降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★読売だ!=「北海タイムス物語」を読む (147)

2016年07月31日 | 新聞

(7月28日付の続きです。写真は本文と関係ありません)

小説新潮に、増田俊也さん(50)の「北海タイムス物語」が連載されている。
僕は以前、北海タイムスと提携していた「日刊スポーツ北海道」に知人がいたので、札幌の北海タイムスに何回か行ったことがあった。
というわけで、増田さんの青春物語@新聞記者編ともいえる同小説に注目——の第147回。

【小説「北海タイムス物語」時代設定と、主な登場人物】
1990(平成2)年4月中旬。北海タイムス札幌本社ビル。
▼僕=北海タイムス新入社員・野々村巡洋(ののむら・じゅんよう)。東京出身、早大卒23歳。整理部勤務
▼萬田恭介(まんだ・きょうすけ)=北海タイムス編集局次長兼整理部長。青学英文科卒45歳
▼松田駿太(まつだ・しゅんた)=野々村と同期入社の整理部勤務。バイトとして校閲部にいたため社内事情に詳しい。名古屋出身の北大教養部中退24歳。小説作者・増田さんの投影キャラ

【 以下、小説新潮2016年2月号=連載⑤ 344〜345ページから 】
相手チームは胸に筆記体で〈YOMIURI〉❶と入っている揃い❷の濃紺ユニフォームを着、金属スパイクを履き、カラフルな今風のグローブをしていた。
一方のタイムス勢はユニフォームどころかジャージすら誰も着ていない。

(中略)
「多々良、てめえ遅えんだよ」
秋馬さんが血走った❷を向けた。
「まあまあ。あいかわらず空手家の先生は力入りすぎですなあ」
多々良とよばれた人が僕のほうを見て右手を差しだした。
「君が❷の整理の新人か。俺、昨日休みだったから今日が初顔合わせだ。よろしく」
慌ててその手を握り返すと、僕の肩をもう一方の手で鷲づかみ❷にし「頼むよ」と言ってニッと笑った。すごい握力だった。
松田さんがベンチに座りながら多々良さんの腰を叩いた。
「こいつは制作局❸の多々良純(たたら・ただし)っていうやつだ。高校時代、レスリングで活躍してた男だ」
今度はレスリングか……勘弁してほしい……。


❶〈YOMIURI〉
読売新聞北海道支社で北海道版を発行しはじめたのは、1959(昭和34)年5月。
小説の後述でもあるが、あとから進攻した新聞社が現地で編集・発行するためには、地元紙からの引き抜き(現地採用)が手っ取り早い。
〈給料アップだぞ!全国紙だぞ!新しい職場で社風をつくろうぞ!〉
道新や他ローカル紙のほか、北海タイムス編集局・印刷局が草刈り場になったのだろう。
*全国紙の北海道進攻は1959年
▽朝日新聞北海道支社で発行開始=1959(昭和34)年6月
▽毎日新聞発行開始=同年4月


❷揃い/眼/噂/鷲づかみ
いずれも漢字表にない字。
株式会社共同通信社発行「記者ハンドブック・新聞用字用語集第13版」では、
〈平仮名にしましょうね〉
としている。
整理部的にはそろそろ「揃い」あたりは使えるようにしてほしい。
*見出しに漢字でつかうこともできるけど
例えば、見出しで「勢揃い」をつかうには、本文で「勢揃(ぞろ)い」と送りルビを振ればいい。
校閲さんによっては処理してくれる人もいるのだけど、たいがい見出し「勢ぞろい」と1字増やしてしまうのだ。


❸制作局
編集局整理部にとって、制作局スタッフは時間内に同じ仕事をする仲間。
仲良くしていると、一旦緩急のとき、
整理部「悪いねっ、早めに処理して!」
制作局「仕方ねぇなぁ。そこ置いときな」
となることがないわけでもない。
仕事は、日々のコミュニケーションが大事なのでございます。

———というわけで、続く。

★村田沙耶香さんはローソンだ。

2016年07月30日 | 新聞/小説


初候補いきなり第155回芥川賞受賞、村田沙耶香さん(36)の『コンビニ人間』(文藝春秋、税別1,300円=写真)を読んだ。
わずか151ページ、アッという間。
こねくりまわした比喩や暗喩もなく、分かりやすい表現。お仕事小説としても面白かった。
なんて読みやすい芥川賞小説。

18年間同じ店舗に勤める、36歳独身女性・古倉恵子が主人公。
日々の食事もコンビニ食で完結、夢の中でもレジを打ち、「いらっしゃいませ!」と自分の声で真夜中に飛び起き、入店チャイムに安心感を覚える——全身コンビニ人間。コンビニ命。
多感なゆえ世間の〝普通〟になじめないが、排除されるのは御免と〝異物〟な自分を押し隠していたが——。


「そうそう、あれ、ほんと気持ち悪い。何なんだろうねー、意味不明。あんなの採用しないでくださいよ、店長」
「いや、人手不足だったからさー」
「あの年齢でコンビニバイトをクビになるって、終わってますよね。あのままのたれ死んでくれればいいのに!」
皆が笑い声をあげ、私も「そうですね!」と頷きながら、私が異物になったときはこうして排除されるんだな、と思った。
「また新しい人探さないとなー。募集かけるか」
こうして、また一つ、店の細胞が入れ替わっていく。
(本文69ページから)

作品に「!」(ビックリマーク・アマダレ)が多い、ということはさておき。
コンビニの舞台裏って、こうなってるのかぁーと、いろいろ知った。
▽朝はおにぎり、サンドイッチ、サラダ。
(一番売れるツナマヨネーズは2列、あまり売れないおかかは端っこ)
▽朝ピーク、昼ピーク、夜ピーク、クリンリネス、フェイスアップ、ヘコ缶、廃棄のこっそり食い——などという業界用語があるらしい。
▽バックルームには大画面で防犯カメラ映像を流し、客はもちろん店員の動きも監視。
▽天気予報はコンビニの重要な情報源。前日との温度差が売れ行きを左右する。
(レジ横にあるコロッケなどは「カウンターフーズ」と呼ぶらしい)
▽朝礼では接客用語を唱和するらしい。
「いらっしゃいませー!」
「かしこまりましたー!」
「ありがとうございますー!」
「私たちは、お客様に最高のサービスをお届けし、地域のお客様から愛され、選ばれるお店を目指していくことを誓いますー!」


小説の舞台になっている「スマイルマート」は、
▽からあげ棒
▽「お客様、年齢確認のタッチをお願いします」(←あのチェーンでは、たばこを買うとき必ず言われる)
▽「お客様、Suicaのタッチをお願いします」(←あのチェーンでは、電子マネーを使用するとき言われる)
——とあるから、村田沙耶香さんはローソン愛なのだ(←だからどーしたってレベル)。

★日経は1行ナン字?=「北海タイムス物語」を読む (146)

2016年07月28日 | 新聞

(7月26日付の続きです)

小説新潮に、増田俊也さん(50)の「北海タイムス物語」が連載されている。
僕は以前、北海タイムスと提携していた「日刊スポーツ北海道」に知人がいたので、札幌の北海タイムスに何回か行ったことがあった。
というわけで、増田さんの青春物語@新聞記者編ともいえる同小説に注目——の第146回。

【小説「北海タイムス物語」時代設定と、主な登場人物】
1990(平成2)年4月中旬。北海タイムス札幌本社ビル。
▼僕=北海タイムス新入社員・野々村巡洋(ののむら・じゅんよう)。東京出身、早大卒23歳。整理部勤務
▼萬田恭介(まんだ・きょうすけ)=北海タイムス編集局次長兼整理部長。青学英文科卒45歳
▼秋馬(あきば)=眼鏡をかけたガニ股の空手愛好家。北海タイムス整理部武闘派
▼松田駿太(まつだ・しゅんた)=野々村と同期入社の整理部勤務。バイトとして校閲部にいたため社内事情に詳しい。名古屋出身の北大教養部中退24歳。おそらく小説作者・増田さんの投影キャラ

【 以下、小説新潮2016年2月号=連載⑤ 344〜345ページから 】
「金巻さんは車オタクだから本当はいい車に乗りたいらしいんだけど、給料悪いから買えないでいるんだって。
あの人はオタクでいろんなことに詳しいんだ。
新聞オタク❶だしね。新聞のこと聞いてごらんよ。タイムスの歴史はもちろん、明治時代からのあらゆる新聞の歴史を話しだして止まらないから。
それから野球オタク。札幌北高時代に名キャッチャーだったらしい。いい選手だったって地方部のおじさんたちに聞いた❷よ。だから朝野球に真剣なんだよ、きっと」
そんなにすごい選手だったとはとても思えない現在の風情である。
「よし。行こうか」
松田さんがウィンドブレーカー❸を羽織り、「お、これを忘れちゃいけない」と流し台の上の一升瓶を汚い袋に入れた。
「酒なんか持っていくんですか」
「気付けだよ。眠気覚ましだ」
二人で部屋を出て鍵をかけた。松田さんは裸足にサンダルをつっかけてついてきた。
「おおい、遅いぞ」
金巻さんが車の窓から手を振っていた。
急いで後部座席に乗り込んだ。松田さんが続いて乗ってきた。



❶新聞オタク
降版後の深夜、各社整理部の集まりがあり、新聞クイズをやったことがあった(マジっす)。
【問題】
⑴現在、朝日新聞の1段字数は12字です。
では、日経新聞は何字でしょう?
日経さん以外のかたがお答えください。
⑵たまに、サンケイスポーツには珍しいフォントがつかわれます。
1段15字どりの、そのフォント……1文字分の天地は8Uですが、左右は何Uでしょうか?
産經さん以外のかたがお答えください。
⑶朝日新聞がCTSをスタートしたのは……1980年でした。
当時、フロント1面左下「天声人語」の上にベタ白ヌキ細Gで社告のようなコピーが展開されました。
そのキャッチコピーは
「目に◯◯◯い朝日文字」
でした。◯◯◯は何でしょう?
朝日さん以外のかたがお答えください。

【答え】
⑴11字です。(正解でーす!)
15段編成の、1段11字組みです。
他紙は12段編成12字、15段編成10字組みだけど、日経さんは情報量が命なのです。
⑵12Uです。(正解でーす!)
つまり天地1倍(88ミルス=8U)左右1.5倍(176ミルス=12U)の、強烈な扁平フォントです。
⑶目にやさしい朝日文字です。(正解でーす!)
CTS始動後から、朝日は文字サイズを拡大していきました。
CTS開発途上だった他社にとっては、とても大迷惑なコノヤロな文字拡大競争でした。

❷地方部のおじさんたちに聞いた
だいたい地方版整理や出稿部は、定年退職後や間際の方たちが(比較的)多いので、
松田くん(24)には
「地方部のおじさんたち」
という表現になったのだろう。
*整理部の〝整理〟がはじまった
関係ないけど、いよいよ地方版整理の外注化が本格的にはじまり、
整理部の整理なのだ。
校閲部、整理部に波及した外注化の波は、次はアノ部だ(たぶん)。


❸ウィンドブレーカー
新聞社のルールブック「記者ハンドブック・新聞用字用語集第13版」(株式会社共同通信社)の外来語の書き方では、

原音で「ウィ、ウェ、ウォ」の音は固定している語を中心に「ウイ、ウエ、ウオ」と書き、原音に近く書き表す場合は「ウィ、ウェ、ウォ」と書く。
「ウイ、ウエ、ウオと書く例」

ウイット、ウインドー(窓)、ウエーブ、ウオーター、ウオッチ、ハイウエー

——新聞表記では「ウインド」ブレーカーだけど、著作物なのでかまいません、このまま行ってください。

————というわけで、続く。

★勝手に紙面審査委員会。

2016年07月27日 | 新聞


間違いじゃない。
だけど、見出しにとるべきポイントはアッチだったのではないだろうか、と思った。
………勝手に、紙面審査委員会。


「トランプ節」復活
クリントン氏を批判/共和指名受諾
写真
都内13版は、
「トランプ節」復活
受諾演説「米国第一」を強調/共和党大会



分かりやすい。
リード(前文)も、それを出している。
だけど、ここはやはり日本に関係する環太平洋パートナーシップ協定(TPP)での言及がメーンでは、と思う。

トランプ氏、反TPP明言
「米国第一」国益を優先/共和受諾演説


現実味を帯びてきたのでTPPや基地問題、日本とこうなるの方がポイントでは。
「トランプ節」は中面の見出しぐらいじゃなかったろうか。

★不快用語に注意=「北海タイムス物語」を読む (145)

2016年07月26日 | 新聞

(7月24日付の続きです。写真は、本文と直接関係ありません)

小説新潮に、増田俊也さん(50)の「北海タイムス物語」が連載されている。
僕は以前、北海タイムスと提携していた「日刊スポーツ北海道」に知人がいたので、札幌の北海タイムスに何回か行ったことがあった。
というわけで、増田さんの青春物語@新聞記者編ともいえる同小説に注目——の第145回。

【小説「北海タイムス物語」時代設定と、主な登場人物】
1990(平成2)年4月中旬。北海タイムス札幌本社ビル。
▼僕=北海タイムス新入社員・野々村巡洋(ののむら・じゅんよう)。東京出身、早大卒23歳。整理部勤務
▼萬田恭介(まんだ・きょうすけ)=北海タイムス編集局次長兼整理部長。青学英文科卒45歳
▼秋馬(あきば)=眼鏡をかけたガニ股の空手愛好家。北海タイムス整理部武闘派
▼松田駿太(まつだ・しゅんた)=野々村と同期入社の整理部勤務。バイトとして校閲部にいたため社内事情に詳しい。名古屋出身の北大教養部中退24歳。おそらく小説作者・増田さんの投影キャラ

【 以下、小説新潮2016年2月号=連載⑤ 343〜344ページから 】
金巻デスクが車を路肩に寄せていく。自分の車がみすぼらしくて痛々しいことは棚に上げていた。車を停め、アイドリングさせながら振り向いた。
「よし。野々村、急いで松田を呼んでこい。エンジン止めちまうと、また動かなくなっちまう。一号室だ」
「はい」
走り出て、軒下の残雪を踏みながら建て付けの悪い引き戸をガラガラと開けた。
右側には蚕棚のような木製靴箱が並んでおり、その一つひとつにいろんな新聞が差さっている。
一号室の下駄箱には北海タイムスが差してあった❶。

(中略)
松田さんは片隅に転がる衣服の山からジーンズやシャツを選んで着替えはじめた。そのなかには土方仕事❷に着ているとわかる泥だらけの作業ズボンなどもあった。
壁に柔道衣を着た男たちが並ぶ写真パネルが飾られている。
道衣の胸には〈北大〉と大きな刺繍が入っていた。


❶北海タイムスが差してあった
松田くんは自分が勤める社の新聞を定期購読しているようだ(当たり前だけど)。
えらい、えらい。
新聞社勤務者が自紙を販売店を通じて定期購読する場合、下記の2つがある。

①購読料は社が全額負担
月々の購読料は購読者が販売店におのおの支払うが、その分は社が給与に補填してくれる。福利厚生費扱いか。
例えば、新聞社に社員が 500人いると、単純計算で 500部も部数が増えた計算。
販売店も潤う。
でも、なかには朝夕刊セットなのに朝刊のみで、社の購読料をチョロまかす不届き者が少なからずいる。天は見ているよ。

②購読料は個人負担
当時の北海タイムスの規模を考えると、松田くんは自払いかもしれない。
新聞社勤務者は(だいたい)2〜3紙とっているから、かなりキツい。
新聞代だけで、月10,000円以上かかってしまう。
編集幹部だと自紙のほか他紙数紙、系列スポーツ紙までとっている。
だから、早朝から他紙をチェックしているためか、午前6時ごろ電話がかかってきて
「あれ、見たか?」
「あれ、扱いが小さすぎないか?」
あぁ、うるさい……ではなく、仕事熱心なのだ。

❷土方仕事
読みすすんできた校閲部が「ヒィッ!」と声をあげる(かもしれない)ところ。

どかた・どこう
(差別語、不快用語などで言い換えるもの)→建設作業員・作業員

「記者ハンドブック・新聞用字用語集第13版」でも、差別語・不快用語に関しては7ページにわたって注意を喚起している。
職業
特定の職業(職種)を見下したような表現は使わない。
生活に苦労したことも「◯◯までして」と書くのは当該職業の軽視だ。

「誤りやすい語句」書き換え集(例えば「明るみになる」→明るみに出る、明らかになる)と合わせ、暇なとき同項を読むととても勉強になる。うんうん。
言葉の重みをあらためて感じる。

————というわけで、続く。

★宮部みゆきさんは別格なのだ。

2016年07月25日 | 新聞

(写真はイメージです)

伊豆大島近海で有感地震が多発している。
やべぇ、身軽になろーと、読み終えた文庫をブックオフに持っていった。
宮部みゆきさん(55)の本は、本屋大賞受賞本より「高価買い取り」だった。
*ブックオフの買い取り価格
地域や店舗の特性によって多少の差がある、と聞きました。
「カバーに汚れがない、きれいな本が一番ですね」
「ページの折れ、書き込みがあると、買い取りをお断りすることがあります」
と店頭スタッフは言っていました。


▽文春文庫『ペテロの葬列・上下巻』宮部みゆきさん、税別 690円
➡︎ブックオフ買い取り価格= 200円
伏線が下巻で一気に収斂する——安定の、社会派宮部ミステリー。
杉村三郎シリーズ第4弾は『希望荘』(小学館)。離婚して私立探偵になった杉村くんの4つの事件を描いた短編集。宮部さんは長編のほうがはるかにいいと感じた。

ブックオフの店内ポスターに
「買い取り強化中!」
と告示してある売れ筋作家は、宮部みゆきさんと堂場瞬一さん(53)。
関係ないけど、あるシンポジウムで作家・川本三郎さん(72)が、
「たまに会合でお会いしますが、宮部さんは本当にいい人。いつもニコニコされて話しかけてくれます。締め切りも守られ、編集者受けもいいと聞きました」
と言っていた。
ストーリーテラーに加え、人柄の良さが作品に出て宮部さん、ブックオフ受けもいい。

▽新潮文庫『村上海賊の娘・1〜2巻』和田竜さん(46)、税別 590円
➡︎ブックオフ買い取り価格= 60円
信長vs本願寺なので読むぞ!と意気込んだけど、僕は時代ものはやっぱり苦手……。
2014年第35回吉川英治文学新人賞&第11回本屋大賞受賞の超話題作。
待望の文庫も、意外な低評価にびっくり。
単行本の在庫が108円でたくさん残っていたから、こんなもん?

▽新書サイズ『不運と思うな。大人の流儀6/ a genuine way of life』伊集院静さん(66)、税別 926円
➡︎ブックオフ買い取り価格= 80円
品性と誠実さこそ、大人として大事なのだ——とする内容は、前5作と変わらない。
毎年末に出ていたのに、夏に発売されたからびっくりした。
「1,000円本」の先駆けとなる、この本の装丁が僕はとても好きなのだ(ジャケ買いかぁ)。


———ブックオフの文庫買い取り、推定的結論。
1年以内〜新刊文庫の、ブックオフ買い取り額は平均 60円。
時代遅れハウツーものや古〜い硬派文庫だと、5円から良くて20円ぐらい。
文庫棚や新書棚に並ぶ膨大な在庫を見れば、納得してしまった。

★整理部は少数精鋭だ=「北海タイムス物語」を読む(144)

2016年07月24日 | 新聞

(7月22日付の続きです。写真は、本文と関係ありません。
五時はコワい……じゃなくて誤字は怖い、のイメージです)

小説新潮に、増田俊也さん(50)の「北海タイムス物語」が連載されている。
僕は以前、北海タイムスと提携していた「日刊スポーツ北海道」に知人がいたので、札幌の北海タイムスに何回か行ったことがあった。
というわけで、増田さんの青春物語@新聞記者編ともいえる同小説に注目——の第144回。

*増田俊也(ますだ・としなり)さん
1965年=愛知県生まれ。
1989年=北大中退後、北海タイムス入社。
1992年=中日新聞に転社、中日スポーツ報道部記者。
2006年=『シャトゥーン・ヒグマの森』で「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞受賞。
2012年=『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったか』(新潮文庫)で大宅壮一賞、新潮ドキュメント賞をダブル受賞。
ほかに、自伝的青春小説『七帝柔道記』(角川書店)など。
*北海タイムス(ほっかいタイムス)
1901年=北海タイムス創刊。
1942年=戦時統合で北海道新聞に統合。
1946年=道新僚紙として「夕刊北海タイムス」再刊。
1949年=「北海タイムス」に改題。
1962年=東京の日刊スポーツ新聞社と提携、日刊スポーツ北海道版を発行。
1998年=9月1日自己破産、2日廃刊。


【小説「北海タイムス物語」時代設定と、主な登場人物】
1990(平成2)年4月中旬。北海タイムス札幌本社ビル。
▼僕=北海タイムス新入社員・野々村巡洋(ののむら・じゅんよう)。東京出身、早大卒23歳。整理部勤務
▼萬田恭介(まんだ・きょうすけ)=北海タイムス編集局次長兼整理部長。青学英文科卒45歳
▼秋馬(あきば)=眼鏡をかけたガニ股、空手愛好家。北海タイムス整理部の武闘派
▼松田駿太(まつだ・しゅんた)=野々村と同期入社の整理部勤務。バイトとして校閲部にいたため社内事情に詳しい。名古屋出身の北大教養部中退24歳。
おそらく小説作者・増田さんの投影キャラ

【 以下、小説新潮2016年2月号=連載⑤ 344〜345ページから 】
ベンチ脇に段ボールを置いて、グローブを配った。どのグローブも一昔前の野暮ったい❶デザインで、色は剥げ、革が綻び❶、くたくたになっている。
相手チームは胸に筆記体で〈YOMIURI 〉と入っている揃い❶の濃紺ユニフォーム❷を着、金属スパイクを履き、カラフルな今風のグローブをしていた。
一方のタイムス勢はユニフォームどころかジャージすら誰も着ていない。スーツ姿は僕ひとりだが、ジーンズにダウンジャケットを着ていたり、チノパンに汚いジャケットを羽織っていたり、てんでばらばら好き放題な格好をしている。
金巻さんがみんなをぐるりと見た。
「こいつが昨日うちに配属された野々村巡洋君だ。初めての人間もいるな。よろしく頼むよ。
お、今日はうちの精鋭デスクが全員揃っているか。野々村、紹介しとくよ。
この顔中髭だらけで眼鏡かけてるのが田貫、こっちの体が一番でかくて田淵幸一に似てるのが堂島、そんでこのムーミンみたいに太ってほんわかしてるのが喜多村。
この三人に俺を足して四人がデスクだ。うちの整理部はデスク四人態勢という他社じゃありえない少人数でまわしている❸のだ」
一人紹介されるたびに、部員たちが小さく口笛を鳴らしたり茶化したりした。
「空手家の先生! 空手家の先生! お揃いですなあ!」
大声がした。振り向くと、ボンネットも屋根も錆だらけのボロボロの軽自動車から、帽子を斜めにかぶった人が降りるところだった。


❶野暮ったい/綻び/揃い
校閲部の要確認センサーが鳴りひびくところ(→もちろん、鳴りひびかず素通りする校閲マンもいます)。
新聞社のルールブック「記者ハンドブック・新聞用字用語集第13版」(株式会社共同通信社)ではそれぞれ、

▽やぼ(野暮)
→やぼ。やぼったい、やぼ用
▽ほころびる(綻びる=漢字表にない音訓)
→ほころびる
▽そろう(揃う=漢字表にない字)
→そろう

——平仮名にしましょうとしているけど、著作物なのでかまいません、このまま行ってください(って校閲さんは言うよね)。
*新聞社のルールブック
多くの新聞社は共同ハンドブックに準拠しているけど、独自の用語集・用語の手引など発行している社もある。
その社だけでつかう用語、外来語カタカナ表記、訂正とおわびフォームなど、共同版を発展させたもの。


❷ユニフォーム
この「ユニフォーム」も共同ハンドブックでは
「ユニホーム」
表記としましょう、としている。
校閲部の大大先輩は
「この『ユニホーム』は、昔は版で変わることがあったのじゃ。とくに、運動面が面倒じゃったのぅ」
と言っていた。
整理部は6文字より5文字のほうがいいから「ホーム」支持。

❸うちの整理部は……少人数でまわしている
整理部がよく言うところの「うちは少数精鋭主義」。
北海タイムスの整理部の陣容(人員体制)が、連載5回目まででは不明。
地域版整理は、お元気な定年退職OBらが担当するとしても、本版整理は14人ぐらいか。
日によっては整理デスクが面担(めんたん=紙面編集担当)に入ることもあったと思う。

————というわけで、続く。

★ゴチックは張り切っているのだ=「北海タイムス物語」を読む(143)

2016年07月22日 | 新聞

(7月21日付の続きです。写真は本文と直接関係ありません)

小説新潮に、増田俊也さん(50)の「北海タイムス物語」が連載されている。
僕は以前、北海タイムスと提携していた「日刊スポーツ北海道」に知人がいたので、札幌の北海タイムスに何回か行ったことがあった。
というわけで、増田さんの青春物語@新聞記者編ともいえる同小説に注目——の第143回。

【小説「北海タイムス物語」時代設定と、主な登場人物】
1990(平成2)年4月中旬。北海タイムス札幌本社ビル。
▼僕=北海タイムス新入社員・野々村巡洋(ののむら・じゅんよう)。東京出身、早大卒23歳。整理部勤務
▼萬田恭介(まんだ・きょうすけ)=北海タイムス編集局次長兼整理部長。青学英文科卒45歳
▼秋馬(あきば)=眼鏡をかけたガニ股。空手を愛する北海タイムス整理部武闘派
▼松田駿太(まつだ・しゅんた)=野々村と同期入社の整理部勤務。バイトとして校閲部にいたため社内事情に詳しい。名古屋出身の北大教養部中退24歳

【 以下、小説新潮2016年2月号=連載⑤ 342ページから 】
早朝の札幌は凍えるほど寒かった。
玄関前に見たことがないような古い小型セダン❶が停まっている。
金巻さんがぐふふと笑いながら
開幕ダッシュだ、五倍ゴチ。古豪復活、脇見出し。タイムス十四年ぶりの胴上げだ。急げよ急げ、六倍ゴチ❸」
とわけのわからないことを言いながら運転席に乗り込んだ。
パタンと安っぽい音でドアが閉められた。
続いて秋馬さんが助手席に乗り込み、パタンと貧しそうな音をたててドアを閉めた。
僕は溜息をつきながら後部ドアを引いた。しかし、びくとも動かない。
「どうした。また開かないか」
金巻さんが運転席を出て走ってきた。
「ゴムが劣化してるから一週間ぐらいで貼り付いちまうんだ」とドアをガンガン蹴ってから引くとキィ〜という音がして開いた。
「ほら、乗れ。急ぐのだ❷」
運転席へ走っていって乗り込んだ。
「優勝へ向けて出発なのだ❷」
金巻さんが拳を握って小さくガッツポーズし、キーを回した。



❶見たことがないような古い小型セダン
野々村くんが見たことがない乗用車は、22年前の型落ちカローラ。
「ガンガンと蹴ってから」などの、クルマの貧相さを示す記述から、札幌を舞台にした映画「探偵はバーにいる」(2011年・東映配給)の1シーンを想起させる。

❷ぐふふと笑いながら/急ぐのだ/出発なのだ
「ぐふふ」に、初期の椎名誠さん(72)文体の影響が見られる(1990年『むははは日記』)のは気のせいか。
「ナニナニなのだ」も椎名さん風(→きのう7月21日付参照)。

❸「開幕ダッシュ……六倍ゴチ
発言者の金巻さんは、北海タイムス整理部デスク。
6社対抗整理部朝野球がうれしいのか、言葉が「見出し」で出たうえに「サイズ指定」までしている。

5倍G「開幕ダッシュだ」
脇見出し「古豪復活」
「タイムス14年ぶりの胴上げだ」
6倍G「急げよ急げ」

——うーむ。アドリブとはいえ、よく分からない。
5倍と6倍がつかわれているから、3段見出し以上の大きさなのだろう。

5倍M「タイムスV奪回だ」
1.8Gかぶせ「6 社 対 抗(改行)整理部野球」
3.5M「開幕ダッシュ狙う!」
——では、どうですか。

さらに、金巻デスクのアドリブ見出しは全部ゴチック。
意気込みと興奮を表しているのだけど、ドキッとするほどゴテゴテしいのではないだろうか——あ、小説に入れ込みすぎた。
*全部ゴチック体見出し
整理ど新人のとき、小見出しから段見出しまで全部ゴチックにしたら、大ゲラを見たデスクがスッ飛んできて
「あのねぇ、読者に『読んでくれ!』って、キミが張り切っているのは分かるんだけどねぇ、3倍以上のゴチック見出しはキツいから明朝体にしてくれないか」
と言われた。
言い方がソフトなデスクで良かった。

*倍(ばい)とG(ジー)
倍は新聞編集でつかう単位。
1行15字組み時代の活字1文字の天地サイズ。
現在でも会社人事や異動欄でつかわれている(天地88,左右 110ミルス)。
▽1倍=88ミルス
1980年代以降のコンピューター編集(新聞CTS)では 11ミルスを1U(ユー=ユニットの略)としたから、
▽1倍=88ミルス=8U

「G」はゴチック。明朝体は「M」指定。
編集端末の初期設定で異なるけど、指定しないと自動的に明朝体。


————というわけで、続く。

★整理部野球大会なのだ=「北海タイムス物語」を読む(142)

2016年07月21日 | 新聞

(7月18日付の続きです。写真は、本文と直接関係ありません)

小説新潮に、増田俊也さん(50)の「北海タイムス物語」が連載されている。
僕は以前、北海タイムスと提携していた「日刊スポーツ北海道」に知人がいたので、札幌の北海タイムスに何回か行ったことがあった。
というわけで、増田さんの青春物語@新聞記者編ともいえる同小説に注目——の第142回。

【小説「北海タイムス物語」時代設定と、主な登場人物】
1990(平成2)年4月中旬。北海タイムス札幌本社ビル。
▼僕=北海タイムス新入社員・野々村巡洋(ののむら・じゅんよう)。東京出身、早大卒23歳。整理部勤務
▼萬田恭介(まんだ・きょうすけ)=北海タイムス編集局次長兼整理部長。青学英文科卒45歳
▼秋馬(あきば)=眼鏡をかけたガニ股男。空手を愛する北海タイムス整理部の武闘派


【 以下、小説新潮2016年2月号=連載⑤ 341〜342ページから 】
秋馬さんが険しい顔でノブを握っていた。
「てめえ、なんで早く開けねえんだ」
横から誰かの手が伸びてきて、ドアが大きく開かれた。
もじゃ頭の金巻デスクが笑顔で立っていた。
「おはよう。六社対抗❶朝野球の開幕戦なのだ❷」
そういえば昨日言っていた。
「あ、僕は……」
「若いやつは全員参加なのだ❷」
「でも……」
秋馬さんが腕を引っ張った。

(中略)
これでは拉致だ。
整理の仕事だけでもうんざりしてるのに、どうして遊びにまで付き合わなければならないのか。
タイムスの人たちに巻き込まれ、最悪のシナリオに引きずり込まれていく……。
早朝の札幌は凍えるほど寒かった。玄関前に見たことがないような古い小型セダンが停まっている❸。
金巻さんがぐふふと笑いながら
「開幕ダッシュだ、五倍ゴチ。
古豪復活、脇見出し。
タイムス十四年ぶりの胴上げだ。急げよ急げ、六倍ゴチ」
とわけのわからないことを言いながら運転席に乗り込んだ。パタンと安っぽい音でドアが閉められた。



❶六社対抗
在札幌の日刊6紙の整理部対抗野球リーグ。
▽北海道新聞
▽道新スポーツ
▽北海タイムス
▽朝日新聞
▽読売新聞
▽毎日新聞
……「6紙」?「6社」? 道新と道スポは別会社だったのかしらん。

❷開幕戦なのだ/全員参加なのだ
「ナニナニなのだ」。
僕は椎名誠さん(72)が初期に書いていた昭和軽薄体から来ていると思ったけど、やはり「天才バカボン」のパパからなのだろーか、なのだ。
*椎名誠さんの「のだ」
『哀愁の街に霧が降るのだ』『かつをぶしの時代なのだ』(1981年)——このころけっこう流行ったのだ。

❸停まっている
校閲部の要確認センサーが鳴るところ。
新聞社のルールブック「記者ハンドブック・新聞用字用語集第13版」では〈停〉は漢字表にない音訓。

とまる・とめる
=停→止(一般用語。停止)足止め、息を止める、射止める、受け止める…………

漢字「止」か、平仮名にしましょう、としているけど、著作物なのでこのまま行ってください。

————というわけで、続く。

★春樹さんは角川文庫より面白い❷(かも)

2016年07月20日 | 新聞

(きのう7月19日付の続きです)

田中角栄ブームの次は、角川春樹さん(74)が来る(たぶん)。
「本の雑誌」2015年10月号では、春樹さんが出版界のレジェンドとして再評価されているが……。


*実弟・歴彦さん角川追放の翌年、兄・春樹さん逮捕——がムニャムニャだ
中川右介さんの『角川映画1976-1986増補版』(角川文庫、角川映画創立40周年記念)でも書かれている。
角川春樹さんと、1歳違いの実弟・歴彦さんとの確執は相当なものだったようだ。

1992年9月14日、副社長だった歴彦さんが辞任という形で社を追われ、株式会社メディアワークスを設立する。
その1年後93年8月28日、今度は春樹さんが麻薬及び向精神薬取締法違反などの容疑で千葉県警に逮捕される。
そして半月後9月15日、歴彦さんは顧問として角川書店に劇的復帰、同社社長に就任する。
——歴彦さん追放の翌年、春樹さん逮捕。その半月後、歴彦さん角川奪首!
わずか1年の攻守入り乱れる天下取り合戦は、角川文庫よりも面白い(かも)。


春樹さんは自著『わが闘争』(写真)で記している。
「弟から仕掛けてきた追放劇」
弟との軋轢が表面化したのは、一九九二(平成四)年である。この年の九月、おれは弟の歴彦を角川書店から追い出した。
なぜ、そうしたのか。それ以前のことであるが、弟は、おれを追い出すということを取次会社や書店に言っていたのだ。
歴彦が取締役会で反乱を起こして、おれを追放しようとしているという話が伝わってきた。(中略)
歴彦の追放劇に結びついた原因は何かと問われるならば、歴彦が脚光を浴びている兄に取って代わって権力を握りたいと、おれを引きずり下ろそうとしたことが発端だとおれは思っている。
結果的には、それを事前に知ったおれが、逆に彼を追放したわけである。(後略)
(イースト・プレス版『わが闘争/不良青年は世界を目指す』109〜111ページから)

そして、次章のタイトルが凄い。
「角川書店を自分のものにした歴彦」
彼(歴彦氏)が進める事業には斬新さを感じさせるものはない。それまでおれがつくった映画の権利はすべて角川書店が持っている。
映画を含めておれが築き上げてきた角川書店の資産を維持しているだけで、彼がおれと違うことを唯一やったのは、角川ホールディングスという持ち株会社をつくったことだけである。(後略)


——(歴彦さんの、先を見据えた持ち株会社移行というビジネス才覚も凄いと思うけど)とにかく、春樹さんは怒り心頭、恨み骨髄である。
偏らず、中川本と春樹本の合わせ読みが面白い。

*角川兄弟の有為転変がムニャムニャだ
「読んでから観るか、観てから読むか」
「母さん、僕のあの帽子、どうしたのでしょうね」(映画「人間の証明」)
「私は、この小説だけは映画にしたくなかった」(映画「悪魔が来りて笛を吹く」)
などの宣伝コピーを自らつくり、映画と本、音楽をリンクさせてのメディアミックスで角川書店を急成長させた春樹さん。
ところが、1993年の逮捕後は一変してしまう……春樹さんのイケイケ黄金期は、
「1967〜(ピーク1983年)〜1992年」
だったのではないだろうか。

対して、弟・歴彦さん。
1993年、角川書店復帰後は業績が一時期低迷したが、
(「書店の苦しかった時期を救ってくださったのは、作家の五木寛之さんだった。『生きるヒント』シリーズ文庫化を許諾していただけた」と新聞で話していた)
角川書店ホールディングス設立後は社長兼CEO就任、株式会社KADOKAWA取締役会長、内閣官房知的財産戦略本部本部員など務めている。
勝てば官軍なり。
*有為転変(ういてんぺん)
昨日の繁華は何処どこへやら、有為転変の世の中、哀れと云うもなかなかおろかなり。(安部公房「榎本武揚」から)


——破天荒で規格外な角川春樹さんが上司だったら部下は大変な目に遭いそうだし、敵に回したら怖いし、いずれにしても遠くから見ているのが一番いいようだ。
今度は、歴彦さん側の言を読みたい。
(ちなみに昨年、春樹さんに会合でお会いしたときは、
「フォッ、フォッ、フォッ」
と笑っていらっしゃった。
だいぶ角が取れて丸くなられていらっしゃるようだけど、目は笑っていなかった)