降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★北陸4紙が掲載とは!=冬の金沢編③

2014年02月28日 | 新聞

【 2月26日付の続きです 】
北國新聞vs北陸中日新聞、勝手に「第2ラウンド」。

さすがは真宗王国・北陸なのだ。
五木寛之さん(81)の小説「親鸞・完結編」が北國・北陸中日ライバル2紙に同時連載……………
どころか、JR金沢駅の売店スタンドで販売されている即売紙を調べてみたら、なんと
「福井新聞」=写真左
「日本海新聞」
も連載していた。
つまり、金沢で売られている地方紙朝刊4紙が「五木版親鸞」を連載中なのだ。

▽北國新聞「親鸞・完結編」=写真右
天地2.8段組み、左右は全段通しで、カラー罫囲み。山口晃さんの挿絵は、他紙と比べやや大きめ。

▽北陸中日新聞「親鸞・完結編」
名古屋・東京本社版の組み方とは異なり、独自に縦8段組みにしている。
北國と同じようにカラー罫で囲み、目立つレイアウトで、「石川総合版」に掲載。
( ちなみに全紙、同じカラー挿画を掲載しているので、色分解の差でこんなに絵が違うのかぁ、と感じた )

北陸日刊紙4紙が同時連載なのは、
親鸞聖人、蓮如上人から信仰ふかい浄土真宗王国・北陸ということと、
金沢ゆかりの作家【注・下段】五木寛之さんだからなのだろうか。
五木さんの新聞連載は、3月末完結予定。

五木寛之=いつきひろゆき
1932年9月30日生。81歳。
石原慎太郎氏も同年同日生まれだが、
▽他力の五木氏=直木賞、
▽自力の石原氏=芥川賞、
…………人の運命は分かりませんねぇ。
五木氏は、1966年『さらばモスクワ愚連隊』で第6小説現代新人賞、翌67年に35歳で『蒼ざめた馬を見よ』で第56直木賞受賞。
いずれも金沢在住時代だった。
現在は、金沢市主催の泉鏡花文学賞選考委員で、金沢文芸館には「五木寛之文庫」が設けられている。




⊂((・⊥・))⊃

★石川県もPM2.5だった=冬の金沢編②

2014年02月27日 | 新聞


【 2月26日付の続きです 】
「お客さん、東京からですか? 小松空港からこちら(金沢)まで? ちょっと遠かったでしょ。
でも、来年3月には北陸新幹線開業ですから、東京から1本、ビューン2時間半!」
JR金沢駅前から浅野川大橋まで乗った近鉄タクシーの運転手さんは、
「北陸新幹線、期待大大大大大大」
だった。

東の廓の愛人と( ←1度言ってみたかっただけ)そぞろ、浅野川大橋からひがし茶屋街、金沢文芸館まで歩いた。
疲れたので、今度は北鉄タクシーに乗ったら
「お客さん、大丈夫ですか? 歩いていて息苦しくないですか?」
「え? 何が?……そういえば、外は霞んでいるよーな……」
タクシーの運転手さん「外出自粛をって、県が『PM2.5』注意喚起情報発令してるん知らなかったんですか?」
「えっ! あの微小粒子状物質PM2.5!」


「PM2.5 県が初の注意喚起」
「長時間外出抑制を」

(2月26日付北陸中日新聞夕刊=写真右
うーむ、「抑制を」なんて堅苦しい言葉をつかうなぁ。
カギカッコ付きなんだから「控えて」の方がいいのでは……ということは、さておき。

輪島市をはじめ県内のPM2.5観測値が25日から上昇、国の基準値を超える恐れがあるとして石川県は26日、
「長時間の外出などは控えてください。
さらに、呼吸器系や循環器系疾患のある人も慎重な行動を」
と、初めて注意喚起情報を発令した、という( 全国10府県で発令 )。
金沢が霞んでいたのは、アノ大陸からのPM2.5飛来だったのかぁ…………。



(=゜ω゜)ノ

★北國新聞vs北陸中日!=冬の金沢編①

2014年02月26日 | 新聞


浅野川近く東の廓(くるわ)の愛人から
「会いとうございますえ」
とメールが来たので( ←大ウソ。一度言ってみたかっただけ、笑 )金沢を訪れた。

金沢には、小松空港経由。
羽田空港から約1時間ほどだけど、小松空港で
「自衛隊機との離着陸調整のため、5分ほど遅延いたします」
さらに、小松空港からスーパー特急バスで45分ほどで、ようやく金沢市内………かなり遠い。
来春開業予定の、東京ー金沢間約2時間半という「北陸新幹線」を待ちましょう。


「東京を離れたら、地元紙・県紙を買え!」
という先輩整理記者の教えを守り、北國新聞&北陸中日新聞を駅で買った=写真

▽北國新聞=1段12字組み全12段編成( 朝夕刊セット月ぎめ3,925円、朝刊のみ3,007円、朝刊一部130円、夕刊同50円 )
と、と、とにかく、カラーページが凄いのだ。めくってもめくってもカラー!
この日は38ページ建てで、うち32個面がカラー(広告含む)。
早い話、40ページ以上がオフセットカラー印刷できるのだ。
僕が買ったのは金沢市内版で12版。
地域面は石川北、石川南版、かなざわ・金沢版( ←見開きなんだけど、なぜか漢字とひらがな )地方社会版と充実の紙面展開。
ちなみに、1面トップ記事は
「外資系ホテル誘致」
「金沢市/駅西口の市有地に」
「東京五輪までに開業目指す」

▽北陸中日新聞=1段12字組み全12段&10字組み15段編成( 朝夕刊セット月ぎめ3,870円、朝刊一部130円 )
と、と、とにかく中日資金力(かな?)を見せつける、リーズナブルな購読料!
この日は34ページ建てで、カラーは21個面(広告含む)。
地方紙は、カラー印刷ページ数で勝負なのかしらん。
社説・内政・運動面記事などは名古屋本社・東京本社と共通。東京新聞「こちら特報部」はファイル電送かな、紙面レイアウトはまったく同じ。
大沢在昌さん、五木寛之さんの連載小説は、他本社と同じ形ではなく独自に組み替えて掲載している。
1面トップ記事は、
「多選 県民意識に変化/県知事選、本紙世論調査」
「4年前比『是非、一概に言えぬ』10ポイント減」


金沢市内にまったく雪はない。
東京の方が残雪があり、日本は広いのだった( ←おおっ、なんだか椎名誠さん的締め方じゃん、笑)。


(=゜ω゜)ノ

★『約束の海』を読んでいるのだ、ヨウソロ。

2014年02月25日 | 新聞/小説


昨年2013年9月29日に亡くなられた山崎豊子さんの最後の長編『約束の海』(新潮社、1785円=写真左 )を読んでいる。面白い!
( ↑ 本体1700円・税別って表記してあるから、4月からは1836円になるのでしょう。だから、51円安いうちに買ったのだ、笑)
海上自衛隊の若き潜水艦乗り・花巻朔太郎(28=はなまき・さくたろう)が主人公。
ストーリーは1980年代後半のある日、潜水艦くにしおの東京湾航行から始まる。

朔太郎は愛知県豊田市生まれ、高校時代にはボート部でインターハイを目指していたが、
「もともと、格別の思い入れがあって海上自衛隊を志したわけではな」く、父が戦前の海軍兵学校出身だったことが影響したのか、防衛大学校に進んだ。
ある日、なにげなく古い文箱を見つけたところ、黄ばんだ封筒にタイプ紙があり
櫻花 散るべき時に 散らしめよ
枝葉に濡るる 今日の悲しみ

としたためられた万年筆の筆跡は、まぎれもなく父のものだった…………。


へぇ~、ヨウソロって「宜候」と書くのかぁ、ということはさておき。
これまで読んだ山崎骨太(ほねぶと)作品と、人物設定がかなり違った。
『白い巨塔』財前五郎、
『華麗なる一族』万俵鉄平、
『沈まぬ太陽』恩地元、
『運命の人』弓成亮太
彼らは強い意志と高い志を持つ男たちだったけど、
潜水艦乗り花巻朔太郎は、模擬魚雷戦に失敗しちゃうし、自分に自信が持てないのでぐずぐずして恋にも踏み出せない、そこらにいる普通の青年に設定されている。
山崎さんは朔太郎の成長物語を軸に書きつつ、父の「戦争」を描くつもりだ、と巻末「執筆にあたって」に記している。

「第一部完結」で終わっている同小説だけど、新潮社の山崎プロジェクト編集室が、ご丁寧にも
「第三部・千年の海=仮題シノプシス」
まで書き込んでいるのでチラ読みしてしまった。
「な、なんというスケール!
…………で、で、でも、これ、読まなきゃよかったぁ」
『約束の海/山崎豊子シノプシス』とか、別な形で出したほうがいいのでは、と思ったのだけど。
( 関係ないだろーけど、山崎さん絶筆も零戦が登場。宮崎駿さん監督『風立ちぬ』、映画版『永遠の0』と、昨2013年は零戦ものが多かった )



(・ω・)ノ

★新聞を鉛活字&活版で組んでいたころ(72)

2014年02月23日 | 新聞

【 2月20日付の続きです。
写真は本文と直接関係ありません 】

ついつい最近まで、新聞は鉛活字・活版で組んでいたのだよ────後世に書き遺しておこうかな、の第72回。

番外編「CTS始動・前夜編」として
「1990年代初頭、とある新聞社の製作局はこうして活版時代の幕を閉じた」
について、僕自身が忘れないうちに書いておきます、の Part 42。

【 CTS=Computerized Type-setting System( 新聞コンピューター組み版・編集 )。
1960~80年代、朝日新聞社、日本経済新聞社、日本IBMが主導・開発した。
日経東京本社は1978年にアネックスシステムを、朝日東京本社は1980年にネルソンシステムをそれぞれ全面稼動した。
その時つくられたソフトの一部は、パソコンの文字訂正などに転用されている

▼ 特版紙面マークに「意味」がある場合もあるよ、と指摘されました……あ、そーいえば、そうだった(汗)

新聞紙面の欄外ページノンブル横にある版数
「13版◯」
の◯、◎、★、☆、▲、△………いわゆる
「オッカケマーク」
「特版マーク」( ←新聞社によって呼び方は異なります )
は「何でもいい」なんて書いたけど、社によっては「意味」がある場合もあるのだよ、と教えてもらった。
例えば、社によっては
「13版◯」=記事を入れた場合
「13版▲」=赤字を直した場合
で分けることもある( 校閲センターを別会社化にしている社も、マークを替えるとか )。

見開きスポーツ面。
▽見開き左面「13版◯」
→13版をとったけど、記事を一部入れて版を起こした。
( 新聞の奇数面は、だいたいニュースを入れ替えるので、整理面担は最終版までバタバタしている )
▽見開き右面「12版」
→13版はとらず、手直しもせず、12版を通した。
( 偶数面は、だいたい「止める」「通す」ので、整理面担はちょっとだけ早く帰宅することもあるけど、
記事待ちで13版を飛ばして、いきなり最終版14版に行くこともある )

この版替え連絡を、整理部デスクがチェックしながら製作局→印刷局に出すのだけど、
同版替えを間違えると、印刷局輪転やサテライト工場では紙型を捨ててしまうこともあるので要注意なのだ、ほんと( →ミスって怒られた私、笑 )。



(=゜ω゜)ノ

★ブックオフ買取価どーなのだ?

2014年02月22日 | 新聞/小説

【 写真は、本文と直接関係ありません 】

本が少したまったので、近所のブック・オフに持って行った。
先日の日本経済新聞記事では、
「買い取り価格を見直し、新刊ほど強化していく」
と出ていたけど、どーなのかしらん。
(持ち込んだ本は、いずれもカキコミなし・オビ付きの美本、のつもり。地域や店舗によって買い取り価格が多少異なるそーです)。

▼ 単行本
『ノボさん/小説正岡子規と夏目漱石』伊集院静さん、講談社1,680円
→買い取り価格380円。
新刊書店で今も並んでいるけど、こんなもん?
『いねむり先生』もそうだったけど、伊集院さんの小説のテーマの一つに「人と人の出会い」があると思う。
伊集院さんは、羨ましいほど若い頃から多くの出会いに恵まれてきた(哀しく苦しい別れもあったでしょうけど……)。

『世の中それほど不公平じゃない』浅田次郎さん、集英社1,260円
→同290円。
日本ペンクラブ会長ですぞ!
買い取り価格自体に「不公平」があるよーな気がするけど(笑)。

『インフェルノ・上巻』ダン・ブラウン、越前敏弥訳、KADOKAWA・角川書店編集1,890円
→同470円。
売れ筋本らしく、伊集院本越え。
でも、慌てて単行本を買って読まなくても、映画化直前に文庫化されるのを忘れていた。
オー、マイ、ガッ!

『存在しない小説』いとうせいこうさん、講談社1,470円
→同290円。
今度こそ、芥川賞をとると思ったけどなぁ。
さまざまな文体を駆使していて、お得な一冊なり。

『あとかた』千早茜さん、新潮社1,470円
→同290円。
これも芥川賞候補作だったが。
どーやら、ブック・オフは純文学系の評価は低いということが分かった( ←今ごろ?笑 )。

▼ 新書
『特捜部Q/カルテ番号64』ユッシ・エーズラ・オールスン、吉田薫訳、ハヤカワ・ミステリ2,100円
ほか講談社現代新書など5冊

→同70円。
でも、ハヤカワ・ミステリって新書なの? 確かに、判型は新書サイズに近いけど。
以前、違うブック・オフ店で、三方が黄色い同ミステリを
「黄色く塗られているから買い取りできかねます」
と学生バイトくんに言われて、ア然としたことも( ←実話ですよ )。

▼ 文庫
『歪( ひずみ )』堂場瞬一さん、KADOKAWA・角川文庫694円
『ホームレス歌人のいた冬』三山喬さん、文春文庫640円
『二度はゆけぬ町の地図』西村賢太さん、KADOKAWA・角川文庫459円
ほか11冊

→オール50円。
文庫は新刊でも数カ月前のものでも、汚れがない美本なら、買い取り一律のよう。
むしろ、本好き高校生が買うのか、キャラクターノベル、ライトノベルの方が多少高いと聞いた( でも、オジサンはラノベ読まないもんねぇ )。



( ̄^ ̄)ゞ

★あの新聞に似ている……とても(笑)

2014年02月21日 | 新聞

以前、関西の繁華街で
「ご自由にお持ちください」
とあった新聞を、東京・新宿で見た。
いよいよ、東京進出(ブロック紙)→全国展開(全国紙)か。
………やりかねないぞ、アノ国は(笑)。

題字の色(シアン+マゼンタ)、題字の形、新聞タイトル………。
あの新聞と、あの新聞にとても似ている。たぶん、気のせいだろーけど(笑)。
「周刊新聞 中日新報」=写真
発行社は
「中日新報新聞社」。
だはははははははははははははは。

ブランケット判、カラー含む16ページ建て。
外側メーン紙面は横組み漢字表記だけど、
中央抜き取り2~4ページは
「中日新報/週刊誌新聞」(表記ママ)
縦組み日本語版になっている。

さらに、あの国の方々向けなのか、
▽帰化入管永住申請・結婚離婚国際法務
▽大阪府内大量物件新建住宅例2730万円
▽往復航空券扱国際旅行
▽整体院求人
▽iPhone提供免費応相談
など、日本の会社広告もバンバン入っていた。



( ̄^ ̄)ゞ

★新聞を鉛活字&活版で組んでいた頃(71)

2014年02月20日 | 新聞

【 2月17日付の続きです。
写真は、本文と関係ありません 】

ついつい最近まで、新聞は鉛活字・活版で組んでいたのだよ────後世に書き遺しておこうかな、の第71回。

番外編「CTS始動・前夜編」として
「1990年代初頭、とある新聞社の製作局はこうして活版時代の幕を閉じた」
について、僕自身が忘れないうちに書いておきます、の Part 41。

【 CTS=Computerized Type-setting System( 新聞コンピューター組み版・編集 )。
1960~80年代、朝日新聞社、日本経済新聞社、日本IBMが主導・開発した。
日経東京本社は1978年にアネックスシステムを、朝日東京本社は1980年にネルソンシステムをそれぞれ全面稼動した。
その時つくられたソフトの一部は、パソコンの文字訂正などに転用されている

前回までのあらすじ
1990年代初頭、とある新聞社の、とある夜21:50過ぎ( →普通21時は夜だろっと突っ込まれましたが、分かりやすく、ということで)。
途中まで組んでいた地方版の一部が、試運転中CTSのシステムダウンで出力不能になり、
慌てた僕たち整理部&製作局は非常事態宣言。
急きょ、印画紙出力→見出しなど手貼り→スキャナー送信に切り替えて降版していたが……。

▼ 特版のマークは何でもいいのだ、早い話

ニュースを突っ込んで組み替えたり、ミスがあったので急きょとりなおしたり、印刷センター(サテライト印刷工場)に一度送信してしまった紙面の後をオイカケる紙面を
「特版紙面」
「オッカケ」

という( ←新聞社によって言い方は異なります )。

先に送信した紙面には当然、欄外には
「13版」( ←例えば、ですね)
と入っている。
数分後、新たにとりなおした紙面に何らかのシルシ・マークを入れないと、印刷センターで事故を誘発する可能性がある。
そこで、
「13版◯」「13☆版」「13版▲」「13版★」「13版◉」
などの約物(やくもの)を入れて、
「マーク入りを使ってね!頼むよん!」
あるいは
「とりなおし13マルを!」
と印刷センターに緊急連絡をする。

新聞社によって同マーク・シルシは異なり、早い話なんでもいい(と思う)のだけど、
「13版 (^O^)」
「13版 ( ´ ▽ ` )ノ」
「13版 \(^o^)/」

というのは一度も見たことがない。
仕事が楽しくなるのではないだろーか。
………爆笑。続く。



*\(^o^)/*

★主人公は元整理部長である⑥

2014年02月19日 | 新聞/小説

【 2月16日付の続きです 】

毎日新聞の元整理部記者だった長井彬さん(1924~2002年)が56歳で執筆、
第27回江戸川乱歩賞を受賞した『原子炉の蟹』(講談社文庫1984年初刊、2011年に新装版=写真中)。
同ミステリーの主人公というか、
原子炉建屋密室連続殺人のトリックを解明したのは、
皇居近くに地上9階建て東京本社を構える全国紙「中央新聞新聞社」元整理部長・曾我明編集委員だった。
………………元整理部長が主人公!
かつてあっただろーか、こんなステキな設定(笑)。まぁ結果的には、推理小説によくあるパターン「本社と支局記者の連携」ものになるのだけど。

前回にも書きました。
長井さんには、もっともっと
「元整理部長・曾我明のミステリー事件簿」(←仮題ですよwwww僕が付けました)
を連作で書いてほしかった(数十年ぶりに再読して、あらためて思います)。

同ミステリー内で、整理部記者ならではの記述は数カ所あった。
確実なウラをとらなかったトバシ記事に対する見出しの不適切さと、
「だから、整理部がしっかりしなきゃいけない」という大整理部主義(←かな?)。
さらに、同じ配達エリア内でも「13版」「13版◯」の異なる新聞があり得るという特版体制( ←まぁ、この特版が作品の中で重要な意味を持つのだけど)。


「毎日新聞」と実名を出して、作品中1カ所だけ言及されているシーンがあった。
引用します。
(大スクープに興奮さめやらぬ中央新聞編集局に駆けつけた曾我元整理部長は、
不適切な記事の書き方に対し、
「こんな記事では、原発・電力側の反撃がある」
と編集局長、地方部長に向かって言った。)
「指紋は無いんです。昨日まではあったでしょうが、ウチの記事が出たけさから無くなりました」
曾我はこわい顔できっぱり断言した。
「そんなバカな」
「バカなことでも、現実はきっとそうなります。どうしてなるかは考えてみて下さい。
警察庁長官のポストは何のために政府与党が握っているのですか?
毎日新聞の沖縄密約漏洩事件のとき、西山記者の女関係を必要以上にあばいて騒ぎ立てた警視庁の役割をお忘れですか?
国家公安委員長のポストにいる閣僚は、今度の原発事件をポカンと見物していると思いますか?
通産大臣、科学技術庁長官はどうでしょう。その下にいる閣僚はどうするでしょう?
おわかりだと思いますがね」
「ふむ」
と大出編集局長は腕組みをした。
(以下、略)


1972(昭和47)年の密約漏洩事件。
長井さんは、あの騒乱のさなかにいらっしゃったのだ。



(´・_・`)

★新聞を鉛活字&活版で組んでいた頃(70)

2014年02月17日 | 新聞

【 2月11日付の続きです 】
雪の影響で、降版時間繰り上げが、とてもキツいねっ………ということは、さておき。

ついつい最近まで、新聞は鉛活字・活版で組んでいたのだよ(上の写真のようにね)────後世に書き遺しておこうかな、の第70回。

番外編「CTS始動・前夜編」として
「1990年代初頭、とある新聞社の製作局はこうして活版時代の幕を閉じた」
について、僕自身が忘れないうちに書いておきます、の Part 40。

【 CTS=Computerized Type-setting System( 新聞コンピューター組み版・編集 )。
1960~80年代、朝日新聞社、日本経済新聞社、日本IBMが主導・開発した。
日経東京本社は1978年にアネックスシステムを、朝日東京本社は1980年にネルソンシステムをそれぞれ全面稼動した。
その時つくられたソフトの一部は、パソコンの文字訂正などに転用されている

前回までのあらすじ
1990年代初頭、とある新聞社の、とある夜21:50過ぎ( →21時は夜だろっと突っ込まれましたが、分かりやすく、ということで)。
途中まで組んでいた地方版の一部が、試運転中CTSのシステムダウンで出力不能になり、
慌てた僕たち整理部&製作局は非常事態宣言。
急きょ、印画紙出力→見出しなど手貼り→スキャナー送信に切り替えて降版していたが……。

▼ 金銭が絡む広告部分の事故は絶対にできない

一度スキャナーイン→送信してしまった地方版の広告部分に「切り屑」がのっていたため、とりなおし。
金銭が絡むので、広告部分の事故は絶対にまずい!

ここで問題となるのが、印刷センター(サテライト印刷工場)に紙面が送信されてしまった後なので、
こちら本社サイドから
「いやぁ~、いま送信したばかりの紙面にゴミがのっちゃってぇ~。ごめんちゃい。
とりなおして再送信すっから、それ使ってねぇ~!」
なんて言いたいところだけど、印刷センターはたくさんの電送された紙面を建てページに沿って組み立てて印刷するのだから、
「ごめんちゃい m(_ _)m 」
では許されないし、大事故のもと。

▼ 欄外に「◯」入れた紙面を使ってくださいっ

例えば「23面」をとりなおしのとき、急ぎ口頭で、印刷センターデスクに
「23面とりなおし!」
とホットラインで連絡のうえ、製作局・整理部それぞれ担当者名を記した専用伝票を、印刷センターに緊急ファクスしないと、「言った・言わない」の事故につながる。
地方版の降版時間は過ぎており、ニュース面の降版作業が始まっているので、製作局と僕たち整理は、あたふたドタバタひぃひぃ再送信伝票を書いて、センターに送った。
「欄外に『◯』をつけた23面を使ってくださいっ」

ところで、なぜ「◯」なのだ?
「▲」「▼」「◎」「★」「☆」じゃダメなのか?
…………………長くなったので、続く。



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