降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★『怒り』を読んでいます。

2014年01月30日 | 新聞/小説

風邪症状でダウン中………今回はなかなか治りませんねぇ。
人込みを避けつつ、出社途中、書店に行ったら、読みたい本がズラリだった。

▽吉田修一さん『怒り』上下巻、中央公論新社=写真
各巻1,260円って、今どき安いのではないか。
房総、新宿、沖縄から同時進行で物語が始まる。各地に現れた「前歴不詳の男」とは何者なのか。
惨殺犯・山神一也は整形して、どこに消えたのか。
『悪人』超えの予感大だけど、いくらなんでも、まだ1月「2014年早くもベストワンの声」帯コピーは走り過ぎじゃないかしらん。

▽いしいしんじさん『京都ごはん日記』河出書房新社、1,942円
近く京都に行くので、読みたい一冊。
いしいさん的極私的京都ガイドブックかな。ほとんどの店が僕もよく行く店だから、いしいさんとどこかですれ違ったかも。

▽長井彬さん『原子炉の蟹』講談社文庫新装版、780円
なんと、超久しぶりの復刊。
数十年ぶりの再読。
長井さんは、元毎日新聞整理部出身だから、鉛活字で組んでいたころの、昭和の新聞社を活写している(ちなみに『アルキメデスは手を汚さない』小峰元さんは長井さんの整理部先輩)。

他にも、新潮文庫から佐々木譲さん『警官の条件』、北森鴻さん遺作『邪馬台』が出たから、風邪症状を治して読まないと! と思うけど、フラフラなんです。


(=゜ω゜)ノ

★新聞を鉛活字&活版で組んでいた頃(66)

2014年01月29日 | 新聞

【 1月22日付の続きです。写真は、本文と関係ありません。
インフルエンザでダウンしました。健康は原稿より大事です 】

ついつい最近まで、新聞は鉛活字・活版で組んでいたのだよ────後世に書き遺しておこうかな、の第66回。

番外編「CTS始動・前夜編」として
「1990年代初頭、とある新聞社の製作局はこうして活版時代の幕を閉じた」
について、僕自身が忘れないうちに書いておきます、の Part 36。

【 CTS=Computerized Type-setting System( 新聞コンピューター組み版・編集 )。
1960~80年代、朝日新聞社、日本経済新聞社、日本IBMが主導・開発した。
日経東京本社は1978年にアネックスシステムを、朝日東京本社は1980年にネルソンシステムをそれぞれ全面稼動した。
その時つくられたソフトの一部は、パソコンの文字訂正などに転用されている

前回までのあらすじ
1990年代初頭、とある夜21:50過ぎ( →21時は夜だろっと突っ込まれましたが、分かりやすく、ということで)。
途中まで組んでいた地方版の一部が、試運転中CTSのシステムダウンで出力不能になり、
慌てた僕たち整理部&製作局は非常事態宣言。
急きょ、印画紙出力→見出しなど手貼り→スキャナー送信に切り替えて降版することになり、CTS開発室、製作局、整理部は
「どーすんだ、どーすんだ、どーすんだ」
と大騒ぎだったが………。

▼ 局次長は平然と「何かあったのかね」────

我らが整理部長がT編集局次長に
「地方版印刷不能の非常事態だから、出稿時間を繰り上げてほしいっ」
と詰め寄ったところ
「んー、騒がしいが、何かあったのかね?」
ムッ。ムッ。
CTS開発室からも製作局からも緊急連絡があったはずなのに、まるで他人事【注・下段】でござる。

我らが整理部長は、こりゃ時間の無駄とばかりにクルリと背を向け、出稿デスクNさんのもとに向かった。
( ↑ 以前かきましたが、出稿部のみならず、新聞社全体の動きを見渡せるNさんは後に局長→もっと上(笑)に昇格するのであった)。

既に、非常事態を認識していたNデスクは
「分かっています。
ニュース面は活版組みだけど、地方版CTSがダウンなんですね。
地方部デスクを通じて各支局からの入稿を早めるように言ってありますから」
こういう非常事態に、作業処理能力が高いNデスクがいたので助かるのだが、
組み版・印刷・発送態勢に無関心派が意外と多いのだ、出稿部には(←そうではない社もありますよ、もちろん)。
────長くなったので、続く。
次回は、編集局出稿部からドタバタアタフタの整理部&製作局に戻ります。

【まるで他人事=まるでひとごと】
あくまで一般的に、です。
編集局整理部は、組み版・赤字処理など日常業務で製作局と関係が深く、
「△△ちゃん、小組み頼むねぇ~」
などと局員の名前も熟知しているが、
出稿部はさほど製作局と親密ではないのだった………初期CTSが始まった1990年代初頭は、ね。



(=゜ω゜)ノ

★五木寛之さん81歳を尊敬します。

2014年01月26日 | 新聞


熱はさほどないようだけど(36.5度)、ダルさ、空咳、痰がとてもキツくて、病院に行った。
医師「熱はアレなんで、インフルエンザではないと思いますが、薬・抗生剤をだしておきましょう」
待合室では、人生の先輩方が
ゴホッゴホッゴホッゴホッ
としているから、院内感染しちゃう。

突然だけど、五木寛之さん(81歳)。
最近は、さすがに老齢で左脚や腰が痛むとしばしば書いていらっしゃるが、
毎日毎日毎日毎日毎日、週5日必ず入稿している「流されゆく日々」(日刊ゲンダイ=写真)は凄いなぁ。

僕には出来ない。
新聞連載2本同時進行、新刊、各種インタビュー、全国講演行脚。
僕は、五木さんよりはるかに若年だけど、ここ数日の体調不良には勝てません……………ダウンしました。



(=゜ω゜)ノ

★誤字(赤字)見っけ。

2014年01月24日 | 新聞/小説

僕が校閲部にいた昭和の頃、刷りあがったばかりの大刷りゲラ【注・下段】をパッと見ただけで、記事を指し
「ここ直しておいて」
と指摘。
あまりの素早い読みなので、
「ど、ど、ど、どうして、パッと見ただけで『赤字』が分かるんですか?」
と、ド新人が畏れ多くもウン十年も仕事をされている伝説的校閲部長に尋ねたことがあった。
T校閲部長「うーん………赤字が呼んでいるとしか言いようがないなぁ」
赤・字・が・呼・ん・で・い・る────今の若い人風に言うなら、神・校閲部長か。

▽ 「DIME」3月号@19ページ=写真
伊集院静さんインタビューの中で
「これに何回もギャンブル資金の札束を入れて運んだもんだよ(笑)。
そうそう、靴も、競馬で買った帰りに買うといい。」
───「競馬で買った」は『勝った』ではないかしらん。

▽ 五木寛之さん『退屈のすすめ』KADOKAWA、編集・中経出版@68ページ
「時速にして約四・キロ、それを十時間、十二時間と続けなければならない。」
───「約四・ハキロ」の「ハ」はカタカナ(改行になっていたから見落としかも)。
漢数字『四・八キロ』に直したい。

▽ 五木寛之さん『旅のパンセ』ランティエ叢書①角川春樹事務所@著者近影
「五木寛之(1935~)奈良・斑鳩にて」
───巻末年表にも書いてあるとおり、五木さんは1932年生まれ。
照合しなかったのかしらん?(ただ、初版だから次版で直しているでしょう)

【 大刷りゲラ=おおずりげら 】
地紋見出し、写真、広告を取り込んだ新聞1ページ大のゲラ。
当時は活版なので、黒インクがベタベタのわら半紙。シャツはすぐ汚れた。
じゃあ「小刷りゲラ」はあるのか、と聞かれれば、記事1本を刷ったゲラ(モニター)を言うのかな。


(=゜ω゜)ノ

★またユーザー辞書が消えました(泣)

2014年01月23日 | 新聞/小説

【1月20日付の続きです。
写真は、本文と関係ありません 】

またまた、ユーザー辞書が消えましたぁ────。
去る20日、Appleのジーニアス・バーに出向いて直してもらった(←というか、ただ初期化しただけだけど)iPhone5s(au by KDDI)。
けさ、設定画面から再び消え、新規登録も出来ない状態に..........。

2日前ジーニアス・バーのスタッフは
「同じ不具合は、けっこう上がってきていますが、初期化しか今のところ………」
また、初期化すると一から設定し直さないといけないので、ほうっておこうかな、と。
それにしても、iPhone………(泣)




(=゜ω゜)ノ

★新聞を鉛活字&活版で組んでいた頃(65)

2014年01月22日 | 新聞

【 きのう1月21日付の続きです。
写真は、本文と関係ありません 】

ついつい最近まで、新聞は鉛活字・活版で組んでいたのだよ────後世に書き遺しておこうかな、の第65回。

番外編「CTS始動・前夜編」として
「1990年代初頭、とある新聞社の製作局はこうして活版時代の幕を閉じた」
について、僕自身が忘れないうちに書いておきます、の Part 35。

【 CTS=Computerized Type-setting System( 新聞コンピューター組み版・編集 )。
1960~80年代、朝日新聞社、日本経済新聞社、日本IBMが主導・開発した。
日経東京本社は1978年にアネックスシステムを、朝日東京本社は1980年にネルソンシステムをそれぞれ全面稼動した。
その時つくられたソフトの一部は、パソコンの文字訂正などに転用されている

▼ 出稿部と整理部には深くて暗い河がある(かもね)────

1990年代初頭、とある夜21:50過ぎ( →21時は夜だろっと突っ込まれましたが、分かりやすく、ということで)。
途中まで組んでいた地方版の一部が、試運転中CTSのシステムダウンで出力不能になり、
慌てた僕たち整理部&製作局は非常事態宣言。
急きょ、印画紙出力→見出しなど手貼り→スキャナー送信に切り替えて降版することになり、CTS開発室、製作局、整理部は
「どーすんだどーすんだどーすんだ」
と大騒ぎだったが………。
(以上が、前号までのあらすじ)

同夜21:10【 出稿部 】
静か。
カタカタカタカタカタカタとワープロを叩く音、パサパサとモニターをめくる音がしっかり聞こえ、共同通信ピーポもいつもどおり鳴り響いていた。
編集局長は、いつものように都内版の頃でないと戻ってこない【注・下段】
今は、T局次長がいるだけ。

数分前に、CTS開発室から
「CTSシステムダウン! 最悪、地方版白紙!」
という緊急連絡は各部局はもちろん、当然出稿部にも入っているはずだが、
製作局と怒声飛び交う僕たち整理部の騒然ぶりと比べ………温度が低そう。
同じ編集か(笑)。

今後の対応を考えるため、我らが整理部長が局次長にあたふた向かって言った。
「Tさーん、どうしますか? 復旧のメドが立たないよーなんで、出稿早められそーですか?」
ん?とした顔をあげ、老眼鏡を取りながらT局次長は言った。
「んー、何か騒がしいが、何かあったのかね」
────何かあったのかね? だ・と?
何かあったのかね? だ・と?
(続く)

【局長は戻ってこない=きょくちょうはもどってこない】
僕のボス(編集局長)に聞いたことがある。
「局長、よく早版の頃は外出されていましたよね。アレは………」
ボス「わはははは。よく見てるな。私も若い頃そうだったが、うるさそーなのが局内にいると、君たちもやりにくいだろう、仕事が。だから、最終版の頃に上がるようにしていたのだ。わはははは」
いい上司を持った、と思った。


(^o^)/

★新聞を鉛活字&活版で組んでいた頃(64)

2014年01月21日 | 新聞

【 1月15日付の続きです。
写真は、本文と関係ありません 】

ついつい最近まで、新聞は鉛活字・活版で組んでいたのだよ────後世に書き遺しておこうかな、の第64回。

番外編「CTS始動・前夜編」として
「1990年代初頭、とある新聞社の製作局はこうして活版時代の幕を閉じた」
について、僕自身が忘れないうちに書いておきます、の Part 34。


【 CTS=Computerized Type-setting System( 新聞コンピューター組み版・編集 )。
1960~80年代、朝日新聞社、日本経済新聞社、日本IBMが主導・開発した。
日経東京本社は1978年にアネックスシステムを、朝日東京本社は1980年にネルソンシステムをそれぞれ全面稼動した。
その時つくられたソフトの一部は、パソコンの文字訂正などに転用されている

▼ CTSダウンの非常事態。でも、われ関せずのセクションがあった────

1990年代初頭、とある夜21:50過ぎ( →21時は夜だろっと突っ込まれましたが、分かりやすく、ということで)。
途中まで組んでいた地方版の一部が、試運転中CTSのシステムダウンで出力不能になり、
慌てた僕たち整理部&製作局は非常事態宣言。
急きょ、印画紙出力→見出しなど手貼り→スキャナー送信に切り替えて降版することになった。
(以上が、前号までのあらすじ)
獅子てんやわんや&騒然とする整理部・製作局だが、とあるセクションだけ「われ関せず」状態だった。どこだ?
────それは、出稿部(推定、笑)。

時系列がこんがらがるけど、
同夜21:05時点の「CTSシステムダウン」発生時に、時計の針を戻してみると………。
21:05【製作局&整理部】
先行してCTS編集をしていた地方版で、全系統システムダウン発生。
数分後に、CTS開発室経由で整理部部長席に緊急電話。
整理部部長「な、なにぃ~? CTSがダウン! 編集できない? 降版できない?」
メーン整理デスク、サブデスクらが部長席に集まり、
「た、大変だぁ。どうすんですか。この時間だと、活版編集に切り替えられませんよぉ」
降版時間近くなので、製作局デスクやCTS開発室室長・同デスクらもドタバタあたふた編集局に上がってきて、騒然とするなか事態説明。

室長「復旧時間の見通しが立てられない。画像部のHCS【 注・下段】は動いているので、手貼りお願いできないか」
整理部長「活字組みのニュース面は無事だが、地方版がアウトかぁ………編集局長に連絡しよーにも外出中だしなぁ(不在で良かったぁ。ぎゃあぎゃあうるせーし)」
製作局デスク「印画紙出力しかないだろっ。印刷局にも連絡したのか? 急がないと。時間がないぞ」
整理デスク「うち(整理部)が連絡すんのか? 製作局の不具合だろっ」
製作局デスク「な、なにぃ~。CTS開発室の不具合だろうが!」
整理部部長「まあまあ、んなことやっている場合じゃない」
怒声飛び交う整理だったが………(続く)。

【HCS=えっちしーえす】
ヘッド・カット・システム。地紋つき見出しなどをつくるCTSに繋がるシステム。フォントは、中日新聞フォント(と聞いた)。



(^o^)/

★ユーザー辞書が消えましたけど。

2014年01月20日 | 新聞

【1月18日付の続きです】
iPhone5sに機種変更したとたん、ユーザー辞書が消え、設定画面の「あるところ」で必ず固まってしまう。
困ったちゃん。
だから、Appleジーニアスバーに予約して診てもらったら────。

「あー、ユーザー辞書消えですかぁ。これ、ウチのスタッフ間でも出ているんですよねぇ................うーん。
アスキーにもかなり同じ書き込みがあるようなんですが、対応策は今のところ初期化しかありません。
iCloudはお使いですよね。
出荷状態に、初期化していーですか?」
と、ジーニアスのスタッフ。
他のかたにも、同じ症状が出ているの?

初期化して、確かにユーザー辞書は復活したけど、
朝日新聞デジタル、産經新聞やラインなどのアプリを再び取り込まないと...........1日がかりで、もう大変でございました。



(u_u)

★あなたのiPhoneは正常でしょうか?

2014年01月18日 | 新聞

【写真は、本文と関係ありません】
メールを書いていたら、文字変換がおかしいので、出社途中の新宿ソフトバンクショップに立ち寄った。

「購入したばかりのiPhone5sなんですが、画面が固まったり、ユーザー辞書がなくなったり、で……」
ショップスタッフ「こちらでは対応できかねますので、新宿ビックロ地下にApple対応窓口がありますので、そちらに行ってください」
あれま……なんと、素っ気ない。

新宿ビックロ地下のApple対応窓口。
画面が固まったり、ユーザー辞書が消えたりします。何回か強制終了をしましたが、どうも不具合が直りません────と言ったら、スタッフはどこかのサイトを見ながら、
「うーむ。ユーザー辞書が消える、という声がけっこう書き込まれていますね」(→僕だけじゃないのだね、不具合)
スタッフ「では、サイトにあるいくつかの対処をやってみますね。あ、万が一、データが飛ぶ可能性も無きにしもあらずですので、ご了承くださいね」
はい、ご了承します。

で、スタッフはあっちこっちを操作。
「うーむ。端末は正常なのですが、こうなるとiOSソフト( iOS7.0.4)の、何らかのバグではないでしょうかねぇ……保証期間ですので、Appleジーニアスバーに行かれたほうがいいと存じます」
あれま……買ったばかりなのに(泣)。
ありがとうございました、ビックロスタッフ。

というわけで、Appleジーニアスバーを予約したのだが、すげぇ~予約が込んでいるのにビックロ……じゃなくて、ビックリ(笑)。
「設定」画面で固まっちゃうし、
「ユーザー辞書」が消えちゃうし
────直るのだろーか、僕のiPhoneは。



(≧∇≦)

★村上春樹さん新作、面白かった。

2014年01月17日 | 新聞/小説


村上春樹さん(65)の「文藝春秋」書き下ろし小説第3弾、2月号「女のいない男たち3/木野(きの )」を読んだ=写真
村上さん、若い頃はこうだったのかもね、と感じられる、ジャズバーが舞台の短編。

ストーリー。
40代の木野は、中堅スポーツ用品メーカーに勤めていたが、出張から帰宅したある夜、自宅マンション寝室で妻と後輩が性交をしているところを目撃した。
「木野は顔を伏せ、寝室のドアを閉め、一週間分の洗濯物が詰まった旅行バッグを肩にかけたまま家を出て、二度と戻らなかった。そして翌日、会社に退職届を出した。」
( ↑ 春樹さんらしい書き方と思いませんか=同誌には村上龍さん(61)も連載しているので『春樹さん』と書きました、笑)。
家を出た木野は、根津美術館の裏手でバーを始めたが、ある夜からカミタと名乗る無口な坊主頭の客が現れ................あとは言えない、ムニャムニャ。

なんとなくアノ小説を思い起こしてしまうが、
僕にはバーのディティール、酒の作り方、流れる音楽などの、春樹さんならではの凝った描写が面白かった。



(*^◯^*)