英国の総選挙 General Election 2024 の話題です。投票日7月4日まで、のこすところ3週間を切りました。
2010年から14年間、政権を握ってきた保守党 Conservative Partyから、第ー野党の労働党 Labour Party に政権が移行する可能性が大ありのとても重要な総選挙なのです。
ちなみに...英国籍のない私には選挙権がありません。
英国人の夫は労働党員です。トニー・ブレア率いる労働党政府のイラクへの軍事介入に抗議して2002年に離党しましたが、左派の党首(当時)ジェレミー・コービンを支持するために、2010年に再入党しました。
テレビのニュースでは、総選挙の話題でもちきりです。
日本でも報道されているはずの英国総選挙、できるだけ日本人が知らなそうなことを拾ってダラダラと書いてみます。
英国の国会 Parliament の庶民院 (アメリカ合衆国に倣って下院と記述する日本のメディアもありますね)Commons は最長5年で解散、総選挙の決まりです。今年がちょうどその年です。今年いっぱいいすわる(予想ではクリスマスを控えた年末を避け解散は秋)こともできたのですが、内閣はインフレの抑止とG7国ダントツ1位の経済成長を遂げた成果をおぼえてもらっているうちに!と5月22日解散、総選挙を告示しました。懸念の移民の数もこのところ少なくなっているようですし。
…グズグズしていると、そのうちまたゴムボートでやってくる移民がどんどん増えちゃうかもしれませんしね。
英国の選挙運動は日本のそれとは全く違います。
名前を連呼の宣伝車、「本人」と大書されたタスキをかけた候補者が駅前広場で演説...なんて光景は皆無です。候補者の写真入りポスターも全く見かけません。(例外はパキスタン系候補者です。各地のパキスタン人街に限ってよくみかけます)
木の柱と板張りで自立する豪華版...
と、選挙時期になるとニュースレターとともに党員に四つ折りにされて封筒で送られてくるA4ペラペラ版の...
応援ポスターを党の支持者が自宅の敷地内の人目につく場所に掲示して士気をあおります。
夫が送られてきた労働党支持ポスターを私の了承を取って玄関わきのキッチンの窓に掲示しました。
選挙区の候補者がイベントや職場、福祉施設などを訪ねて有権者と対話して得票につなげるキャンペーンが主流です。候補者本人が1軒ずつ有権者の家を訪ねて投票を訴えるのも珍しくありません。
各党の党首はじめ、有力議員はマスメディアが主催する討論会でガンガン政見を訴えます。議員や候補者がウォーターパークに行ったりウォールクライミングに興じたり、マーケットでお買い物するなど、親しみのある人柄を演出するイベントもどんどんテレビで取材させています。
キッチンの窓の内側です☟労働党のエンブレムである「赤いバラ」のレゴをとなりに置いてみました。夕方灯りをともせば外からも見えるはずです。
6月14日現在、野党、労働党がダントツでリードしています!
労働党支持が42%、保守党支持が22%、(BBC調査、ハハハざまーみろ)....えっえっえっ、3位につけているのがまさかのリフォームUK党!リフォームUK党は「ブレクシット党」を改名した移民徹底排斥を訴える国内最右派の認定政党です!(ぎょっ)
いつもなら労働党、保守党と並んで3大政党を形成する、労働党に次ぐ第2野党のはずの自由民主党 (リブデムス LibDems)がなんと、4位に転落!?(次回に後述します)
国民は本当にウンザリなのです。保守党、労働党のみならずすべての党が国家保健サービスの建て直し、税制の不公正の是正、社会保障、国防、治安の充実...そして移民問題の解決を公約に盛り込んでいます。
あと、保守党の「兵役義務」復活。スナク、頭だいじょうぶか!?(次回後述します)
以上すべてが、現状、メチャクチャ不十分!保守党、14年間、いったい全体何やっていたんだ!?
リヴィーの写真を連投したので、埋め合わせに息子ネコ、ティブの写真です☟
そして、リシ・スナクは、国民の総意(総選挙の結果)で選出された首相ではそもそもありません。
コロナウィルスによる感染症が蔓延したパンデミック期の嘘つき不誠実首相、ボリス・ジョンソンがやっとのこと辞任。そのあと就任後、経済をめちゃくちゃにしてあっという間に辞任したリズ・トラスの後釜に消去法で身内推しで就任したのです。党首は党員のみの選挙で決まります。
ボサボサ頭で見るからにうさん臭くしゃべり方ももたもたしていたジョンソン前首相と違い、パリっとしたスーツを着こなし弁舌も笑顔もさわやか、良き夫、パパでもあるらしいスナク首相にはどうしようもない持って生まれた欠点があります。
人の気持ちに寄り添えない。
億万長者のリシ・スナク。自身が政治家になる前に金融アナリストで成した資産とインドの大富豪の娘である妻が受け取る配当を合わせたスナク家の資産は...£651,000,000 (6億5千100万ポンド...1,290億7千7百34万円!!!)。サンデイ・タイムスによる英国の長者番つけ2024年版 Sunday Times UK Rich List 2024 によれば「英国の首相は英国で245番目にお金持ち、今年はついに国王(258位)を抜いた!」とテレビで話題になっていたのでした。今、その番付表をみつけて0の数に気をつけながら書き写しました...!
首相就任前後から、若い人の2か月分のお給料の値段のスーツを着ているとか、愛用のローファーがエルメスだったかグッチだったか忘れましたがドエラい高級品だったのが話題になった記憶もあります。
大蔵大臣時代、ツイッターに彼自身がさっそうと腕まくりして給油する動画を投稿しました。ガソリンの値段に関するツイートです。スーパーマーケットのガソリンスタンドでの撮影でしたが、彼自身の愛車は、新車の値段が14万ポンド(2,800万円)前後の Tesla Sモデルでさすがに高級すぎて反感を買いそうなので、スーパーマーケットの従業員所有の大衆車、Kia Rio を借りたことも揶揄の対象になったのでした。
...そんな首相が「国民のみなさん、生活たいへんですよね。お察しします」なんてへらへら発言しても「僕は困っていませんけど」という本音が表情から透けて見える気がします。
もちろん、それだけではなくLGBT への無理解、特にトランスジェンダーに対する差別的発言を撤回すらしていない、自分規準の常識でしか物事を見られない人物でもあるのです。
スナクの、今回の総選挙に向けたキャンペーンが始まって間もなくの大失態は墳飯ものでした。
第二次大戦を連合軍の勝利に導いた、1944年6月6日のノルマンディ上陸作戦80周年記念式典の英国軍戦没者の慰霊式に午前中ちょっと顔を出しただけで、午後の連合軍合同式典を全ポカしして、帰国してしまったのでした。民放局の政見インタビューがあったからです。
英国において、戦没者や退役軍人(ノルマンディ上陸作戦に参加した生存者の平均年齢は100歳だそうです)への敬意はなんだか凄い...のです。侵されざるべき神聖なことらしいのに、なんという不敬!すぐに謝罪しましたが...なんというわかっていない人なのでしょう?!
公に口に出す人はもちろんだーれもいませんが...スナクはやっぱり「移民の孫」だと失望した人は絶対にたくさんいたはずです。
対立候補の労働党首、サー・キア・スターマーはいかにも温厚な英国紳士といった容貌で、ノルマンディ関係の国内式典には勲章をいっぱいつけた従軍経験のある男女の労働党員の国会議員を引き連れて出席、「自分の家族も代々従軍して国家に貢献してきた」旨のスピーチを披露していました。
「僕は移民ー家のスナクくんちとは違いますよ」とは、まさかさすがに元人権派弁護士のスターマーが考えたとも思えないのですが...
私はスナクの唯ーの強みは「移民の孫」であることだと思います。誇っていいはずですよ。
木の柱で自立する豪華版支持ポスターは、以前紹介した季節外れのクリスマスツリーです。その隣の家の小さめクリスマスツリーも成長していました☟
長くなりますので、続きます。
スナクのヘイトスピーチに関する前回の記事です☟
国家の恥辱、英国首相のスピーチ欺瞞、ニュースで報道されなくたって言ったのは事実!
ついでです。おぼえる気がおこらない、英国の国会の正式名称です☟
The Honourable the Commons of the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland in Parliament assembled