降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★活版では、こう組んだ❼

2014年06月13日 | 新聞

【 6月11日付の続きです。写真は、本文と関係ありません 】
新聞社で1990年代初頭まで行われていた、鉛活字を使った活版組み版( →いわゆる「ホット」。対して、コンピューター組み版編集CTSを「コールド」と呼んだ )。
活版大組みで、僕たち整理部はこう組んだ、忘れないうちに書き遺しておこう、の第7回。
◆お断り=新聞社によって、作業の名称やシステムは異なります。

❼降版時間まで16分@とある新聞社製作局大組み台=紙面イメージは、6月11日付を参照してくださいね
僕=整理部員、
大組み・池さん=製作局活版部大組み工員。元経済専門紙活版部にいて、最後のご奉公と僕の社に転社された組み版職人。ド新人整理マンの僕に、組み方のポイントなど教えてくれた

「池さん、アタマ記事、ココから中段ケイありでブン流してください」と棒ゲラ(*1)を手渡す。
池さん「ん。下でタタム(*2)のかい」
「ん~、まあ、様子見で、ということで。足りなきゃ、アシ記事(*3)もあるから大丈夫だと思いますよ」と、チラリ吊るし大時計を見る。

池さん「ん~、降ろしまで10分ぐらいか......間に合いそうだな、この版は。
次版は、ドンガラドンガラ(事件など新しい記事が入り、全面組み替え)になりそうかい?」
「ん~、今のところは聞いてないすっね。手直しぐらいじゃないすか.......共同ピーポも静かだし」

製作局でも、共同通信速報(*4)は流れているが、しばらくチャイムはなかった。
................こんな静かな夜は、要注意なのだ、ホント。
................長くなったので、続く。

(*1)棒ゲラ=ぼうげら
1段13字どり(当時)の鉛活字ハンコ。
活版だから、字は左右逆になっており、僕たち整理はアタマ数行の仮見出し(仮見=かりみ)情報を見て大組み工員に渡した。
新聞社特注の金属製ケースに、だいたい80行ほど入っていた。長文記事を分割するのは、ケースに収容できないから、という意味もあった。

(*2)タタム=たたむ
「流して3つにたたむ」という意味。
記事を流し組みしていき、残り30行だったら、10行ずつ3段に折ること。

(*3)アシ記事=あしきじ
流し組みができる、いわゆる1段ベタ記事。同記事が数本あると都合よく組めるので、整理はけっこうルンルンだった(笑)

(*4)共同通信速報=きょうどうつうしんそくほう
共同通信が加盟社に流すニュースや訂正、出稿アナウンス。
通常時は〝ピーポ~ピーポ~ピーポ~〟チャイムで始まり、わりとのんびりと
「共同通信から編集参考で~す................」
緊急事態&大事件のときなどは緊迫した声で
〝キンコンカンコーン、キンコンカンコーン〟
というチャイムになった。
同チャイムが編集局内に流れたとき、僕たち整理や出稿は
「どひゃっ、何ごと!全面差し替え級かい⁈」
と顔を見合わせた。
編集各部ではテレビニュース映像を流しているので、だいたい分かるのだけど。