雨をかわす踊り

雨をかわして踊るなんて無理。でも言葉でなら描けます。矛盾や衝突を解消するイメージ・・・そんな「発見」がテーマです。

竜魔王

2008-12-29 15:29:00 | 将棋・スポーツ
今年の永世竜王のかかった対決もまた考えさせられた。

昨日TVで羽生4冠と渡辺現竜王の両雄と、野村克也監督のコメントを交えて、七局を振り返ったが、僕自身も4局めが心に残った。

渡辺もいっていたように終了五分前まで、誰もが羽生の勝利を確信していたと思う。

羽生は、最後の最後に駒が足らずに勝負で勝って試合に負けた格好になった。

もちろんそうしたことも含めて将棋なのだが、野村さんがいうように、勝負事には見えないが「流れ」とか「勢い」というのが確かにあってそれが渡辺に微笑んだとしかいいようがない。

僕は渡辺は嫌いではない。

むしろ好きで、どこが好きかといえば、なんというのだろう、こじあけるときはどんな防御もムダといわんばかりにこじあけて勝つところ。

大きなポカも頻発するが、神の剣かなんかを手にしたかのような(つまりどんな防御も関係ない)攻撃力に魅かれる。

だから余計4局は渡辺が勝ったのではなく「流れ」が渡辺に勝利を呼んだようにみえた(渡辺がこじあけて勝ったようにはみえなかったからだ)。

もちろん彼があきらめなかったということもあるし、奥さんの応援もあっただろうけど、対局者を無視したかのような存在を感ぜざるをえなかった。

それから羽生と渡辺という30代と20代という世代の代表といっていいふたりをライバルたちが評す言葉も面白かった。

羽生には、佐藤のいう「正確さ」、谷川のいう「好奇心」、誰がいったか忘れたが(森内だったかな?)「総合力」、渡辺には山崎の「合理性」。それぞれのいわんとするところは僕なりによくわかるつもりだが、僕だったら羽生には「空」、渡辺には「ロシアンルーレット」というだろう。

羽生には拠るべきものがないことによる強さがあり、渡辺にはいつでるかはわからないが出たら叶わない、という攻撃力があるということだ。

そう考えると羽生と渡辺の対戦成績が羽生の9勝8敗くらいだから、いつ出るかわからないにしてはかなり渡辺の勝ちは割合としてかなり多いことになり、ある意味怖いということになる。もちろん渡辺に羽生に対する意識が多分にあることは考慮すべきだが、「魔王」というアダナは伊達じゃない。


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