあと、メディア(雑誌)から㈱あるた出版の平野たまみ社長ら5社が企画を提案した。同社の『O.tone(オトン)』は、40〜60代の大人の男をターゲットにした雑誌だが、今年2月号の「札幌、魚天国」が大好評だったという。そこで11月号では晩酌と酒肴をテーマに、酒と魚料理の組み合わせを提案する。料理好きな男性の自宅でつくったもらった料理とレシピを掲載する。もう一つは和食・洋食の人気店の店主が教えてくれるプロの魚料理を掲載する。「誌面で魚の捌き方をもう一度喚起し、スーパー店頭でも特集の縮刷版を無料配布したい」と語った。

 コープさっぽろの広報誌『ちょこっと』を編集するNPO法人のこたべの平島美紀江さんは、「育てる」をコンセプトに魚好き・料理好きの子供・妊婦・男性を育てる企画を提案した。①「お魚天国」の北海道版をつくって幼稚園で歌って踊る②鯉のぼりの代わりに「サケのぼり」を作って子供たちと楽しむ③男性向けに詳しいレシピを載せ料理教室を開く。そのほか北海道の魚の本、カードゲーム、高校生に魚の販売経験をしてもらうプログラム、フードマイスターの魚版をつくるといった提案を行った。

 クレールさっぽろの星野みどり編集長は、札幌版4万5千部、全国で83万部を発行している誌面を使って子供に魚を食べる体験を広めたいとした。10月号で会員2500人のアンケートをとって見開きページで特集を組む予定。

 「ぐうたび北海道」の村澤規子編集長は、全国に5万人いる会員に対し直接訴えるよう媒体と連携を取っていきたいとした。消費者は簡便志向と本格志向の両極端に分かれ、北海道の魚の魅力を届ける企画を検討する。

 続いて、食品メーカーの提案を受けた。ハウス食品㈱の藤原隆男札幌支店長が肉のメニューを魚に置き換える発想を強調し、「北海道シチュー」シリーズで道産ホタテを具に提案する企画を紹介。新発売する「サーモンのクリーム煮」は北海道限定で魚売場に置く。

 北海道味の素㈱の久我章良社長は、初心者をターゲットにフライパンひとつでつくる「ぶり大根」などの商品を紹介。レシピサイトで北海道在住の3万人にメニュー提案する。

 ㈱ミツカン北海道支店の稲葉千香也営業課長は、寿司・鍋・魚を中心に、北海道エリア独自のオリジナル寿司や鍋、メニューを提案し対面販売する。ブランドサケもメニュー化して市場に浸透させる方法を提案した。

 キリンビールマーケティング㈱の上田幸男企画部副部長は、8月22日に開催する千歳工場のフェスティバルで、未利用・低利用魚の丸焼きを検討し、9〜11月にはスーパー店頭で魚と酒のクロスマーチャンダイジングを行い、12月には家飲みを仕掛けていきたいとした。

 キッコーマン食品㈱北海道支社の金井良和氏は、店頭でのポップ展開を強化し消費者にアピールするとともに、和風惣菜として開発した「ブリの香り揚げ風」をとりあげ、この市場が拡大していることを紹介した。現在まで45アイテムのうち魚は2つしかないことから、今後はメニューを絞って店頭で訴求する方向を提案した。

 カゴメ㈱北海道支店の岩田重幸営業推進課長は、トマトと魚の相性(旨みの増進、臭いを消すなど)が良いことをあげ、北海道で展開しているケチャップを使った「函館イカナポリタン」、様々な魚を素材に使える「トマトパッツァ」(煮込み)を提案した。

 雪印メグミルク㈱北海道総括支店の原田聡営業企画課長は、魚が調理素材として使われていない状況を指摘し、各社とコラボすることで流通の店頭で展開する方法を提案した。

 販売・流通では、コープさっぽろ水産バイヤーの須藤俊彦氏が未利用魚の活用例として浦河町の堺町店で漁協女性部の協力のもと、レシピを配布し店頭販売を秋口に行う計画を紹介。9月の世界領地学会(函館)では有名シェフを呼び地場魚の調理教室を開く。ブリの水揚げ増大に対応した食べ方の提案を札幌の中核店でメーカー、テレビ局と連携して行うと説明した。

 ㈱ラルズ生鮮食品グループ担当の松尾直人取締役は、新たな魚食の方向性を定める必要性を強調し、メーカーとコラボした食育活動の経験を紹介した。量販とブランド化は切り離し、食育は教えるのではなく、参加者といっしょに楽しむスタイルが必要とした。

 テレビ局からの意見を聞いたあと、カネシメ高橋水産㈱の本田敬一監査役が、札幌市中央卸売市場の実習室を使った料理教室やPOSデータの消費動向追跡、末端消費者と川上生産者を結ぶ市場の役割、旬の魚を食べてもらう意義を強調した。

 NPO法人fit北海道会議の三島敬子専務は、簡単だけど一手間かける調理、子供といっしょに参加して感動させるなどの提案を行った。

 西英司道漁連副会長は「皆さんの取り組みを聞き、魚食への思いと強くした」と述べ、各界の活動が連動する中で①輸入水産物と地産地消の問題②活動の継続性の担保といった課題を提起した。

 道総合通信局の安井哲也局長が情報通信技術の活用で未利用魚の利用促進が図られるとの見通しを示し、日本水産資源保護協会の遠藤進専務が「国産魚の普及促進に役立つよう具体的な効果をあげてほしい」、水産庁の生駒潔加工流通課長補佐が「国の事業を通じて皆さんの活動をできる限り支援したい」と述べた。

 次回の協議会は5月下旬に開き、各提案・企画を詰め、6月の提言に向けた骨子案を話し合う予定。


北海道漁業就業支援フェア 5月28日(土)北海道で漁師になろう!

2016-04-29 10:45:40 | お知らせ

 北海道で漁師になりたい人と漁師を育てたい人との相談会「北海道漁業就業支援フェア」が5月28日(土)12時30分からホテルライフォート札幌で開催されます。

 道漁業就業支援協議会(事務局・道水産会内)が主催するもので、北海道で漁師になりたい人の参加を呼びかけています。当日、マッチングで指名されれば、浜での実地研修の道が開けます。履歴書や予約は不要です。ご家族での参加も歓迎します。服装・入退出自由です。もちろん参加料も無料。奮ってご参加ください。


2016年4月26日発行/北海道漁協系統通信6159号

2016-04-26 14:56:00 | 系統通信

漁業構造改革総合対策(もうかる漁業)
本道からサケ・マス漁業代替の3件の計画認定
公海サンマ(全さんま)、サバ・イワシ(根室・厚岸)

道漁港漁場協会と3管内町村会が小野寺部長に要請
漁港内での潜水・遊泳に対する規制強化を

宗谷管内の平成27年販売取扱高まとまる
ホタテ大幅減産も秋サケ来遊好調 4漁協で秋サケ取扱最高額更新
ホタテ漁場の早期回復が喫緊の課題 稚内は昆布増産に向け対策

えりも地域ゼニガタアザラシ保護管理協議会 
改良定置網などによる毎年100頭の捕獲計画を了承

苫小牧で漁協主催の防災セミナー
防災研究の第一人者片田教授が自然災害の備え語る
想定にとらわれない最善の行動が命を守る

平成27年度コンブ共同値決(日高 三石長切)
1等2等は前回同、3等以下は前回より若干の安で妥結

日本海沿岸ニシン3月末で2,034トン、近年3番目の好漁

能取湖海域産ホタテ貝の出荷自主規制解除

 

2016年4月22日発行/北海道漁協系統通信6158号

2016-04-24 20:19:27 | 系統通信

2016年の貝殻島周辺コンブ採取交渉妥結
170トン減の3,862トン、240万円増の9,030万円

第2回「推せん会議」で系統団体長候補者決める
きょうさい・福原、基金協会・松居の両氏が会長候補に

道漁港漁場協会 平成28年度通常総会
厚田小型動力船部会など漁港愛護優良5団体を表彰
高橋会長再選 副会長にウトロ深山組合長、専務に高須賀茂之氏

平成28年度太平洋クロマグロ資源管理説明会
定置網に全国規模の共同管理枠設け突発的漁獲に備える
第2管理期間が7月スタート、都道府県ごとに管理計画

道・青森県小型イカ釣り漁業者情報交換会
巻き網の操業規制、光力規制など共通課題に取り組む

5月19日(木) 平成28年度JF共済優績表彰式


2016年の貝殻島コンブ操業 民間交渉妥結

2016-04-21 09:32:16 | ニュース

18日からモスクワで行われていた2016年の「日本漁民による貝殻島コンブ採取に関する交渉」が20日に妥結。褐藻類(コンブ・チガイソ・スジメ)の採取数量は、前年より170トン減となる3,862トン(そのうちコンブが152トン減の3,448トン)、採取料は前年比242万8千円増の9,026万8千円と決定された。

操業期間は6月1日~9月30日。

交渉には日本側から北海道水産会の高橋英明副会長、ロシア側からロシア連邦漁業庁国際協力局のシマコフ局長がそれぞれ代表として出席した。