降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★阿川佐和子さんは引き出す人だった。

2015年04月16日 | 新聞

(写真は、本文と直接関係ありません)

「阿川佐和子さん(61)・羽生善治さん(44)トークライブ」(文藝春秋主催)に行った。
阿川さんの「聞く力」を聞くつもりだったけど、羽生さんの喋りの面白さとうまさにビックリした。
(僕は、阿川さんファン。実はかなり前、阿川さんの文化面寄稿を知り、部の知人に
「よしっ、分かった!(←加藤武さん風)
忙しいけど、僕が依頼原稿を受け取りにいきましょう!では、阿川さんとどこで待ち合わせましょうか?」
と言ったら、入稿済みだった………)

阿川さん、61歳………とてもじゃないけど、60歳にしか見えない(笑)。
ゆったりめのワンピース(と言うのかしら)に、黒のストッキングとヒール。エレガントである。
羽生さんは濃紺のスーツ、白いシャツ、明るいパープル系のタイで、笑顔を絶やさず対談されていた。
お2人が並んで分かったけど、羽生さんはかなりの長身(175cm以上はあるのではないかしらん)。


羽生名人は、今年棋士生活30年。1800局ほど対戦されたという。
「プロは160人。データベースなど利用しますが、対戦するレギュラーは十数人なので、だいたい棋風が読めます」

羽生さんの話で印象に残ったのは、
「20年前(1996年7冠)周囲からの追い風というか、何か大きな力、大きな後押しを感じました。だから、わたしの力だけで成し遂げたとは思えないんです」

「対局前、よく散歩をします。
日常と対局との切り替えのために、少し歩くことが必要なんですね。
ふだん対局に行くときは車なんですが、たまに電車を利用することもあるんですよ」

「40を過ぎて、まぁ確かに記憶の衰えというか、すぐ出てこないことが多くなりましたねぇ………」


「わたしは将棋をよく知らないんです、ゴメンなさい」
と対談前に言っていた阿川さん。
ついメモしたくなる羽生名人語録をたくさん引き出すのだから、阿川さんスゴい。
今度の新書は『引き出す力』だ⁈

( 羽生さんに会いたかったという、将棋好き高校生くんとミニ対局。上から目線ではなく、一緒に考えながら対戦されていた。
若い世代を育てるのも、羽生さんの仕事。
理路整然としっかり受け答えしていた高校生くん、きっと忘れられない日になったに違いない )

★「ネタ元」新聞社を読む⑧

2015年04月14日 | 新聞

(4月12日付の続きです)

横山秀夫さん(58)の短編ミステリーの舞台となった地方新聞社に注目してみた。
短編「ネタ元」(2000年9月発表。文春文庫『動機』収録=写真右)に登場する新聞社は、とある地方の「県民新聞社」。
主人公は、横山さん作品としては珍しく、女性の社会部記者・水島真知子(29)。
ある日、彼女に発行部数800万部の全国紙・東洋新聞から引き抜きの誘いが来たが………=太字部分は、本文から引用しました。


(真知子の)懐の携帯が震えた。
〈 あっ、水島クン? 大竹なんだけどさあ 〉
大竹整理部長のなよなよとした声。
〈 あの例の黒っぽい車ってやつさあ、ズバリ黒い車にできないかなあ。見出しがオーバーしちゃうんだよ
できるはずないでしょう。そのままやって下さい」
〈 そうツッパらないでさあ 〉
「だったら矢崎(僕注
=真知子の一つ下の社会部記者・男性)に掛け合って下さい。彼が聞き込んだ話ですから。失礼します」
大竹が慌てて引き止めた。
〈 あああ、それとね。さっき君あてに電話があったよ。オトコ。名乗らなかったんだけど、キミわかる? 〉
真知子は電話を切り、わなわな震える指で転職情報誌を引き抜いた。

(後略)=本文202ページから。


【 よけいな解説 】
▽大竹整理部長
名作『クライマーズ・ハイ』(文春文庫)の舞台となった北関東新聞社「亀嶋整理部長」もそうだったけど、
横山さんの作品に登場する整理部長は、いずれも割と裏表のない人物に描かれている。
他セクションの部長やデスクのキャラクターが、腹黒く(笑)上昇志向が強い人物が多いので、整理部長の好人物キャラが浮いて見えるのかしらん。

僕のボス(上司)もけっこう整理部一筋職人系の人が多かった(→あまり、他部からは来ないし)。
おーしっ、局長になったる!
おーしっ、社長になったる!
だからっ、部員はヘマすんなよ!
降版遅れ連発で、オレの足ひっぱんなよ!
という上昇志向ガツガツ丸出しのボスはまったくいなかった。
なぜなんだろー?(笑)

▽ズバリ黒い車………見出しがオーバーしちゃうんだよ
見出し字数がオーバーしてしまうから、真知子記者が書いた記事表記
「黒っぽい車」を
「黒い車」に
書き替えられないか、の意味。
(5文字を3文字にしたいのでしょうね、分かる分かる分かる)
アレレ?と感じたのは、整理部長が一記者に直接電話している点。
その社のシステム・人員態勢にもよるのだけど、
せいぜい出稿デスク経由あるいは整理部デスクからでは、と思った。

▽できるはずないでしょう。そのままやって
そりゃ、できません。真知子記者の言う通り。
恐らく、社会面の整理面担(紙面担当)が
「うーん、困ったなぁ………2文字(*)減らないかなぁ」
と言ったのかしらん。
*見出しの本数=8~11文字内が読みやすい・見やすいと言われる。
タバコ部屋や編集局で、指を折りながらブツブツ呟いているのが、たいてい整理部面担。

★『億男』は250円だった。

2015年04月13日 | 新聞/小説

(写真は、本文と関係ありません)
読み終えた単行本・文庫本・雑誌がたまったので、ブックオフに持っていった。
まだ新刊書店で平積み中発売の本(のつもり)だったけど………。
*お断り=ブックオフは、店舗の特性などで買い取り価格に差があると聞きました。
また、書き込み・ページ折り・カバーが汚れた本などは買い取り不可だそうです。

【 ハードカバー(単行本)】
『億男』川村元気さん(36)マガジンハウス刊、本体1,400円
→買い取り価格@250円。
2015年本屋大賞ノミネート作品。面白かったけど、はっきり言うとジャケ買い。

『希望の資本論』池上彰さん(65)・佐藤優さん(55)朝日新聞出版刊、本体1,100円
→同@250円。
売れっ子2人、再び。最初の方を読んでいるうちに、既刊との重複に気づいた。
対談で、本がバンバンできちゃうのは凄いなぁ。

『誓約』薬丸岳さん(46)幻冬舎刊、本体1,800円
→同@400円。
読み進むほどに息苦しくなる、薬丸さんならではの罪と罰(と人)。
帯は
「一度、罪を犯した人間は、幸せになってはいけませんか。」
いつも思うのだけど(新書・文庫含め)幻冬舎の帯コピーは内容を分からせ過ぎるのではないだろうか。

『断裂回廊』逢坂剛さん(72)徳間書店刊、本体1,700円
→同@400円。
徳間書店創立60周年記念作品(と銘打ってもブックオフには関係なし、笑)。
公安と警察の激突もの。僕は〝神保町〟ものが好きなので、ちょっとなぁ、だった。

【 新書 】
『人間の覚悟』五木寛之さん(82)新潮新書、本体680円
『下山の思想』同、幻冬舎新書、同740円
→買い取り価格@いずれも10円!
まぁ、新書は乱立気味だし、発売からかなり経っているから、こんなもんなのでしょう。

【 文庫本 】
『夢を売る男』百田尚樹さん(59)幻冬舎文庫、本体650円
→買い取り価格@50円。
僕は単行本で読んで、
「文芸社の自費出版システムか」
と感じた。なんとなく読後感がよくなかった。
1週間ほど前に発売されたばかりの文庫だけど、分かりやすい50円なり。

『高速の罠/アナザーフェイス6』堂場瞬一さん(52)文春文庫、同680円
→同@50円。
堂場さん92冊目の本。
舞台は、長野と東京。高速バスが事故を起こしたが、実はムニャムニャ(←言えない)だった………アナログとハイテク、県警と警視庁の激突が面白かった。
堂場さんは、文庫書き下ろしの方がいいのでは。

『つばさよつばさ』浅田次郎さん(64)集英社文庫、同470円
『引撃/エンジン』矢作俊彦さん(65)新潮文庫、同710円
『迷宮』中村文則さん(38)新潮文庫、同460円
→発売が今月だろーが数年前だろーが、文庫の買い取り価格はオール50円(←あまりにも古く赤茶けた本は不可とか)。

【 雑誌 】
「サンデー毎日」4月16日増大号、毎日新聞出版、410円
→買い取り価格@30円。
まだ店頭に出ているからだろうか、30円買い取りには驚いた。
「サライ」5月号(小学館)は5円だったけど。


持ち込んだ本類は、計27冊。
帰りに、セルフではない喫茶店のコーヒー&ケーキセット(1,280円)、文庫本新刊2冊、MEVIUSスーパーライト3個、夕刊紙が買えたので、まぁいいかぁでございました。

★「ネタ元」新聞社を読む⑦

2015年04月12日 | 新聞

(きのう4月11日付の続きです。写真は、本文と関係ありません)

横山秀夫さん(58)の短編ミステリーの舞台となった地方新聞社に注目してみた。
短編「ネタ元」(2000年9月発表。文春文庫『動機』収録)に登場する新聞社は、とある地方の「県民新聞社」。
主人公は、横山さん作品としては珍しく女性社会部記者・水島真知子(29)。
ある日、発行部数800万部の全国紙・東洋新聞から、同記者に引き抜きの誘いが来た………=太字部分は、本文から引用しました。


ネタ元。そう呼ぶには、あまりに希薄な関係だった。
しかし、過去に二度、彼女は記者室の県民新聞ブースに電話を寄越した。真知子を電話口に呼び出し、未解決の事件の名を挙げ、その犯人に逮捕状が発付されたことを漏らしたのだ。

(中略)
真知子は逮捕状抜きのネタ元を社内の人間にも秘した。
進藤(僕注
=県民新聞社編集局社会部デスク)はさすがに声をかけてきたが、
ネタ元は墓場まで持っていけ。たとえ上司にだってバラすな
というのが彼の口癖だ。

(中略)
求められればやるしかない。真知子はそう思った。
たったいま、人生の岐路に立っている。東洋に行ける。このチャンスを絶対に逃したくない。
舵取りすら失った泥船の中で疲弊するだけの毎日はもう真っ平だ。大海原に向かって泳ぎだしたい。

(後略)=218~222ページから。


【よけいな解説】
▽ネタ元は墓場まで持っていけ………バラすな
僕は整理部なので、出稿記者のニュースソースはあまり知らないが、
報道部長から同じ言葉を聞いた覚えがある。
んまぁ、彼は書き手側だから取材源・人脈がいろいろあるのだろーけど、
僕たち整理部には、墓場まで持っていくものは無い(と思う。持っていくものがあるとすればナンだろう? 倍尺だろーか、笑)。

▽求められれば………このチャンスを絶対に逃したくない
(引き抜きの声をかけられた真知子記者の気持ち)分かるぞ、分かるぞ、分かるぞぉ~!
ステップアップのチャンスを逃すなっ、真知子記者!
………と言いたいところだけど、どーなのかしらん。
中途入社組、経験者採用組の先輩たち(主に報道部)を見てきたが、
ムニャムニャ(←言えない)でムニャムニャ(←とてもじゃないが言えない)のようで、けっこうご苦労されている。
かなり、社風が左右するのではないかなあ。

▽疲弊するだけの毎日………
この場合の「毎日」は〝日々〟の意味で、
決して毎日新聞のコトではありません。

★「ネタ元」新聞社を読む⑥

2015年04月11日 | 新聞

(4月6日付の続きです。写真は、本文と関係ありません)

横山秀夫さん(58)の短編ミステリーの舞台となった地方新聞社に注目してみた。
短編「ネタ元」(2000年9月発表。文春文庫『動機』収録)に登場する新聞社は、とある地方の「県民新聞社」。
主人公は、横山さん作品としては珍しく女性社会部記者・水島真知子(29)。
ある日、発行部数800万部の全国紙・東洋新聞から、同記者に引き抜きの誘いが来た………=太字部分は、本文から引用しました。


自分でも驚くほど冷静だった。特ダネを書かれたのだ。いつもなら、カリカリして赤信号の二つや三つ無視して飛ばす。
だが、ちっとも腹が立たない。昨日まで見るのも嫌だった東洋新聞。しかし、一夜明けたいま、もう敵とは思えなかった。

(中略)
走り慣れた北部環状線。見慣れた田園風景。灯のないラブホテルの白々した外装………。
それらが皆、なぜだか懐かしいもののように感じる。置き去りにしていくもの。捨て去っていくもの。

(中略)
いけいけの飛ばし記事とみてよさそうだった。東洋も鷹見戦争を意識するあまり、かなり無理して紙面を作っている。
(後略)=212~213ページから。
*鷹見戦争=県民新聞の記事によって不買運動が起きた鷹見地区で、全国紙など6紙が拡張団を送り込んで購読契約合戦を展開していた。


【よけいな解説】
▽東洋新聞………敵とは思えなかった。
分かる、分かる、分かる。
転社のとき同じように感じたけど、僕はライター(記事を書く人)ではなかったので、あまり〝敵〟とは意識しなかった。
抜いた抜かれたの多いライターは、やはり〝敵・味方〟と感じるものなのだろうか。

▽置き去りに………捨て去っていくもの。
分かる、分かる、分かる、分かる。
社を離れる数日前から、いろいろなことが去来し、なんとなく感傷的に………………ならない!
「製作局のTデスクにはシゴかれたよなぁ」
(←でも、結果的には仕事を早く覚えた)

「そーいやぁ、画像部を鍛えてやったなぁ。あのときは画像部デスクと睨み合ったもんなぁ」
(←一時期、地紋のつくりが悪かったので、他紙の地紋を切り抜き、出稿伝票にバーンと添付した。〝コレト同ジニ作ッテ〟
後日、画像部デスクに
「おかげで、きれいな地紋ができるようになったよ」
と感謝されたけど)

「レイアウトで編集局長賞いただいなぁ。でも、1万円だったからすぐなくなったなぁ」
(←代表賞、社長賞まであることを知った。副社長賞、専務取締役賞、重役賞は無かったようだ。笑)

▽いけいけの飛ばし記事
いわゆる「書き飛ばし」。
事件に進展がなく膠着状態のとき、
「針小棒大&先に書いちゃえば勝ち!」
みたいな感じ。
編集打ち合わせ会議で連絡を受けるから、
僕たち整理部も、それなりの、やや強めの見出し(ベタ白ヌキ地紋とか)扱いをする。
飛ばし記事に関しては書いた記者も、つけた整理部員もけっこう忘れてしまうことが多く、
「え~⁈ そんなこと書いたっけ?俺」
自分の仕事歴には入っていないようだ。

★だから「羽生」はハニュウでハブなのか=4月京都編③止

2015年04月09日 | 新聞

(きのう4月8日付の続きです。
写真は、本文と直接関係ありません。「止」は、コレデ終ワリの意味です)

京都市内で、日刊ゲンダイ(大阪版・A版)は午前11時30分ごろコンビニ店頭に並んでいた。都内版と比べてかなり早いなぁ。
(東京版では早版は「AB統合版」だけど、大阪版は「A版」表示だった)

ということは、さておき。
同紙を見ていたら、
「そうだったのかぁ!」
「エウレカ!エウレカ!」(←古い?)
という記事があった。

連載「名字で見る有名人のルーツ」(『全国名字大辞典』著者・森岡浩さん)の
「羽生結弦が『はにゅう』で羽生善治が『はぶ』のワケ」
抜粋で書くと、
「羽生」は関東・信越・宮城・鹿児島の4カ所に多い名字で、
このうちハブと読むのは鹿児島と、東京都多摩地区の2カ所だけ。
残りの地域ではハニュウと読む。
従って、仙台出身の羽生結弦はハニュウ、八王子出身の羽生善治はハブと読む(敬称略)。

ポンッと膝を叩いてしまった。
僕は東京・多摩地区出身なので、
「羽生はハブでしょ⁈ 」
と読んでいたので、
「羽生結弦クンはハニュウと読むの?」
彼の記事を読むときは頭の中で
〝ハブ不可。ハニュウだぜ〟
と変換していた。

地元の学校の先生、同級生には「羽生」姓がかなりいらして、みなハブ読みだった。
となると、東京・多摩地区の人たちはスポーツ記事を読むとき
「おっと~、羽生結弦クンはハブではなく、ハニュウ読みだぜ」
と変換しているのでしょう。

★既読感アリの朝日夕刊だった=4月京都編②

2015年04月08日 | 新聞

(きのう4月7日付の続きです)

また、雨の古都である。
上七軒の愛人………ではなく知人と、舞いだした桜吹雪のなか、傘をさして濡れた石畳を歩くのも風情があっていいなぁ(←なんて思わないっ。やはり、晴れた京都がいい!)。

毎年観てきた桜並木で、僕が好きなのは木屋町の高瀬川沿い(無料だし)。
やや葉桜の木々もあったから、散り始めかも。
となると、次は御室仁和寺の御室桜が見ごろどすえ(←ニセ京ことば、堪忍しておくれやす)。

ということは、さておき。
4月7日付朝日新聞大阪本社版夕刊(写真)トップを見て、アレッ?と感じた。

ポテそば
人気熱々
阪急・十三/若者狙い月3千食突破

阪急十三駅構内にある「阪急そば若菜十三店」が、主力の中高年層のほかに若者層を開拓しようと、
新メニュー「ポテそば・うどん」(370円)を販売しはじめたら、売れた売れた売れた売れた
、土日は1日で150食!
………………という記事。
ウーム。これ、読んだことがある。
何かで読んだことがある、デジャビュ感あり(東京版で先行掲載かなぁ、タイアップものかなぁ)。
拾いネタを2次加工したのだろうか。東京の僕も知っていた街ネタなのだけど………気のせいかしらん。
(ちなみに、この夕刊をコピー→ラッピング加工して、そば屋店内に貼るような感じ、笑)

★アレもアレも満開だった=4月京都編①

2015年04月07日 | 新聞

京都に来た。
いきなり雨に降られ、
「雨の古都に、そうそう出合えるわけじゃないから、こいつぁツイてるねぇ~」
と思った(←思うわけないっ)。

祇園の愛人………ではなく知人と鴨川を散策。
白川や円山公園などの名所旧跡の桜もいいけど、道端にさりげなく咲いている桜が好きどすえ(←ニセ京ことば、堪忍しておくれやす)。

例年どおり、僕たちは平安神宮近くの琵琶湖疎水の桜並木(写真)を観に行った。
平安神宮駐車場に観光バスがたくさん並んでいたので、
「ま、まさか………」
と思ったが、やはりC国人集団ご一行さまが(大好きなナイロン服を着て)闊歩していた。
大声だしながら、5~6人グループで桜をバックに、自撮り棒で撮っている。
狭い道でも道を譲ろうとしないから、イヤになっちゃうのどすえ。

桜も満開だけど、
風情ぶち壊しナイロン集団も満開
だったのどすえ………………。

★「ネタ元」新聞社を読む⑤

2015年04月06日 | 新聞

(きのう4月5日付の続きです。写真は、本文と直接関係ありません)

横山秀夫さん(58)の短編ミステリーの舞台となった地方新聞社に注目してみた。
「ネタ元」(2000年9月発表。文春文庫『動機』収録)に登場する新聞社は、とある地方の「県民新聞社」。
主人公は、横山さん作品としては珍しく女性社会部記者・水島真知子(29)。
ある日、発行部数800万部の全国紙・東洋新聞から真知子記者に、引き抜きの誘いが来たが………=太字部分は、本文から引用しました。


東洋新聞でも事件をやるのだろうか。ふと真知子は思った。
全国紙に中途採用で行く。となれば、最初はおそらくどこかの地方都市の支局に配属される。
見ず知らずの土地。そこで警察を回る。また一から警察官の名前と癖を覚え、官舎や自宅を探し歩き、休みなしに夜回りを掛ける。
それでもいい。そう思った。

(中略)
午前六時。後輩の織田からの電話をベッドの上で受けながら、真知子は、読売新聞と県友タイムスの紙面を手荒く開いていた。こっちも特ダネはない。
(中略)
一年生記者の加納ひろみ。
〈毎日はなしですけど、東洋が変なの書いています。えーと、読みます〉
東洋新聞が書いたのは、主婦殺しに関する鑑識ネタだった。
『犯人はAB型血液』の大見出しの下に、小さなクエスチョンマークがついている。

(後略)=209~212ページから。


【よけいな解説】
▽東洋新聞でも事件をやる
(地方紙・県民新聞にいる真知子が)移籍先の全国紙・東洋新聞でも警察・事件ものを担当する、の意味。
んーまぁ、所属希望と移籍先欠員事情があるだろうけど、たぶんサツ関だよね。
記者(ライター)が引き抜きを受けた場合、
間違っても整理部配属は無いと思う(キッパリ!)。
もしも、もしも、この場合、移籍先新聞社から
「んじゃあ、編集センター整理部では?」
と言われたら、彼女はどうするんだろうか(笑)。
きっと、真知子記者は、
「行きません!
だって私、記事は書けるけど、倍数だのUだの見出し本数だの知りません!整理部は専門職だと思いますよ!」
と言うと思うのだ。

▽全国紙に中途採用で行く
知人が転社したけど、
「外から見るのと、内から見るのとは………ムニャムニャだよ、ほんとぉ、ハァ~(ため息)」
「3人寄れば派閥ができるっていうからなぁ」
と言っていた。

▽読売新聞と県友タイムス
真知子記者は、自宅で「読売」と県紙ライバル紙「県友タイムス」2紙を定期購読しているのが読み取れる。
この2紙の組み合わせは、かなり意味深。

▽大見出しの下に、小さなクエスチョンマーク
〝大見出し〟は地紋見出しだろうか。
中G白ヌキベタ黒「犯人はAB型血液(?)」
(?)部分をマル囲みにすれば、グラフィック部ではポイントを落として入力する(はず。新聞社によってルールが異なることがあるので)。
活字3段47倍見出しなら、5倍Mでも目立つ(Gはゴシック体、Mは明朝体)。
でも、大見出しとあるから、裸活字見出しとは考えにくい。
*裸活字見出し=地紋スクリーンがない、活字だけの見出し。アミかけ(ダミーの網スクリーン)を被せる場合も含む。

★「ネタ元」新聞社を読む④

2015年04月05日 | 新聞

(3月31日付の続きです。写真は、本文と直接関係ありません)

横山秀夫さん(58)の短編ミステリーの舞台となった地方新聞社に注目してみた。
「ネタ元」(2000年9月発表。文春文庫『動機』収録)に登場する新聞社は、とある地方の「県民新聞社」。
主人公は、横山さん作品としては珍しく女性社会部記者・水島真知子(29)。
ある日、発行部数800万部の全国紙・東洋新聞から真知子記者に、転社の誘いが来たが………=太字部分は、本文から引用しました。


二、三日中に返事を下さい。上の者に会わせます。草壁はそう言っていた。考えるまでもないような気がする。もう気持ちの大半は東洋新聞に飛んでいた。
未練などない。
県民新聞は泥沼だ。外からは、丁々発止、県友タイムスと張り合っているように見えるのだろうが、しかし、発行部数はあちらが四十万、こっちはその半分だ。いや、とっくに警戒ラインの二十万部を割り込み、広告収益も激減している。

(中略)
経営を圧迫する夕刊は一昨年廃止した。採算の上がらない出版事業部も解体した。だが、焼け石に水だった。
真知子が入社してからだけでもオーナーが三度替わった。

(後略)=207ページから。


【よけいな解説】
▽ 上の者に会わせます。
編集記者にとって麻薬の言葉「引き抜き」。
地方紙・真知子記者の場合は、東洋新聞の総支局長あたりからの面接だろうか。

僕の場合。
転社先の人事部長から
「まず、あなたの編集した紙面を数部もってきてください」
と言われ、持参した紙面を見ながら整理部長→副社長と面談。
なんとかかんとか副社長面談を終えた後、再び人事部長からヒソヒソ
「普通ならですね、次の役員面接の前に、英語を含む筆記試験をやっていただくのですが、あなたの場合は………まぁ、無しにするようにしますから。面接頑張ってくださいね」
と言われた(→筆記なんかやったら、コイツはダメだ、と思われたのね。だから、人事部長には頭が上がらない、笑)。

記者引き抜き(中途採用)面接の場合。
必ず書いた記事や担当紙面を要請されるから、我ながら良くできたと思う紙面を日頃から用意しておきましょうね。

▽ 警戒ラインの二十万部を割り込み………激減
恐らく〝押し紙〟込みの部数。
小説の中では、朝日、読売、毎日、産經、東洋、県友タイムス6紙が発行されているエリアなので、「二十万部を割り込み」は確かにキツいどころか、ヤバい。
意外にも、日経が出ていない地域のようだ。

▽ 夕刊は一昨年廃止
横山さんがいた上毛新聞は1961年に朝夕刊を一本化していたので、かなり早く見切っていたのだなぁ。