降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★活版では、こう組んだ❷

2014年06月03日 | 新聞

【 きのう6月1日付の続きです 】
光と電子の新聞編集(古!)初期CTSのことばかり書いてきたので、
ちょっとコンピューター組み版のことはひと休みして、と。
(・ω・)ノ
いよいよ、なぜか大組み編!
鉛活字を使っていた活版組み版時代、僕たち整理部はこう組んだのだ、の第❷回。
例えば、上写真の紙面なら................。
◆お断り=新聞社によって、名称やシステムが異なります。


❹降版時間まで20分@製作局大組み台
整理部の僕と、大組み・池さん( 仮名=元・経済新聞社活版部員 )は、
新聞1ページを組むチース(*1)と呼ばれた金属枠が置かれた大組み台前に並んでいた。
大組み者が左側、僕たち整理が右隣に立って、僕は割り付け用紙を片手に指示をしていた。

整理・僕「左カタに置く6段23行のハコは今、小組みでつくっているので、もうすぐ来ます。
その右、3段6行どりの見出し( 写真の「日米欧で甲状腺がん薬」)を置いて、と」
大組み・池さん「んんん、分かった。
アタマのハンコ(*2)はまだ来てないんだな。んじゃあ、アタマの左右幅は何行だい 」

❺降版時間まで19分@大組み
整理・僕「あ、そーか。それ、分からないと組めないですね。
んーと、1段34行分凸台(*3)にして、全角カスミケイ9段立て」
大組み・池さん「んんん、分かった。
中段ケイあり流し、でいいんだな?」
整理・僕「そう.......あっと、凸台を持ってきますね」

❻降版時間まで17分@大組み
................おっと、長くなったので、続く。

(*1) チース=ちーす。
新聞1ページを組んだ後に、ギュッと四方から圧力をかけて締める金属製の枠。
チースの下には薄い金属底板があり、組み上げた紙面をプレスにかける移動時に使用した。
鉛活字と金属製広告、チースを載せているためかなり重く、これを
「んんっ!」
と持ち上げるため、大組み職員は腰を傷める人が多かった。

(*2) ハンコ=はんこ。
印鑑と同じように凹凸がある鉛活字なので、組み版では棒ゲラ、大組み版含め、こう呼んだ。

(*3) 凸台=とつだい。
環境対策と費用削減のため、1980年代後半には樹脂に移行したが、それまでは金属製だった地紋・写真・広告・カットを乗せる、専用の合金製台。
各新聞社特注。
15倍、31倍、47倍......と各サイズが用意されていて、降版後36時間ほど経ってから解版し、再利用した。
................あ~あ、1個ぐらいチョロまかしておけばよかったぁ。