降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★活版では、こう組んだ❶

2014年06月02日 | 新聞

光と電子の新聞編集( ←超・古い! )初期CTSのことばかり書いてきたので、
ちょっとCTSのことはひと休みして、と。
いよいよ実践編( ←なぜ突然? )鉛活字を使っていた活版組み版時代【 注・下段 】
僕たち整理部員は、こう組んだのだ。
例えば、上写真の紙面なら................。

❶降版時間まで25分@編集局→製作局
編集局から直通急階段を駆け下り、製作局大組み台に走る・奔る・疾る・はしる整理の僕。
製作局の大組み担当者ボードをちらり見て、
整理・僕「はぁはぁはぁゼィゼィゼィ、池さーん【 注・下段 】やるよぉー、組むよー!」
大組み・池さん「おーよ、待っていたぜ! 10段だから【 注・下段 】慌てるなって」

❷降版時間まで22分@大組み台
大組み・池さん「どっちから組む? カタかい?」
大組み者は、チースと呼ばれた組み版金属枠の下段・広告側にスタンバイした。
対して、僕たち整理はその右隣、あるいは上部・欄外日付側に、割り付け紙をヒラヒラさせながら立った。
整理・僕「左カタのハコは今、小組みでつくっているから、6段23行あけておいて。
その隣から行きましょう。
アタマ、まだハンコ【 注・下段 】になってないんだ」
池さん「だろーと思ったよ、ハンコ少ないもんな」

❸降版時間まで21分@大組み台
整理・僕「んじゃあ、これっ。この記事とぉ.......えーとぉ、見出しは、これっ」
僕は、大組み台に揃えられた棒ゲラの中から、逆字になっているハンコの仮見(かりみ=仮見出し)を睨み、大組み者に渡した。
大組み・池さん「ん、3段見出しは何行どりにする?」
整理・僕「5、3だから7行【 注・下段 】といいたいところだけど、スカスカいやだから6行どりね!」
( ↑ 上写真の3段「日米欧で甲状腺がん薬/エーザイ、600億円の主力品に」見出しは、主見出しにHCSを使っているけど裸見出しと考えてください )
大組み・池さん「あいよ、フンフンフンっと」
................長くなったので、続く。

【 活版組み版時代=かっぱんくみはんじだい 】
日本のCTSは1960年代から朝日新聞社と日本経済新聞社の2社で独自に研究が始まり、
1978年の日経東京本社アネックス・システムでスタートを切った。
一部の新聞社では1990年代初頭まで、鉛活字を使っての活版組み版が行われていた。

【 大組み・池さん=おおぐみ・いけさん 】
仮名(笑)。元・日本経済新聞東京本社の活版部にいらっしゃった方で、大組みのスピードは部内一。僕は新人整理のころ、いろいろ教わった。

【 10段だから=じゅうだんだから 】
全15段組み時代、ほとんど下3~5段が広告になった。だから、この場合は10段組む、ということ。

【 ハンコ=はんこ 】
凹凸のある鉛活字で組んでいたから、こう呼んだ。

【 5、3だから7行=ご、さんだからななぎょう 】
5倍活字と3倍活字を組み合わせているから7行どりね、の意味。
5倍見出しと3倍見出しの間には2倍、左右にも2倍のインテル( 行間をつくる金属板 )を差し込むので、
5+3+2+2+2=合計14倍→7行どり
なんだけど、全体がブカブカ&スカスカ見出しに見えるので、多くの場合6行どりにした。