降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★ジョナサンに完成版で再び❶

2014年06月29日 | 新聞/小説

「これを読んだか? この本をあげるから読んでみたらいい」
と言って、『かもめのジョナサン』(リチャード・バック、訳・五木寛之、新潮社)をくれたのは、「先生」(←おっ、文豪の『こころ』みたいじゃん、笑)だった。

ときは、昭和。
放課後の、都立高校美術室。
「先生」は忌野清志郎さん、三浦友和さんらを教えられていた人。
同先輩たちが卒業されて十数年たっていた。
僕は美術部だったので、窓から川が見える美術室によくお邪魔をしていた。
先生(←おっ、ますます『こころ』みたい)は煙草をくゆらせながら、五木寛之さん訳の紺色カバーの単行本を、なぜか僕にくれた(当時は、教員室で喫煙できていたのだ!)。

当時、訳した五木さんは42歳。押しも押されもせぬ流行作家。
「先生」は、よく小説新潮や小説現代を持っていらっしゃったから、五木さんの読者だったのかもしれない。
あれから40年………五木さんは今年82歳になる。
再び創訳として
『かもめのジョナサン・完成版』(新潮社、本体1,300円)=写真右
を手にできるとは、僕は思わなかった。
新刊リストで発売日をマークしていたから、書店に買いに行った。

朝日新聞6月27日付に記事が出たので、平積みコーナーをみたが、なかった。
「あの~、けさの朝日に出ていた五木寛之さんの新刊『かもめのジョナサン完成版』は、もう入荷していますか?」
書店スタッフに尋ねたら、
「あ、あ、アレですね……うわっ、すみません、海外小説コーナーに置いています」
なるほど、海外小説コーナーかあ!

昔、先生(←繰り返すけど『こころ』みたいじゃん)が推した五木さんの最新刊を買った僕は、
159ページのあとがき的「ゾーンからのメッセージ」
からさっそく読み始めた。
なんと、あの巨大編集者がタッチしていたのかぁ!
……………長くなったので続く。