イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

私にとって英国の味の原点、日本でも驚きの知名度らしい、「ウェールズのウサギ」興味深い名前のチーズをのせたトースト料理

2021年10月31日 06時32分00秒 | 英国の食べ物、飲み物
以前に2回は話題にしている英国の人気料理、ウェルシュ・レアビット Welsh rarebit (英国人が巻き舌で早口で発音するとラビットと聞こえます)


思い立って、作ってみました。
ビールで溶いた苦くて辛いチーズソースがこんがり焼けたチーズ・オン・トーストの古くからあるバリエーションです。

ウェリッシュレアビットのカタカナ表記で検索してみたら、びっくり!日本語のレシピやアンソロジーがザックザクとヒットしました。

インターネット時代の情報網ってすごいですね。
私が英国に来たばかりの頃、30年前におそらく初めて現地で食べた「英国料理」だったはずです。
名前を聞くのも初めてですし、チーズをとろけさせる料理法も私には斬新でした。

(当時の日本ではチーズと言えば熱に溶けないプロセスト・チーズが一般的でしたから)

南海岸の国際観光地(夏にEU諸国の若い人たちが英語を3週間学びに来るので有名な場所だったのです、ブレクシット完了後の以後の事情は知りません)、イーストボーン Eastbourne の英語学校に通っていたころ、学校の近所の静かなカフェで見つけて食べてみて大いに気に入りました。
観光地のカフェですので、値段はけっこう高かった記憶があります。
それでも時々行って、ウェルシュ・レアビットばかり食べていました。
なじみになったカフェのご主人に、ウェルシュ・レアビットを注文するたびに発音をなおされました。

私にとって、英国の味の原点なはずなのですが作ったことがなかったのです。
以前に載せたストックポート日報の記事にも「カフェで食べた」という話題ばかりなはずです。

先週、テレビで作り方を紹介していたのを見て食べたくなりました。
材料はメモしなかったので、最も権威ある(と私が信じている)BBC FOOD というレシピのウェッブサイトを見て作りました。

材料です。


英国では一般的なものばかり。
卵も牛乳もパセリも使わない、私が見た限りこれが一番シンプルなレシピです。

4人分の作り方を紹介します。
50gのバターを小鍋に溶かし、小麦粉を入れて弱火で炒めてルーを作ります。



ぬるく温めた250mlの強いビールを少しずつ加えてソースを作ります。
250gのおろした「味の濃い」チェダーチーズ(extra strong / extra mature Chedder) を混ぜて溶かしかなり硬めのネトネトのソースにします。

ウースターソースを大さじ2杯、イングリッシュ・マスタード(粉の辛子)を小さじ2杯を混ぜ、黒コショウをたっぷりふります。...ソースの出来上がり。

色がつかない程度に軽くトーストした食パン(私は家にあった、タイガー・ブレッドを使いました)にどっぷりソースを塗りつけてグリルで焼き色がつくまで(焼けた表面がブツブツ膨らんで泡立ち、はじけるまで)焼きます。



(うっかりお鍋の底をちょっとだけ焦がしてしまいました)

出来上がり。


調理すればビールのアルコール分が抜けてアルコールが摂取できない私もじゅうぶん楽しめます。
アルコール分は抜けてもビールの深い薫りと苦みがつーんと残る大人向きの料理です。
食パン一枚でもチーズソースがこってりしているのでお食事としてじゅうぶん食欲が満たされます。

日本ではまず「味の濃い」チェダーを調達することが難しいかもしれませんね。
日本語のレシピには「できればチェダー」にこだわっているものが多いのですが、どうせ「味の濃い」モノを手に入れるのが無理そうですので、とろけさえすればもうなんでもいいと思います。
粉辛子も「イングリッシュ」でなくてもだいじょうぶでしょう。


ウェルシュ・レアビットという名前の起源には諸説あるらしいのですが、「ウェールズ発祥」であるという確証は全くないということははっきりわかっているそうです。
古くはラビット Rabbit (ウサギ)とつづったことから、「ビンボーで粗野なウェールズ人はパンにチーズを塗って、(中世の頃にはごちそうだった)ウサギの肉を食べたつもりになっていた」という偏見に基づいた命名であるという説に信ぴょう性があります。

アメリカの南西部料理のウシの睾丸のフライ!!を「ロッキー山脈の牡蠣 Rocky Mountain oysters 」、ニシン料理を「ノーフォークのカポン(グルメ食材、去勢したオンドリ)」、レバーを固めたウェールズ料理を「ウェールズのキャビア」とよぶなど、土地の名前を冠したびんぼったらしい郷土料理の名前と同列の揶揄的料理名だ...と例付きで挙げていたウィッキピーデアの英語版、お見事。
どれも初耳です(ウシの睾丸料理に興味津々です)

ウェールズ起源だと証明されないのに「ウェールズのウサギ」と呼ばれるのはやっぱり不可解ですが。











コメント (3)
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