海辺の(大衆的な)観光地、ブラックプール Blackpool、続きです。
番外編、ブラックプールのアート。
上の写真は、海岸沿いのブラックプール・タワーの前に並ぶ謎のモダンアート群です。
柵の近くにずらりと並ぶたわんだアスパラガスのような金属棒は街灯です。アートっぽい主張がありますが。
すべて海風にあおられるかのように内陸方向にたわんでいます。
そして存在感がすごいこの...
3本セットで、あるいは単独で風を受けて大きく揺れるボインボイン...「吊るさないモービール」のような動きを楽しむアート作品でしょうか。
上の写真はセントラル・ピアの入り口わきにあるビア・バルコニー(ビア・ガーデン)から撮りました。
ブラックプールの公的ウェッブサイトなどで見つかるはずのアーティスト名や作品のねらいなどは気にせずに、ブラックプールのー風景として眺めることにします。
ブラックプール・ノース駅からまっすぐ海岸に向かって歩いてきたら、歩道で目についたのがこのクラシックなブロンズ像です。
「海の幸」を天に捧げる何かの寓意像かな、海藻やサザエやサンゴなどを抱えています。ギリシャ神話由来とか...?でもよく見たら水着を着ていました。...日本の小都市でやたらに見かけそうなテイストのわかりやすい古典的アートですよね。
あまりぱっとしないショッピングエリアや...(これはタコの脚か?いえ、違うでしょう)
イタリアン、タパス、メキシカンレストランが並ぶ教会前広場にも...(シルバー・サーファーか?絶対に違う)
建物がけっこうショボかった通りの両側の、やはり古典的なそれでも身体のディティールが欠落している躍動感あふれる女性像2体。
土台の3本のグネグネした棒は何でしょう。海面からザバっと躍り上がった姿だったりして...
ちなみに、この通りにある Twisted Indian というインドのストリート・フードレストランで食べた夕食はおいしかったです。
奥の半廃屋の立派な建物の前に並ぶ赤い電話ボックスにも注目です。存在自体がアートか観光素材の電話ボックスに驚いたことに使用可能(に見える)電話が内蔵されていました!
ブラックプール・タワー前の広場に広がるインスタレーション・アートのコメディ・カーペット Comedy Carpet 。
英国の演芸史上に名を残す人気コメディアンの名前とパンチライン(決めゼリフ、オチ)が美しいタイルに焼き付けられています。ー定以上の年齢の英国人が夢中になるという、ブラックプールで最も評判の高いストリート・アートです。前回冬に来た時に夫は熱心に見ていましたが英国で子供時代を過ごさなかった私には「馬の耳に念仏」...とは、言わないか?
☟見栄えのする航空写真を新聞社のウエッブサイトから勝手に借ります☟
十字形なのは亡くなった人が大半だから、かもしれません。
ブラックプールはオペラ、バレエなどの古典芸能から、ダンスや歌などのキャバレー・アクト、コメディー、モノマネのような演芸系、ミュージカル、サーカスと言ったライブパフォーマンスの上演で戦前からとても有名な場所なのです。
「なんだ、公的資金を投入してアートをガンガン設置するブラックプールは意識が高いんじゃないか...?」という印象を受けられたでしょうか。この他にももっともっと...あるようです。
実際のブラックプールは、イングランド北西部で最も軽犯罪率と失業率が高く、学歴(義務教育終了時に受ける共通学力テストの点数)が低いエリアのひとつに属していることで知られます。
たしかに、ブラックプールの町そのものは観光業がふるっているように見えますがすべての利益が住民すみずみまで還元されているかというと...微妙なところではないかと...私には思えます。観光客の人目につくアートへの投資はカラ元気...に見えないこともありません。メインの客層(労働者階級)以外のアート好きにも訴える「アートで町おこし」のつもりもあるのではないでしょうか。
密集度がバカ高い79体も設置された、それぞれ独創的にペイントされたゾウのエルマー Elmer the Patchwork Elephant をさがして歩く親しみやすいアート・イベント、エルマーのビッグパレード Elmer's Big Parade Blackpool が開催されていました。
昼間から虹色のネオン灯が前後にチカチカ移動する観光案内所(上階が結婚登記所)前のエルマーです。
夫がドカンと正面を向いて写っているのでトリミングしました。
ブラックプールタワー(右)裏に正統派、パッチワーク・エレファントのエルマーがいました。
イングランドの多くの地域では、今2週間の学校の休み、ハーフ・タームです。ブラックプールは子供たちでにぎわっているでしょうね。
私たちは観光地で、無料の地元の公営美術館によく立ち寄ります。
観光案内所でもらった無料の観光地図に記載があるグランディ美術館 Grundy Art Gallery に行ってみました。
検索したところ、企画展の現代アートと所蔵作品の常設展が見られるいうことです。載っていた写真を見るとストックポート中央図書館にそっくりの建物!
行ってみたら、本当に「ブラックプール中央図書館」でした!建物の後ろのー部分が美術館でした。週末だというのに、美術館にも図書館にも入館者が誰もいませんでした。
かなり当惑した「時間」「時系列」に関する概念をだだっ広い2展示室を使って表現したインスタレーション展示...
夫は床に並んだロウソクが見えずにもう少しで蹴り壊すところだったそうです。
ロウソクが燃え尽きるまでを映し続ける悪夢のような映像作品を前にー休みしました。
2階の常設展は閉鎖、残念です!
目当ての所蔵品もない、名もない地方の美術館で「あ」というような面白い作品に出合えるのを楽しみにしていたものですから。
そうだ、エジンバラのスコットランド国立美術館でも素晴らしい常設展を楽しめたものの、所蔵品の半分(18世紀以降)は改装のため見られなかったのでした!!
バーミンガムも然り。目当てのラファエロ前派(イングランド19世紀の独自の芸術運動)の所蔵品のめぼしいものはすべて、ボストン(合衆国)の特別展にかし出されていました。いずれも詳しい記事にしています。
取ってつけたような小部屋に、「仕事/余暇」というような主題の絵画がちょこっと集めてありました。
1924年、Charles Spencelayh 作、笑う牧師 The Laughing Parson 。この笑顔が瞼に焼き付いて離れません。
ものすごくていねいに描かれた背景のこまごましたものをじっくり見るのも楽しめました。
こういう、(私にとっての)お宝が閉鎖していた上階の常設展示場にザクザクあったのかもしれません。惜しい。
あと...、ブラックプールの街なかの、タワー裏手の賑やかなショッピング街にある...
店と店のあいだに突き出して半壊しているコンクリートの橋みたいなものは何でしょうか。まさか...アート?絶対に違うと断言できます。8年前に来た時、すぐそばのマクドナルドで朝食を食べたのですが、気が付きませんでした。