降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★「北海タイムス物語」を読む ❷

2015年11月24日 | 新聞

( きのう11月23日付の続きです。写真は本文と関係ありません )

小説新潮10月号から、増田俊也さん(50)の「北海タイムス物語」が連載されていた。
僕は以前、北海タイムスと提携していた「日刊スポーツ北海道」に知人デスクがいたので、札幌の北海タイムスに何回か行ったことがあった。
というわけで、増田さんの青春物語社会人編ともいえる同小説に注目してみた。


( 小説新潮10月号 243~244ページから )
「何キロって、もう何キロもないですよ。ほら、向こうの方にもう建物見えてるよ」
「どれ? どれですか?」
「あれです。あの背の高い建物。八階建てか九階建ての背の高い建物が向こうに小っちゃく見えるでしょう、一、二、三、四、四つめの交差点の左角に。三〇〇メートルくらい先。あれが北海タイムス❶」
運転手が指さした。
「あの白い建物ですか?」

( 中略 )
僕はそのまま雪が解けた❷歩道へ飛んで、会社へ走った。
耳が冷えて氷のようになっていく。道行く人たちがみんなこちらを見ていた。東京を出るときに整えてきた髪が乱れていく。
だからこんな街に来たくなかった❸んだ——。
建物へ近づくにつれ、入社試験のときのことを思いだした。入社式会場は七階だ。



❶八階建て……北海タイムス
知人デスクがいた日刊スポーツ北海道に、どうやって行ったのか忘れちった。8、9階建てとあるから、当時としては高層ビル。
北海タイムス社屋の一室に日刊スポーツ北海道の編集室があり、
「打倒!道新スポーツ!」
「キメ細かく大胆な紙面レイアウト!」
ドーンと張り紙があった。北の地でもニッカンイズムである。
築地の東京本社からニッカンを丸ごとファクシミリ受信し、北海道版を加え、地下のタイムス輪転で刷っていた(記憶がある)。
請け負い(=賃刷り)で日刊紙2紙を刷っていたのだから、タイムス、ニッカン両紙そんなに部数は多くなかったのではないか(←失礼だね、きみ!)。

❷雪が解けた
新聞用字用語集「記者ハンドブック」では、
雪解け、雪・氷を解かす[ 自然現象 ]
だから、さすが新聞社出身だなぁ、と思っちゃう(←何が言いたい?)。

❸だからこんな街に来たくなかった
「こんな街」は札幌。
小説の野々村青年は、早稲田大学教育学部出身に設定されていて、新聞社だけ21社受けていた。後述に
「北海タイムスに来たということは、第一志望第二志望などに連敗したことを意味する」
とあった。…………う~む。続く。