イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

ストックポートも例外ではない、シャッターの下りた店舗が目立つ商店街の衰退ぶり

2023年10月11日 08時00分00秒 | ストックポートとその周辺

娘がインターネットゲーム大会で優勝、「5ドルの(ミルク)シェーク Five Doller Shake」の副勝を獲得しました。

どこかでシェークを飲んで、証拠写真を配信すれば5米ドル(743円)受け取ることになっているそうです。

ストックポートのタウンセンターに比較的あたらしくオープンしたという、ジュース・タイム・バーという楽しい名前のソフトドリンク専門店に行くと言うので、私もお相伴でついていきました。

インターネット情報では営業時間中のはずでした。ストックポート日報 に何回も登場する景気の悪いシャッター通り、プリンセス・ストリート Princes Street の中ほどにあるはずです。あらら、閉まってる。

お店がつぶれちゃったみたいですね。楽しみにしていたのに残念です。

そして、びっくり。隣の、うちの子供たちが小さかったころのお気に入りのゲームショップ、その名もゲーム Game もまた閉店間近というはり紙です。

 

店内のさま変わりにもびっくり。

男の子向きの「おもちゃ屋」になっていました。もともとの主力商品コンピューター「ゲーム」の売り場は、全体の1割程度に縮小。

「ゲーム」を買う人は、現在あまりいないのでしょう。コンピューターやスマートフォンにダウンロードした方が手っ取り早いですものね。

「ゲーム」は、昨日27歳になった息子が子供の頃から働き始めるあたりまでが最盛だったのでは?みんなゲームボーイを持っていましたし、プレゼントの定番が「ゲーム」でした。息子は「X ボックス」を働いて自分で買ったはずです。

6歳年下の、男の子だった娘に「ゲーム」を買ってやった時期は短かったような?小学校高学年の頃にはもう有料ダウンロードが主流でしたから...

娘は現在インターネットコミュニティで夢中になっている空想ファンタジーゲーム、ダンジョンズ&ドラゴンズのモノポリーゲームを半額で買いました。

スペインにいる息子に写真を送って思い出を語らせました。

…余談ですが、今年日本に帰国した時に、公園や電車でゲームボーイやニンテンドー・スイッチなどのゲーム機器で遊ぶ子供たちをけっこうひんぱんに見かけてビックリしました。まだ小学生でスマートフォンを持たせてもらえない年齢なんでしょうね。ここ、英国では外出先でゲームをしている子供を(ゲーム・ボーイが廃れて以来)見たことが全くないものですから。

 

さて、目当てのミルクシェークの話です。

クリームス・ジェラートー・コォという知る人ぞ知る、人気のアイスクリーム屋があります(上の写真)いえ、ありました。

ミルクシェークの名物店です。

アメリカのダイナーのようなレトロな、しかも黒が基調の若い人たちの間では評判のおしゃれな内装で知られていました。セコンドリー・スクール(中学・高校)に通う女子生徒の間では彼氏ができたら行く「少年少女のデート御用達店」だったそうです(娘談)。

てっきり私はここへ行くものだと思っていましたが、そんないわれのある名物店に母親と二人で行くのは娘のプライドが許さず、断固拒否、同じ通りにあるジュース・バーをインターネット情報で見つけていくつもりでした。

ジュースバーが閉まっているなら仕方がない。学校時代の友達が見ていないことを願って私といっしょにクリームスに入るつもりになった娘ですが...

どひゃー、ここも閉まっている!ガラス扉にひびが入っています。

永久閉店です。

シャッターもなく、「長年のご愛顧ありがとうございます。この度...」と言った案内文ももちろんなく、営業時間を書いたはり紙や、ミルクシェークのポスターなどが貼ってあり、まるで臨時休業しているかのようですが、ガラス越しにのぞき込んでみたら中の荒みきった様子がまるわかりです。

「しかたないから、マクドナルドでマック・シェークを飲もうか」という味気ない提案は却下されました。暇を見て、わざわざマンチェスターまでシェークを飲みに行くそうです。私が付き合うかどうかは未定です。

 

プリンセス・ストリートの不景気さとショボさをお伝えします。

クリームスの右となりの保証人不要の金融ショップ、身もふたもない名の the Money Shop も、左となりの家具屋も閉店しています。

かけ事代行店 betting shop の老舗、William Hill も閉店です。

その向かいは閉店後久しい、全国展開の老舗デパートのブリティッシュ・ホーム・ストア Bhs のストックポート支店でした。(入り口は反対側の通り、マージー・ウェイMwersey Way にあります。

この先、ロンドンとイングランド北限の町、カーライルを結ぶ国道A6にぶつかる角には人気のデパート、デべナムスがありました。

デべナムスは、ロックダウンを持ちこたえて2021年に閉店したストックポート最後のデパートです。デパートの衰退事情について書いた少し前の記事のリンクです☟

なくてはならないショッピングエリアの顔、デパートの栄枯盛衰

この通りは、もとから1ポンド均一店、キャッシュ・ジェネレーター(電子機器やブランド品などを買い取ってくれる店)、チャリティ・ショップ(慈善事業の基金にする寄付された不用品を売る店)、テイカウェイ(持ち帰り食品)専門店、ゲーム・アーケード(ゲームセンター)、かけ事代行店など、庶民的な需要を満たすビジネスでけっこう繁盛する商店街だったのです。3軒のデパートのうらがわ出入り口が面していましたし。

 

角の大きなチャリティショップと、その隣のスマートフォンの修理屋も店じまいして長くたちます。

町の小売店が以前のようにやっていくのは本当に難しそうです。

 

店舗の維持費や人件費が抑えられるオンラインショップで、豊富な種類から選べてなんでも安く買えるのですから「商品を手に取って、店員さんと言葉を交わして」買いものをすることにこだわる人が少なくなっているのも仕方ないのでしょう。

この通りの衰退の決定打は、いずれも表通りのマージー・ウェイ(前述)に入り口のある3軒のデパートが閉店した時から始まったように思います。

買い物客が町に出てこなくなれば、飲食店も影響を受けます。パンデミックを生き抜いたクリームスがいつのまにか閉店していたのにはちょっとショックです。

私が2年お手伝いしていた、チャリティショップ、オックスファム Oxfam ストックポート店 も、ロックダウンと同時に永久閉店しました。それ以前に2軒が別の場所に移動しています。

この通りで、雨後のタケノコのようにニョキニョキと増えているのは、ネイル・スタジオです。オンラインと競走することなくマイペースで需要をのばしている事業だそうです。なぜか経営者や技術者のほとんどすべては中国系の女性です。

この件に関しては、いずれ改めて書くつもりです。

 

シャッターの下りた店舗に囲まれた全国展開のチェーン事務用品店、ライマン Ryman は私の20年来の行きつけの店です。

上部に残った1930年代のファサードが美しい外観です。

ボロッちい空き家を一軒置いてとなりは...

第二級保存指定建築、1920年代に創業して、30年代から、50年代の内装が完璧に残る町のパブ、Swan with Two Necks です。

向かいが、ストックポートから撤退したデパート、エメネス(M&S、旧マークス&スペンサー)の空きビルです。

 

エメネスの空きビルは、最近改装が終了。

1930年代、アールデコ様式の外観を残して、内部を徹底改装、ストック Stock という商業ビルとして開業待ちです。テナント募集の告知が出ていますがはたして店舗スペースが埋まるのでしょうか。

 

これは、「ストック」を表側のマージー・ウェイから撮った写真です。

 

ストック」のとなりは、20 年近く前ストックポートで最初に閉店した、デパート、ウールワースだったやはり1930年代の建物です。

天気が良かった先週末の写真です。表通りは工事中にもかかわらずそれなりの人通りなのに...

この裏のプリンセス・ストリートの閑古鳥のなく衰退ぶりと言ったら...ジュースバーとアイスクリーム屋がつぶれるのも無理はないかもしれません。

プリンセス・ストリートの反対側を平行に走る通りは...

...2018年に、「連合王国で一番みっともない建築物」に授与される栄えあるカーバンクル杯を獲得した恥辱のレジャーセンター、レッドロック Redrock のある通りです。モダンで整った見栄えのする景観なのに、週末なのに(!)ガラッガラ。

カーバンクル杯について書いた、2018年の記事のリンクです☟

輝く栄冠!建築大賞を獲得した連合王国で一番見苦しい建築物がストックポートにあり!!!

一階、のレストランスペースは半分以上空き家です。

 

景気の悪いプリンセス・ストリート(右側)から、レッドロック(左側)に通じる小さな広場に面した角の建物に若いイタリア人のカップルが経営するカフェが最近オープンしました。

夏の終わりに、友人に連れられて入ってみました。コーヒーも自家製のイタリア菓子もとてもおいしく、お値段も手ごろでした。この日、通りがかりにのぞいてみたら、かなり繁盛していました。

ストックポートに限らず、空き店舗の多いエリアを有する町では、新しく店やカフェなどをオープンしたい新規の事業主に自治体が手厚い援助をしているようです。開店後1年間は家賃を払わなくてよい等の措置にひかれて次々と新しい店がオープンしています。

ただ、支援の期間が過ぎてからも正規の家賃を払い続けて同じ場所で経営を続けられるほど成功する店はあまりない...ということです。

イタリア人のカフェ、がんばってほしい!

 

 

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2 コメント

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犬と暮らせば (浅井洋)
2023-10-11 10:29:42
財布にも
 秋風が 吹いて来たのでしょうね
   広島に 来る 外人さんも
7-11で買った サンドイッチを
 橋のたもと の 石段で 食べてる人が
  増えましたし
浅井さんへ、 (江里)
2023-10-15 03:30:19
浅井さん、
広島や京都など外国人に人気の都市では手ごろに食事ができる場所が足りないようなことを聞きました。
お店がどんどんつぶれている今、オンラインでの売り上げはどんどん増えているとも聞きました。
余裕がある人の消費欲は衰えていないようです。
...節約したい人ももちろんいるでしょうね。

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